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『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は風花雪月を超える?20時間の先行プレイで見えた進化

『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は風花雪月を超える?20時間の先行プレイで見えた進化

『ファイアーエムブレム』シリーズ最新作となる『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は、2026年9月17日にNintendo Switch 2専用タイトルとして発売されます。

『風花雪月』や『エンゲージ』は初代Nintendo Switch向けに発売されていたため、Switch 2世代へ移ってから最初の完全新作FEというだけでも注目度はかなり高いところ。しかも、今回明らかになっている内容を見ると、単純にグラフィックや演出を豪華にしただけではなく、ゲームそのものの規模を大きく広げようとしていることが分かります。

物語の舞台となるのは、神々の統治によって繁栄の頂点を迎えた「ダグダ帝国」。帝都ダグシオンでは各地から強者たちが集まる「大剣闘祭」が開催されており、最後まで勝ち残った者には、皇帝から望みを一つ叶えてもらえるという大きな褒美が用意されています。

そこで物語の中心となるのが、それぞれ異なる事情を抱えて大剣闘祭へ参加する4人の戦士です。

囚われた父親を救おうとする者がいれば、巨大な魔物に襲われてダグダへ流れ着いた剣士もいる。さらには女神の名誉と祖国の平和を守るために戦う女王、父親を殺した人物への復讐を果たそうとする音楽家まで登場し、最初から一人の主人公だけを中心に物語が進んでいく従来型の構成とはかなり雰囲気が違います。

そして面白いのは、物語が大剣闘祭だけでは終わらないことです。

大会から5年後、ダグダ帝国は滅亡の危機に直面する一方、かつて重要な役割を担った4人の戦士たちは未来の世界から姿を消しています。プレイヤーは女神の力によって過去へと移動し、4人がたどった運命へ介入しながら、破滅へ向かう未来そのものを変えていくことになります。

つまり本作では、「4人の主人公の物語を見る」というだけではなく、過去で誰と出会い、何を選び、どのような行動を取ったのかが未来へ影響していく可能性があるわけです。

さらに、4人の物語は完全に独立しているわけではなく、好きなタイミングで操作する主人公を切り替えることもできます。一人の物語を集中して追いかけてもいいですし、4人を少しずつ進めながら、それぞれの出来事を並行して見ていく遊び方も可能になっています。

この時点でも、今回の『万紫千紅』がかなり野心的な作品なのは伝わってきます。

ただ、本当に気になるのはここからです。『万紫千紅』には4人の物語だけでなく、仲間の勧誘や育成、限られた日数の管理、広大なワールドマップの探索、さらにはダンジョンや農業まで盛り込まれています。

言ってしまえば、『風花雪月』で大きく広がった「戦闘以外の時間」を、さらに何段階も押し広げたような作品になっているわけです。

こう聞くと、『風花雪月』の士官学校パートが好きだった人には魅力的に映る一方、「FEではとにかく戦闘を楽しみたい」という人にとっては、少し不安になるところかもしれません。

ところが、発売前に約20時間プレイした海外メディアの記者は、まさに後者のタイプでした。『風花雪月』より『エンゲージ』を好み、物語や交流よりも戦闘を重視していたにもかかわらず、プレイを進めるにつれて『万紫千紅』の複雑なゲーム構造そのものに夢中になっていったといいます。

なぜ、戦闘以外の要素が増えることを警戒していたプレイヤーまで引き込まれたのか。

ここを掘り下げていくと、『万紫千紅』が単純に『風花雪月』を巨大化させただけではない、かなり興味深い進化を遂げていることが見えてきます。

20時間遊んだ海外メディアが『万紫千紅』を絶賛

前述した通り、『万紫千紅』には4人の主人公による物語だけでなく、仲間との交流や育成、街での活動、時間管理など、かなり多くの要素が盛り込まれています。

こうしたゲーム構造から真っ先に思い浮かぶのは、やはり『ファイアーエムブレム 風花雪月』です。

『風花雪月』では従来のシリーズ作品以上に戦闘以外の時間が重要になり、士官学校を歩き回りながら生徒と交流したり、食事をしたり、教育によって能力を伸ばしたりと、仲間と過ごす日常そのものがゲームの大きな柱になっていました。

