もし、スーパーファミコン時代の『ファイナルファンタジー』が、ドット絵の魅力を残したまま進化し続けていたら、どんなRPGになっていたのか。
そんな想像を形にしたような作品が、『ファイナルファンタジー レゾナンス』です。
本作は、2015年から2025年までサービスが続いたスマートフォン向けRPG『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』の物語をベースに、家庭用ゲームとして再構築されたタイトルとなっています。
舞台となるのは、クリスタルの恩恵によって繁栄してきた世界「ラピス」。グランシェル王国の騎士であるレインが、とある事件をきっかけにクリスタルを巡る戦いへと巻き込まれ、仲間たちとともに壮大な冒険を繰り広げていきます。
剣と魔法、クリスタル、飛空艇といったシリーズおなじみの要素が登場するため、かつてのFFを遊んできた人なら、世界観を知った段階で懐かしさを感じる部分も多いはずです。
ただ、本作が興味深いのは、そうした設定や世界観を昔のFFに近づけているだけではないところにあります。
グラフィックには、ドット絵のキャラクターと立体的な背景を組み合わせた「HD-2D」を採用。街やダンジョン、フィールドに至るまで、昔ながらの2D RPGを思わせる雰囲気がありながら、光の表現や奥行きのある背景によって、現代のゲームらしい美しさも感じられる作りになっています。
特に印象的なのが、ワールドマップを歩きながら各地を探索していく冒険のスタイルです。
最近のRPGでは、広大なフィールドを自由に移動するオープンワールドや、リアルな街並みを再現した3D空間が珍しくなくなりました。一方、本作では昔ながらのワールドマップが用意されており、次の目的地を目指しながら、道中で気になる場所を見つけて寄り道するといった楽しみ方ができます。
この感覚は、FF4からFF6あたりの作品を遊んできた人にとって、かなり馴染み深いものではないかと思います。
しかも、見た目こそ昔のRPGを思わせますが、キャラクターの動きは細かく作り込まれており、戦闘中には派手なエフェクトや3Dを活用した演出も登場します。歴代FFキャラクターの必殺技や召喚演出などは、ドット絵だけでは表現できなかった迫力を感じられる部分です。
つまり、昔のFFをそのまま再現した作品ではなく、当時のゲームデザインを大切にしながら、現代の技術で遊びやすく進化させているわけです。
そして、この方向性はグラフィックや探索だけにとどまりません。
本作では、戦闘に昔ながらのターン制コマンドバトルを採用しており、敵の弱点や行動順を考えながら戦う仕組みが用意されています。さらに、歴代FFキャラクターの能力を活用する「ビジョンシステム」によって、パーティーメンバーの育成にも幅広い選択肢が生まれています。
実際、こうした仕組みが組み合わさることで、ただ懐かしいだけでは終わらない、RPGとしての手応えが生まれているのが本作の面白いところです。
近年のFFシリーズはアクション性を重視した作品も増えていますが、コマンドを選び、装備や能力を組み合わせ、ワールドマップを探索しながら冒険するという遊び方に魅力を感じていた人も少なくないと思います。
そうしたプレイヤーにとって、『ファイナルファンタジー レゾナンス』は、まさに求めていた方向性のRPGといえる作品です。
コマンドバトルが想像以上に面白い!弱点と行動順を読む戦略性
『ファイナルファンタジー レゾナンス』を遊んでいて、特に面白さを感じるのが戦闘システムです。
本作では昔ながらのターン制コマンドバトルが採用されていますが、単純に「たたかう」や「まほう」を選んで敵を倒していくわけではありません。敵味方の行動順を確認しながら、どの相手を優先して攻撃するのか、どのタイミングで守りに入るのかを考える必要があり、コマンド選択そのものに戦略性が生まれています。
その中心となるのが、画面上部に表示されるタイムラインと、敵の弱点を突くことで発生する「ブレイク」の仕組みです。