キャラクターへの愛着を深めてから戦場へ送り出すという体験は『風花雪月』ならではの魅力でしたが、その一方で、純粋にシミュレーションRPGとしての戦闘を楽しみたい人にとっては、次の戦いへ進むまでが少し長く感じられる部分でもありました。

そして今回、『万紫千紅』を発売前に20時間以上プレイした海外メディアの記者も、まさにそこを気にしていた一人です。

この記者は『風花雪月』よりも『エンゲージ』を好んでおり、物語や恋愛、キャラクターとの交流より、戦闘そのものを重視するタイプだったとのこと。『エンゲージ』はストーリーについて評価が分かれた一方、戦闘マップやゲームバランス、紋章士を利用した戦術の幅については高く評価されていただけに、そこを好んでいたという時点でプレイヤーとしての方向性はかなり分かりやすいところです。

当然ながら、事前に公開された『万紫千紅』の情報を見た段階では不安もあったようです。

広大な拠点があり、複数の主人公による物語があり、仲間との交流もあれば時間管理もある。『風花雪月』で戦闘までの寄り道を長く感じていた人からすれば、「今度はさらにやることが増えるのではないか」と警戒するのも無理はありません。

ところが、実際に序盤を20時間以上プレイすると、その印象が少しずつ変わっていきます。

最初こそゲーム全体の規模と情報量に何度も圧倒されたものの、プレビュー範囲の終盤へ近づくにつれて、むしろ複雑なゲームシステムそのものに夢中になっていったとのこと。最終的には『万紫千紅』について、『風花雪月』の方式を究極まで突き詰めた作品かもしれないと感じるほど、その方向性を受け入れるようになっています。

ここは今回の先行プレイで、かなり重要なポイントだと思います。

もともと『風花雪月』型のゲームが好きな人から高く評価されたのであれば、それほど意外ではありません。しかし今回は、むしろ戦闘以外の要素が増えることを心配していたプレイヤーが、20時間遊んだ結果として評価を変えています。

では、なぜ『万紫千紅』では同じようなゲーム構造をさらに拡大しているにもかかわらず、それが「面倒な寄り道」にならなかったのか。

その理由として見えてくるのが、戦闘とそれ以外の遊びを切り離すのではなく、街で何をするか、誰を仲間にするか、どこへ向かうかといった選択まで、次の戦いへ向けた戦略として組み込んでいることです。

実際、次の重要な戦いまで70日ほどの準備期間が提示される場面もあり、その限られた時間をどう使うかはプレイヤーに任されています。仲間を探しに行ってもいいですし、キャラクターを鍛えてもいい。装備を整える選択もありますが、世界地図を移動するだけでも時間は経過するため、思いついたことを片っ端からこなせるわけではありません。

最初は大量の選択肢に圧倒されていた記者も、やがて「あと70日しかない」と考えるのではなく、「70日あればどこまで軍を強くできるか」と考えるようになったといいます。

ここまで来ると、同じ時間管理でも『風花雪月』とは少し意味合いが変わってきます。

戦場へ出てから最善の一手を考えるだけではなく、その戦いを迎えるまでの数十日をどう使ったかによって、自軍の戦力や仲間、装備まで変わってくる。つまり『万紫千紅』では、戦闘の合間に用意された大量のコンテンツそのものが、一つの大きな戦略パートとして機能しているわけです。

『風花雪月』の方向性をさらに拡大した作品と聞くと、「また散策や交流に時間を取られるのでは」と感じる人もいるかもしれません。

ただ、少なくとも今回の先行プレイから見えてくる『万紫千紅』は、単純にやることを増やした作品ではなさそうです。むしろ戦闘以外の時間にもプレイヤーが考える余地を持たせることで、従来とは違った形でFEらしい「選択する面白さ」を広げようとしている。

戦闘重視の『エンゲージ』派だった記者まで夢中になった理由は、まさにこの部分にあるのかもしれません。

4人の主人公を好きなタイミングで切り替えられる

戦闘へ向けた準備そのものが戦略になる『万紫千紅』ですが、もう一つ本作を特徴づけているのが、4人の主人公を軸に物語が進んでいくという構成です。

複数の主人公が登場するゲームと聞くと、それぞれに独立したルートが用意され、最初に誰かを選んだらエンディングまでその人物を操作する形を想像するかもしれません。

ところが、『万紫千紅』は少し違います。

本作では4人の戦士から一人を選んでそれぞれの過去を体験していくものの、一度選んだからといって、その人物の物語を最後まで進める必要はありません。4人それぞれの進行状況が個別に保存されており、ほとんど好きなタイミングで別の主人公へ切り替えられる仕組みになっています。

そのため、一人の物語が気になれば集中して進めてもいいですし、4人を少しずつ切り替えながら並行して追いかけることもできます。

この仕組みだけを見ると、RPGではそこまで珍しくないようにも感じます。ただ、『万紫千紅』の場合は単純に主人公が変わって別のストーリーが始まるだけではなく、操作する人物によって普段の活動まで変化するのが面白いところです。

たとえば音楽の才能を持つレダは、各地の宿屋で演奏しながら人々を手助けしていきます。一方、ダグダへ流れ着いた剣士は敵を討伐することで自身の名を広めていくなど、同じ帝都を拠点にしていても、主人公ごとに名声を得るための行動が異なります。

つまり、主人公を切り替えることは単なる視点変更ではなく、普段のゲームプレイそのものに変化を与える仕組みになっているわけです。

これは長時間遊ぶことになりそうな『万紫千紅』では、意外と重要なポイントかもしれません。

『風花雪月』では士官学校での散策や教育、食事といった活動がキャラクター育成に深く関わっていましたが、周回を重ねるほど同じ行動を繰り返す場面も増えていきました。キャラクターとの交流が好きなら楽しめる一方、早く次の戦闘へ進みたい人にとっては、次第に作業感が強くなりやすい部分でもあります。

『万紫千紅』ではやること自体がさらに増えているものの、主人公によって活動内容まで変えることで、同じ施設を巡り続けるだけにならないよう工夫されているようです。先行プレイでも、『風花雪月』で感じられた単調さがかなり軽減されていたと評価されています。

さらに気になるのが、4人の物語が完全に分断されているわけではないことです。

物語の展開次第では、複数の主人公が同じ部隊へ加わって戦う場面も存在するとされています。普段はそれぞれ別の目的を抱えて動いていた主人公たちが、物語の進行によって同じ戦場へ集まり、一つの部隊として戦うこともあるわけです。

そう考えると、4人を自由に切り替えられる仕組みは、単に「好きな主人公から遊べます」というだけのものではありません。

ある人物の物語で起きた出来事が、別の人物から見るとどのように映るのか。別々に進んでいた物語がどこで交わり、最終的に5年後の破滅した未来へどうつながっていくのか。その全体像を少しずつ組み立てていくこと自体が、本作の物語を追う面白さになりそうです。

しかも、過去での選択は未来で仲間になる人物や世界の状況にも影響するとされています。誰と出会い、誰を仲間にし、4人の運命へどこまで介入できたのかによって未来が変わるのであれば、一度クリアして終わりではなく、別の進め方を試したくなる余地もかなり大きくなります。

『風花雪月』では最初に選んだ学級によって、その後に見える物語そのものが大きく変わりました。

対して『万紫千紅』では、4人の物語を最初から分断するのではなく、プレイヤー自身が好きな順番で行き来しながら、それぞれの運命を追いかけていく形を採っています。

同じ「複数の主人公による物語」でも、その見せ方はかなり違うものになりそうですし、この4人がどのようにつながっていくのかは、『万紫千紅』のストーリーを語るうえで大きな見どころになりそうです。

戦闘だけではない「準備」そのものが戦略になった

4人の主人公を切り替えながら、それぞれ異なる物語や活動を進めていく『万紫千紅』ですが、実際のプレイではもう一つ大きな判断を迫られることになります。

それが、「限られた時間を何に使うのか」という時間管理です。

大剣闘祭では試合と試合の間に準備期間が設けられており、先行プレイでは次の重要な戦いまで約70日という期間が提示される場面もあったとのこと。ただし、この70日間は自由に好きなことを全部こなせる猶予ではなく、何を優先するのかをプレイヤー自身が決めなければなりません。

たとえば、新しい仲間を探しに行くのか、それとも今いる仲間を訓練して戦力を底上げするのか。装備を整えるために素材を集めてもいいですし、遠くの街へ向かって新たな活動に時間を使うこともできます。