タイムラインには敵味方の行動順が表示されているため、次にどのキャラクターが動くのかを把握したうえでコマンドを選択できます。さらに、敵の弱点に合わせて攻撃を重ねていくとブレイク状態に持ち込めるので、相手の行動を阻止しながら有利な状況を作り出せるわけです。
例えば、次の行動順で強力な攻撃を仕掛けてきそうな敵がいた場合、その敵を優先してブレイクさせることで、攻撃を受ける前に行動を封じるといった戦い方ができます。
もちろん、すべての敵を都合よくブレイクできるとは限らないため、状況によってはガードを選択して被害を抑える判断も必要です。攻撃を優先するのか、それとも次のターンに備えて守るのかという駆け引きがあり、戦闘中は自然と敵の行動順を確認するようになります。
そして、このブレイクシステムをさらに面白くしているのが、敵全員をブレイクさせることで発生する「フルブレイク」です。
通常のブレイクでも敵の行動を妨害できますが、フルブレイクまで持ち込めば、パーティー全体で一気に攻勢を仕掛けるチャンスが生まれます。そのため、目の前の敵を一体ずつ倒すだけでなく、複数の敵の弱点やブレイク状況を確認しながら、どの順番で攻撃を重ねていくかを考える楽しさがあります。
このあたりは『オクトパストラベラー』シリーズの戦闘を経験している人なら、比較的イメージしやすいかもしれません。
ただ、本作の場合はブレイクを狙う戦略性を持たせながらも、戦闘全体のテンポが損なわれないように作られている点が印象的です。
近年のコマンドRPGには、数ターン先の展開まで予測しながら行動を組み立てる作品もあります。そうした複雑な戦闘には独特の面白さがありますが、一方で、雑魚敵との戦闘まで毎回じっくり考える必要があると、冒険のテンポが悪くなってしまうこともあります。
その点、『ファイナルファンタジー レゾナンス』では、敵の弱点を突いてブレイクを狙うという基本的な戦い方が分かりやすく、慣れてくれば行動順を確認しながらテンポよくコマンドを選べるようになっています。
もちろん、何も考えずに攻撃を繰り返しているだけでは、敵の行動をうまく阻止できず、かえって戦闘が長引くことも考えられます。だからこそ、相手の行動を読んで効率よくブレイクさせられたときには、自分の判断がうまく噛み合ったという手応えがあるんです。
また、戦闘中の演出についても、昔ながらのコマンドRPGとは違った魅力があります。
通常の戦闘ではドット絵のキャラクターが動き回る一方、必殺技や召喚などでは3Dを活用した迫力ある演出が挿入されます。普段は懐かしい雰囲気の中でコマンドを選んでいるのに、強力な技を発動した瞬間には現代のFFらしい華やかさが感じられ、この見せ方もなかなか面白いところです。
ただし、本作の戦闘で最も評価したいのは、演出の派手さよりも、やはりコマンドを選ぶ行為そのものが楽しく作られていることだと思います。
昔のFFでは、敵の攻撃に備えて回復のタイミングを考えたり、限られたMPをどこで使うか悩んだりと、プレイヤーの判断が戦闘の結果に大きく影響していました。
本作では、そうしたコマンドRPGならではの面白さを、タイムラインやブレイクという仕組みを使って現代的に発展させています。
しかも、戦闘に慣れてくると、単に敵の弱点を突くだけでなく、パーティーメンバーにどのような能力を持たせるかによって、取れる戦術そのものが変わってきます。
例えば、特定の属性攻撃を使える仲間がいなければ、敵の弱点を把握していても思うようにブレイクを狙えません。逆に、複数の属性攻撃や補助能力をうまく組み合わせられれば、これまで苦戦していた相手にも有利に立ち回れる可能性があります。
つまり、戦闘中のコマンド選択だけでなく、戦闘前の準備も重要になってくるわけです。
そして、このパーティー編成や能力の組み合わせを考える楽しさを支えているのが、本作独自の「ビジョンシステム」です。
歴代FFキャラクターの能力を装備し、さらに習得したアビリティを組み合わせることで、同じパーティーメンバーでも戦い方を大きく変えられるようになっています。