問題は、その一つひとつに時間が必要になることです。

特に重要なのが、ワールドマップを移動するだけでも日数が経過するという仕組み。気になる場所を見つけたからといって、とりあえず寄ってみるという遊び方を続けていれば、それだけ次の戦いまでの残り時間は減っていきます。

だからこそ、「この街まで行く価値があるのか」「今は仲間を増やすより育成を優先したほうがいいのか」といった判断が必要になり、戦闘が始まっていない時間にもプレイヤーは次の戦いについて考えることになります。

この仕組みは、『風花雪月』にもあった時間管理をさらに戦略寄りへ押し進めたものと考えると分かりやすいかもしれません。

『風花雪月』でもカレンダーに沿って物語が進み、限られた休日を散策や講習、出撃などに振り分けていました。ただ、『万紫千紅』では活動の種類が増えているうえ、広いワールドマップの移動まで時間の消費と結びついています。

つまり、「今日は何をするか」だけではなく、「どこへ行き、そこで何をして、残りの日数で何ができるのか」まで考えなければならないわけです。

先行プレイを担当した記者も、最初は大量の選択肢を前にして圧倒されたとしています。

ところが、しばらく遊んでいるうちに、この感覚が変わっていきました。

「あと70日しかない」と焦るのではなく、「70日あれば、どこまで自軍を強くできるのか」と考えるようになり、時間配分そのものが中毒性のある挑戦へ変わっていったと評価しています。

この違いはかなり大きいところです。

単純に期限を設けるだけなら、プレイヤーにとって時間制限は窮屈さにもつながります。しかし、その期間内に選べる行動が多く、それぞれに異なるメリットがあるなら、「何を諦めるか」まで含めて自分なりの攻略を考えられるようになります。

全員を満遍なく鍛える人もいれば、少数のユニットへ育成資源を集中させる人もいるはずです。新しい仲間との出会いを優先する人がいる一方で、今いるメンバーだけで勝てる部隊を作ろうとする人も出てくると思います。

その選択の積み重ねによって、同じ大剣闘祭へ挑んでいても、戦場へ立ったときの部隊構成や戦力がプレイヤーごとに変わってくる可能性があります。

そして、こうした準備を支える施設もかなり多く用意されています。

闘技場では訓練によって新たな技を習得でき、ショップでは武器や道具を購入するだけでなく、集めた素材を使った装備強化も可能。神殿で奉仕すれば能力上昇やダメージ軽減など、次の戦いに役立つ加護を得ることができます。

さらに資格試験を受ければ仲間を新しいクラスへ変更できますが、試験は受ければ必ず合格するわけではありません。必要な能力を育てたうえで挑戦する必要があるため、クラスチェンジにも育成方針が絡んできます。

ほかにも、街の住人から期限付きの依頼を受けたり、食事や贈り物を利用して新しい仲間を勧誘したりと、できることはかなり豊富です。

これだけ聞くと、逆に「やることが多すぎるのでは」と感じるところでもあります。

ただ、少なくとも先行プレイでは、それぞれの活動に違いがあるため単調な繰り返しには感じにくく、単純に作業量を増やしたというより、「どの活動を選択するのか」という戦略性が強くなっていると評価されています。

ここまで見ていくと、『万紫千紅』が目指しているものも少しずつ見えてきます。

従来のFEでは、戦場に出てからユニットをどこへ動かし、誰で敵を倒すかを考えることが戦略の中心でした。『万紫千紅』ではそこに、「その戦場へどんな状態でたどり着くのか」という部分まで加えようとしています。

70日という時間をどう使い、誰を仲間にして、誰を育て、どんな装備を用意したのか。その結果として出来上がった自分なりの部隊で大剣闘祭へ挑むのであれば、戦闘前の数十日も含めて一つの攻略になっていると言えます。

言い換えれば、『万紫千紅』では戦場へ入ってから戦いが始まるのではありません。

次の戦いまで残された日数が表示された、その瞬間からすでに戦いは始まっている。『風花雪月』から受け継いだ時間管理を、FE本来の戦略性へより深く結びつけたことこそ、『万紫千紅』で感じられる大きな進化の一つになりそうです。

仲間集めから農業まで?シリーズ最大級のボリュームになりそう

戦闘へ向けた準備まで含めてプレイヤーの判断が問われる『万紫千紅』ですが、そこで気になってくるのが、「実際にその時間を使って何ができるのか」という部分です。

先ほど触れた訓練や装備の強化だけでも選択肢は多いのですが、本作ではさらに仲間の勧誘や街の依頼、農業、ワールドマップの探索まで用意されており、もはや戦闘の合間に少し寄り道するという規模ではありません。

まず、拠点となる帝都ダグシオンにはさまざまな施設が存在します。

闘技場で訓練して新しい技を覚えたり、ショップで武器や道具を購入したり、集めた素材を使って装備を強化することも可能です。神殿で奉仕すれば能力上昇やダメージ軽減といった次の戦闘で役立つ加護を獲得でき、資格試験に挑戦することで仲間を新しいクラスへ変更することもできます。

ただし、資格試験については受ければ必ず成功するわけではなく、必要な能力をきちんと伸ばしてから挑戦する必要があります。つまり、クラスチェンジ一つを取っても「条件を満たしたから変更する」というだけではなく、そこへ至るまでの育成計画まで考える必要があるわけです。

さらに、街の住人から期限付きの依頼を引き受けたり、食事や贈り物を通じて新しい仲間を勧誘したりすることもできます。

このあたりは『風花雪月』を遊んだ人なら馴染みやすい部分ですが、『万紫千紅』ではそこへ農作物を育てる要素まで加わっています。宿屋で休息しながら経験値や素材を得ることもできるなど、育成方法そのものにも複数の選択肢が用意されているようです。

そして、活動範囲は帝都だけに収まりません。

街の外には広大なワールドマップが存在しており、各地の街を訪れてその土地の商品を購入したり、情報を集めたり、模擬戦で能力を伸ばしたりすることもできます。先ほど触れたように移動にも時間を使う以上、単なる観光ではなく、「そこまで足を運んで何を得るのか」を考えながら行き先を決めることになりそうです。

さらに面白いのが、ワールドマップ上に探索可能なダンジョンまで用意されていること。

ダンジョンでは普段のFEとは異なるターン制の戦闘が発生し、仲間との連続攻撃を使いながら敵を倒し、武器強化に使う素材や宝物を持ち帰るといった遊びが用意されています。先行プレイでは『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』を好む人にとって嬉しい要素として触れられており、シリーズ経験者なら懐かしさを感じる部分かもしれません。

こうして並べてみると、本作のボリュームがかなり大きなものになっていることが分かります。

大剣闘祭のシミュレーションバトルがあり、その合間には仲間の育成や勧誘がある。街の施設を利用して装備を整え、必要なら遠くの土地まで移動し、ダンジョンへ潜って素材や宝物を探すこともできる。そこへ4人それぞれの物語と固有の活動まで絡んでくるのですから、序盤だけで20時間以上かかったという話にも納得できます。

もっとも、単純にコンテンツの数が多ければ面白くなるわけではありません。

むしろ『万紫千紅』で重要なのは、これだけ大量の活動が用意されながら、それらを全部こなすことを前提にしていない点だと思います。

限られた日数の中でプレイする以上、ダンジョンへ行けば別の活動に使える時間は減りますし、仲間の勧誘を優先すれば、そのぶん育成や装備強化が後回しになるかもしれません。農業もサブクエストも存在するからといって、毎回すべて消化する必要があるわけではなく、「今回は何をするか」を自分で選ぶことになります。

先行プレイでも、やることの量自体は『風花雪月』より明らかに増えている一方、それぞれの活動に違いがあるため、以前より多彩に感じられたと評価されています。

ここは、『万紫千紅』の評価を大きく左右しそうな部分でもあります。

やることが大量にあるゲームでは、最初こそ新鮮でも、次第に「戦闘前に毎回こなしておく作業」が増えてしまうことがあります。まして本作は4人の主人公を切り替えながら進めるため、同じような活動を何度も繰り返す構造になってしまえば、後半ほど負担を感じやすくなるはずです。