この育成システムがあることで、コマンドバトルの戦略性はさらに深まり、敵を倒すことだけでなく、次はどんな能力を組み合わせて戦おうかと考える時間まで楽しくなってくるのが、本作の大きな魅力です。
歴代FFキャラを装備するビジョンシステムが育成の楽しさを変える
『ファイナルファンタジー レゾナンス』の戦闘が面白い理由として、もう一つ欠かせないのが「ビジョンシステム」の存在です。
本作では、歴代FFシリーズに登場したキャラクターたちが「ビジョン」という形で登場し、その能力をパーティーメンバーに装備させることができます。仕組みとしては従来のFFにあったジョブシステムに近いものですが、単に職業を変更するのではなく、歴代キャラクターの能力を借りて戦うという点が大きな特徴になっています。
例えば、初代『ファイナルファンタジー』のウォーリア・オブ・ライトを装備すれば、サンダー剣やストーン剣、ケアルといった能力が使用可能になります。
一方、主人公のレインはもともと炎属性の攻撃を得意としていますが、雷や氷といった属性の攻撃は使えません。そこで、そうした能力を持つビジョンを装備させることで、本人が扱えなかった属性攻撃まで使用できるようになるわけです。
この仕組みが面白いのは、キャラクターの能力が最初から決まっているわけではなく、プレイヤーの選択によって役割を変えられるところにあります。
例えば、攻撃役として育てているキャラクターに別の属性攻撃を覚えさせれば、より多くの敵の弱点に対応できるようになりますし、回復能力を持たせることで、いざという場面に備えるといった育成も考えられます。
先ほど触れたブレイクシステムでは、敵の弱点を突けるかどうかが戦闘の展開を大きく左右します。そのため、ビジョンによって使用できる能力を増やすことは、単なるキャラクター強化ではなく、戦闘中に選択できる戦術そのものを広げることにもつながっているんです。
しかも、本作のビジョンシステムは、装備するキャラクターを変更するだけで終わりません。
それぞれのビジョンには独立したレベルが設定されており、育成を進めることで新しいアビリティを習得していきます。そして、ここが特に重要なのですが、一度習得したアビリティは、別のビジョンに切り替えた後でも個別に装備できる仕組みになっています。
つまり、現在装備しているビジョンの能力を使いながら、過去に育てた別のビジョンから習得したアビリティも組み合わせられるわけです。
このあたりは『ブレイブリーデフォルトII』や『オクトパストラベラー』の育成システムにも通じる部分があり、複数の能力を組み合わせて自分なりのキャラクタービルドを作る楽しさがあります。
例えば、回復を担当するキャラクターであれば、魔法回復量を10%上昇させるアビリティを装備して、ヒーラーとしての役割を強化することが考えられます。
ただ、回復能力ばかりを重視すると、攻撃面で活躍できる場面が限られてしまうこともあります。そこで、ほかのキャラクターに行動を託すようなアビリティを組み合わせれば、自分が攻撃しない場面でもパーティー全体の行動を支える役割を持たせられます。
こうした組み合わせを考え始めると、単純に攻撃力や防御力の高い装備を選ぶだけではなく、各キャラクターにどのような仕事を任せるのかという部分まで意識するようになります。
さらに面白いのが、欲しいアビリティを習得するために、普段は使わないビジョンまで育てる意味が生まれることです。
例えば、現在のビジョンで十分に戦えていたとしても、別のビジョンに魅力的なアビリティがあれば、その能力を習得するために一度装備を変更して育成を進めるという選択ができます。
そして、目的のアビリティを覚えたら元のビジョンに戻し、新しく習得した能力を組み込んで戦い方を見直す。この一連の流れがあることで、ビジョンを集めること自体が育成の楽しさにつながっています。
実際、こうしたシステムが用意されていると、冒険を進める途中でメニュー画面を開き、アビリティの組み合わせを考える時間が自然と増えていきます。