その点、『万紫千紅』は主人公ごとに異なる活動を用意し、さらに時間制限によって「全部やる」こと自体を難しくしています。

これは見方を変えると、コンテンツを大量に用意しながら、プレイヤーにはその中から必要なものを選ばせる作りとも言えます。

何でもできるから全部やるのではなく、何でもできるからこそ何をやるのか迷う。その選択が育成や部隊編成へ反映され、最終的に戦場での戦いやすさまで変わってくるのであれば、戦闘以外の遊びにもきちんと意味が生まれます。

そして、これほどRPGとしての遊びが広がっても、やはり『ファイアーエムブレム』の中心にあるのはシミュレーションバトルです。

街の探索や農業、ダンジョンまで盛り込んだ結果、肝心の戦闘が薄くなってしまっては本末転倒ですが、その点についてはむしろ期待できる話が出ています。

特に『エンゲージ』の戦闘を好んでいた人にとって、次に紹介する部分はかなり気になるところだと思います。

肝心のシミュレーションバトルもかなり期待できそう

街を歩き回り、仲間を集め、装備を整え、ときにはダンジョンへ潜る。ここまで戦闘以外の遊びが増えていると、やはり気になるのは「肝心のシミュレーションバトルはどうなのか」という部分です。

特に『エンゲージ』の戦闘を高く評価していた人なら、『万紫千紅』が『風花雪月』寄りの方向へ大きく舵を切ったように見えて、戦闘そのものが物足りなくならないか不安を感じるかもしれません。

ただ、今回の先行プレイを見る限り、その心配はひとまずしなくてもよさそうです。

まず基本となるのは、これまでのシリーズと同じくマス目状のマップで行われるターン制のシミュレーションバトル。自軍と敵軍が交互に行動し、ユニットの能力や武器、地形などを見ながら一手ずつ動かしていくという根幹部分は、大きく変えられていません。

新しい要素を増やすために従来の戦闘システムそのものを作り直したというより、これまで積み重ねてきたFEの戦闘を土台に、その上へ新しい仕組みを加えていると考えたほうが近そうです。

その一方で、実際に遊んだときの手触りにはかなり力が入っているようで、メニューの反応は非常に速く、キャラクター育成の自由度も高いと評価されています。

シミュレーションRPGでは、一つの戦闘中に何度もユニットの能力や装備を確認し、敵の攻撃範囲を見ながら行動を決めることになります。そのため、メニューを開くたびに待たされたり、必要な情報へたどり着くまで何度も操作が必要だったりすると、それだけで長時間プレイした際のストレスにつながります。

そう考えると、メニューのレスポンスが速いという話は地味に見えて、かなり重要です。

そして何より期待したくなるのが、マップごとの攻略です。

先行プレイで体験できた戦闘では、単純に敵をすべて倒せば終わりというものばかりではなく、さまざまな勝利条件が用意されていたとのこと。具体的にどのような条件が存在するのかまでは今回の内容だけでは分かりませんが、少なくとも序盤から異なる状況に対応しながら戦う作りになっているようです。

ここで思い出したいのが、今回の先行プレイを担当した記者が『エンゲージ』派だったことです。

『エンゲージ』は紋章士を使った戦術だけでなく、敵の配置や増援、地形を利用したマップ攻略など、戦闘部分の作り込みを評価する声が目立った作品でした。

そんな戦闘重視の記者が、『万紫千紅』について「プレイを止めるのが難しかった」と感じるほど引き込まれています。もちろん序盤のみの評価なので、ゲーム後半まで同じ水準を維持できるかは分かりませんが、少なくとも「戦闘以外の要素ばかり増えて、FE本来のバトルが薄くなった」という印象ではなかったことは読み取れます。

むしろ本作の場合、これまで紹介してきた戦闘前の準備と、実際のシミュレーションバトルがつながっているところに面白さがありそうです。

たとえば次の戦いまで70日あるとして、その時間を使って特定のユニットを集中的に鍛えることもできますし、新しい仲間を探すこともできます。装備を強化したり、資格試験を受けてクラスを変更したり、神殿で次の戦いに役立つ加護を得る選択もある。

そうして自分で作り上げた部隊を、今度はマス目状の戦場へ送り出すことになります。

戦闘だけを切り取れば従来のFEに近くても、そこへ至るまでの過程が違えば、同じマップでも攻略方法は変わってくるはずです。

あるプレイヤーは育成した少数のユニットを中心に突破するかもしれませんし、別のプレイヤーは仲間を増やして数の選択肢を広げているかもしれない。限られた時間の中で何を優先したのかが、そのまま戦場で使える手札の違いとして現れるなら、準備と戦闘を別々のゲームとして考える必要もなくなります。