新しい能力を覚えたから、今まで使っていたアビリティと入れ替えてみようか。それとも、別のキャラクターに装備させた方がパーティー全体のバランスが良くなるのか。
そんなことを考えながら育成を進めていると、ストーリーを先に進めることだけが目的ではなくなり、キャラクターを強くしていく過程そのものが楽しくなってくるんです。
この感覚は、昔のFFでジョブやアビリティの組み合わせを考えることに夢中になった人なら、特に魅力を感じられる部分だと思います。
また、ビジョンとして登場するのが歴代FFキャラクターという点も、シリーズファンにとっては見逃せません。
スコールやノクティスといったおなじみのキャラクターも登場するため、新しいビジョンを手に入れたときには、そのキャラクターがどのような能力を持っているのか、実際に装備して確かめたくなります。
例えば、スコールには通常攻撃を使い続けることで攻撃力が上昇していくアビリティがあり、こうした能力をどのキャラクターに組み合わせるかによっても、戦い方が変わってきます。
単に歴代キャラクターが登場するだけであれば、シリーズファンに向けたファンサービスで終わってしまうかもしれません。しかし、本作ではそれぞれのキャラクターが持つ能力を育成システムに組み込むことで、実際のゲームプレイにも意味を持たせています。
そして、ビジョンを集める楽しさは、戦闘や育成だけにとどまりません。
序盤ではストーリーを進めることで入手できるビジョンもありますが、冒険が進むにつれて、ワールドマップの各地に隠されたビジョンクリスタルを探す機会も増えていきます。
新しいビジョンを手に入れれば、これまで使えなかった能力を習得できるかもしれませんし、その能力が既存のアビリティとうまく噛み合えば、パーティーの戦い方を大きく変えられる可能性もあります。
そう考えると、ストーリーの目的地へ一直線に向かうよりも、まだ探索していない場所に足を運んでみたくなるものです。
本作では、戦闘で使える能力を増やすためにビジョンを集め、集めたビジョンを育成することで新しい戦術が生まれ、その戦術を試すためにまた戦闘が楽しくなるという循環が成立しています。
この仕組みがあるからこそ、キャラクター育成とワールドマップの探索が別々の要素にならず、互いの面白さを引き立て合っているわけです。
特に、昔ながらのRPGでは、新しい街やダンジョンを発見したり、思いがけない場所で強力な装備を手に入れたりすることが、冒険を続ける大きな動機になっていました。
『ファイナルファンタジー レゾナンス』では、その役割の一部をビジョンクリスタルが担っており、まだ見ぬ能力を求めて世界を歩き回る楽しさが生まれています。
だからこそ、本作のワールドマップは単なる移動手段ではなく、プレイヤー自身が新しい発見を求めて冒険する場所として、しっかり意味を持っているんです。
ワールドマップを歩く楽しさが復活!寄り道したくなる探索要素
『ファイナルファンタジー レゾナンス』では、ビジョンを集めることがキャラクター育成の楽しさにつながっていますが、その魅力をさらに引き立てているのが、昔ながらのワールドマップを探索する仕組みです。
本作には、スーパーファミコン時代のFFを思わせるワールドマップが用意されており、街やダンジョンを目指しながら世界を歩き回ることができます。最近のRPGでは、広大な3Dフィールドをシームレスに移動する作品も増えていますが、本作はあえて昔ながらの形式を採用することで、世界を冒険しているという感覚を大切にしているんです。
もちろん、単に昔のFFと同じようなワールドマップを再現しているだけではありません。
各地にはビジョンクリスタルをはじめ、探索することで発見できるさまざまな要素が配置されており、ストーリーの目的地とは関係のない場所にも足を運ぶ意味が生まれています。
特にビジョンクリスタルについては、冒険を進めるほど新しい能力が欲しくなってくるため、まだ探索していない場所を見つけると、何か隠されているのではないかと気になってしまいます。
しかも、手に入れたビジョンによっては、それまでのパーティー編成やアビリティの組み合わせを見直すきっかけにもなります。つまり、探索によって新しい能力を発見し、その能力を育成に取り入れることで戦闘の選択肢が増えていくという、RPGらしい楽しさが自然につながっているわけです。
このあたりは、昔のFFでワールドマップを歩き回り、思いがけない場所で隠された洞窟やアイテムを発見したときの感覚に近いものがあります。
当時のRPGでは、次の目的地が分かっていても、あえて別の方向へ進んでみたり、まだ訪れていない場所を探索したりすることが珍しくありませんでした。そこで何かを発見できれば嬉しいですし、たとえ目的のものが見つからなくても、自分の判断で世界を歩き回っていること自体に面白さがあったと思います。
本作もそうした冒険の感覚を大切にしており、プレイヤーが自分の意思で寄り道したくなるような作りになっています。
また、ワールドマップには通常の敵だけでなく、ユニークモンスターも配置されています。
こうした敵の存在は、探索中に新しい目標を見つけるきっかけになりますし、今のパーティーでどこまで戦えるのかを試す楽しさにもつながります。
特に本作では、ビジョンシステムによってさまざまな能力を組み合わせられるため、新しいアビリティを習得した後に強敵へ挑戦するという遊び方とも相性が良いんです。
例えば、以前は苦戦していた相手でも、属性攻撃を増やしたり、回復役の能力を見直したりすることで、戦いやすくなる可能性があります。そうした変化を実際の戦闘で確かめられることも、育成を続ける動機になっていきます。
そして、探索の仕組みでもう一つ興味深いのが、サブストーリーとの組み合わせです。
本作には、特定のアイテムを集めることが目的となるサブストーリーが用意されていますが、その収集場所がレベル上げにも適した場所になっているなど、探索とキャラクター育成がうまく結びつけられています。
これがなかなかよく考えられていて、単に目的のアイテムを探すだけでなく、その過程で敵と戦い、経験値を獲得しながらパーティーを強化できるようになっています。
RPGに慣れている人であれば、効率よく経験値を稼げる場所を自分で探すことも楽しみの一つですが、普段あまりRPGを遊ばない人にとっては、どこでレベルを上げればいいのか分からないこともあります。
その点、本作ではサブストーリーを進めることが探索のきっかけとなり、その過程で育成にも役立つ場所を発見できるため、プレイヤーが無理なく冒険の範囲を広げられる仕組みになっているんです。
もちろん、目的地までの道順をすべて指示されるわけではなく、実際にどこを探索するかはプレイヤー自身が考える必要があります。自分で発見する楽しさを残しながら、冒険を進めるためのきっかけも用意されているところに、本作の遊びやすさを感じます。
また、こうした探索の仕組みは、HD-2Dによるグラフィック表現とも相性が良いように思います。
ドット絵を基調としたワールドマップには、昔のRPGらしい親しみやすさがありますが、街やダンジョンでは立体的な背景や光の演出によって、それぞれの場所に異なる雰囲気が生まれています。
そのため、ワールドマップを移動して新しい場所を発見し、実際に足を踏み入れたときには、昔ながらのRPGを遊んでいる感覚と、現代のゲームならではの映像表現を同時に楽しめます。
最近のゲームでは、フィールドが広大になったことで移動そのものに時間がかかったり、探索する場所が多すぎて何を優先すればいいのか迷ったりすることもあります。
一方、本作のワールドマップは、昔ながらの形式を採用することで、世界を歩き回る楽しさを比較的シンプルな形で味わえるようになっています。
もちろん、広大な3Dフィールドを自由に冒険する楽しさとは方向性が異なりますが、次の街を目指しながら寄り道をして、気になる場所を見つけたら探索してみるという遊び方には、独特の魅力があります。
何より、本作では探索によって得られるものが、キャラクターの成長や戦闘の面白さに直結している点が大きいと思います。
新しいビジョンクリスタルを発見すれば育成の選択肢が増え、アビリティの組み合わせを見直せば戦闘で試したくなる。そして、さらに新しい能力を求めて、まだ訪れていない場所へ足を運ぶようになります。
こうした流れがあるため、ストーリーを進めることだけに追われず、寄り道をしながら少しずつパーティーを強くしていく楽しさが生まれています。
昔のFFを遊んでいた頃、次の目的地に向かう途中で気になる場所を見つけ、予定になかった探索に夢中になってしまった経験がある人も多いと思います。
『ファイナルファンタジー レゾナンス』には、そうした昔ながらのRPGらしい冒険の面白さが、現代的な育成システムとともに受け継がれています。
ただ、ここまで戦闘や育成、探索については魅力的な部分が多い一方で、物語の方向性や育成システムのバランスについては、もう少し長く遊んでみないと判断できない部分もあります。
特に、昔のFFらしさを期待している人にとっては、ゲームシステムだけでなく、どのような物語が描かれるのかも気になるところです。
10時間遊んで感じた完成度と、今後気になる2つのポイント
『ファイナルファンタジー レゾナンス』を約10時間遊んだ段階では、戦闘、育成、探索のそれぞれに面白さがあり、昔ながらのコマンドRPGを現代的に進化させた作品として、かなり好印象です。
特に気に入っているのが、どれか一つの要素だけが突出しているのではなく、それぞれの仕組みがうまく噛み合っているところです。
戦闘では敵の弱点や行動順を考えながらコマンドを選び、育成ではビジョンやアビリティの組み合わせを試行錯誤する。そして、新しい能力を求めてワールドマップを探索しているうちに、また別の育成方法を思いつくという流れが自然に成立しています。
しかも、こうした要素が複雑になりすぎず、比較的テンポよく楽しめるバランスに収まっているのも好印象でした。
最近のRPGには、戦闘システムや育成要素が非常に充実している一方で、覚えることが多く、ゲームの面白さを理解するまでに時間がかかる作品もあります。
もちろん、複雑なシステムを少しずつ理解していく楽しさもありますが、本作の場合は基本的な仕組みが分かりやすく、それでいて遊び込むほど戦術の幅が広がっていく作りになっています。
実際、序盤から戦闘の面白さを感じられますし、新しいビジョンを手に入れるたびに育成の選択肢が増えていくため、ゲームを進めること自体が次の楽しみにつながっているんです。
ただ、ここまでの完成度が高いからこそ、今後の展開で気になっている部分もあります。
一つは物語の方向性、もう一つはビジョンシステムによる育成の自由度が、ゲーム終盤まで維持されるのかという点です。
まず、物語については、クリスタルを巡る戦いや仲間との絆、復讐といったテーマが描かれており、FFシリーズらしい壮大な冒険を期待できる内容になっています。
主人公のレインをはじめ、登場人物にもそれぞれ魅力があり、チャプター形式で物語が進んでいくため、展開に区切りがあることも遊びやすさにつながっています。
もともとスマートフォン向けRPGとして展開されていた作品をベースにしていることもあり、一つのエピソードを楽しみながら、次の展開へ進んでいく構成になっているわけです。
ただし、キャラクター同士の会話や仲間との関係性の描き方については、従来のFFとは少し違った印象も受けました。
どちらかといえば、『テイルズ オブ』シリーズに近い雰囲気があり、登場人物同士のやり取りを通じて、それぞれの個性や関係性を描いていく方向性が感じられます。
この違いは決して悪いことではありませんし、キャラクター同士の掛け合いを楽しみたい人にとっては、むしろ魅力になる部分だと思います。
一方、昔のFFを振り返ってみると、キャラクターの個性や仲間との関係性だけでなく、世界そのものが抱える問題や、登場人物の運命が大きな物語へとつながっていく展開にも独特の魅力がありました。
もちろん、作品によって描き方は異なりますが、特にFF4からFF6あたりの作品では、個々のキャラクターが抱える事情と世界全体の出来事が結びつくことで、物語に深みが生まれていたように思います。
そのため、本作が掲げる「ドット絵のままFFが進化していたら」というコンセプトを考えると、ゲームシステムだけでなく、物語の描き方についても昔のFFらしさを期待したくなるところです。
現時点では、キャラクターの魅力やストーリーの展開を十分に楽しめていますが、今後どのような形で物語が広がっていくのかによって、作品全体の印象も変わってくるかもしれません。
特に、レインたちの冒険が個々の登場人物の関係性を超えて、世界の運命にどのようにつながっていくのか。この部分については、物語を進めながら確かめていきたいと感じています。
そして、もう一つ気になっているのが、ビジョンシステムの育成バランスです。
ここまで紹介してきたように、本作では歴代FFキャラクターの能力を装備し、習得したアビリティを自由に組み合わせることで、自分なりのキャラクタービルドを作れます。
この仕組みは非常に面白く、約10時間遊んだ段階でも、新しいビジョンを手に入れるたびに育成方針を考え直したくなるほどです。
ただ、ビジョンを集めていくうちに、どのキャラクターにも装備させた方が有利になるような、汎用性の高いアビリティが増えていく可能性もあります。
例えば、特定の能力を装備するだけで戦闘が大幅に有利になるのであれば、最終的には多くのキャラクターが似たようなアビリティ構成になってしまうかもしれません。
もちろん、強力な組み合わせを見つけ出し、理想的なビルドを完成させること自体も、RPGの育成における楽しさの一つです。
ただ、本作の場合はビジョンごとに異なる能力が用意されており、それらを組み合わせることで戦い方を変えられるところに大きな魅力があります。
そのため、ゲームが進むにつれて最適なアビリティ構成がある程度固定されてしまうと、せっかくの自由度が十分に活かされなくなる可能性もあるわけです。
個人的には、攻撃を重視したキャラクター、回復や補助を担当するキャラクター、敵の弱点を突くことに特化したキャラクターなど、それぞれの役割に合わせて異なる育成方針を考えられるバランスが、最後まで維持されていると嬉しいところです。
もっとも、これは現時点で問題が発生しているという話ではなく、育成システムが面白いからこそ、今後もその楽しさが続いてほしいという期待に近いものになります。
実際、序盤から中盤にかけては新しいビジョンを手に入れる機会もあり、アビリティの組み合わせを考える楽しさは十分に感じられています。
そして、こうした気になる部分を踏まえても、現段階での『ファイナルファンタジー レゾナンス』に対する評価は、かなり高いものになっています。
特に、昔ながらのコマンドRPGが好きな人にとっては、今の時代にこういう作品を遊びたかったと感じられる要素が数多く詰まっています。
敵の行動順を確認しながら弱点を突く戦闘、歴代FFキャラクターの能力を組み合わせる育成、そしてワールドマップを歩き回りながら新しい発見を求める探索。
どれもRPGではおなじみの要素ですが、本作ではそれぞれが現代的に調整されており、懐かしさを感じながらも、新しいゲームとして楽しめる仕上がりになっています。
近年のFFシリーズが進化を続ける中で、リアルなグラフィックやアクション性の高い戦闘とは異なる方向性を求めていた人もいると思います。
そうした人にとって、本作は単に昔のFFを思い出させる作品ではなく、あの頃に夢中になったRPGの楽しさを、今のゲームとして改めて味わえる一本です。
もちろん、物語の完成度や終盤の育成バランスについては、最後まで遊んでみなければ判断できません。それでも、約10時間プレイした時点で、戦闘や育成の仕組みをもっと試してみたい、まだ探索していない場所へ行ってみたいと思わせてくれるだけの魅力があります。
昔のFFが好きだった人はもちろん、最近のRPGでは少なくなってきた、じっくり考えて戦うコマンドバトルや、自由にキャラクターを育てる楽しさを求めている人にも、ぜひ注目してほしい作品です。
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