『風花雪月』では、戦闘と士官学校での生活という二つの柱を組み合わせたことで、それまでのFEとはかなり違った遊び方が生まれました。一方の『エンゲージ』では、紋章士を中心とした仕組みによって、目の前の戦況をどう崩していくかという戦術面が強く押し出されています。

そして『万紫千紅』は、どちらか片方を選ぶのではなく、その両方を一つの流れとして成立させようとしているように見えます。

戦闘までの数十日で部隊を作り、実際の戦場ではその成果を使って難局を突破する。そのうえで次の戦いへ向けて、また限られた時間の使い方を考える。

この循環が最後までうまく機能するのであれば、『万紫千紅』は単に『風花雪月』の要素を増やした作品ではなく、育成と戦闘をより強く結びつけたFEになるかもしれません。

そして、そんな本作の戦闘に新しい駆け引きを加えているのが、4人の主人公だけが使える「ブレイズアーツ」です。

HPを削って大技を放つ「ブレイズアーツ」が面白い

戦闘前の準備と実際のシミュレーションバトルが密接につながっている『万紫千紅』ですが、戦場での駆け引きにも本作ならではの新要素が用意されています。

その一つが、4人の主人公がそれぞれ使用できる特殊能力「ブレイズアーツ」です。

強力な特殊能力と聞くと、『エンゲージ』に登場した紋章士とのエンゲージ技を思い浮かべる人もいるかもしれません。ただ、ブレイズアーツで面白いのは、強力な効果を得る代わりに自身のHPを消費するという、かなり分かりやすいリスクが設けられているところです。

主人公によって効果も大きく異なっており、広範囲へ炎を放つ攻撃があれば、黒い街灯を利用して別の場所へ移動する能力も存在します。さらにレダは楽器を奏でて仲間を強化したり、強力な魔物を召喚したりと、単純に敵へ大ダメージを与えるだけのシステムではありません。

つまり、それぞれの主人公が持つ個性そのものが、戦場で使える切り札として表現されているわけです。

ただし、先ほど触れた通りブレイズアーツにはHP消費という代償があります。

ここが単なる派手な必殺技とは少し違うところで、強力だからといって使える場面で毎回発動すればいいわけではありません。

たとえば、目の前に厄介な敵がいるとします。

ブレイズアーツを使えば一気に倒せるものの、その代償として自分のHPが減ってしまう。その直後に別の敵から攻撃される可能性があるなら、「今ここで倒してしまうべきか、それともHPを残して次の攻撃へ備えるべきか」という判断が生まれます。

場合によっては、強敵を倒すために放った大技が原因となり、その後の反撃で主人公自身が倒されることもあり得ます。

先行プレイでも、大きな一撃を与えるメリットと、その後に生まれる危険を天秤にかける仕組みが戦術として面白いと評価されていました。

FEというゲームを考えると、この「強いけれど使えば自分も危険になる」という仕組みはかなり相性が良さそうです。

シリーズでは、敵を一体倒せるかどうかだけではなく、その攻撃をしたあとに自分のユニットがどこへ残るのかまで考える必要があります。目の前の敵を倒せたとしても、次の敵フェイズで集中攻撃を受ければ意味がありません。

そこへHPを削るブレイズアーツが加われば、「このターンを乗り切るために切り札を使う」という判断にも、これまで以上の重みが生まれます。

さらに興味深いのが、複数の主人公が同じ部隊へ加わった場合です。

物語の展開によっては複数の主人公が一緒に戦う場面があり、その際には異なるブレイズアーツを続けて使用することもできます。

攻撃型のブレイズアーツで敵陣を崩したあと、レダの能力で味方を強化し、さらに別の主人公の移動能力を使って敵の懐へ入り込む。実際にどこまで複雑な連携が可能なのかは製品版を待つ必要がありますが、主人公が増えるほど戦術の組み合わせも広がっていく仕組みにはなっているようです。

ここは、4人の主人公を採用したことが物語だけではなく、戦闘にも意味を持ってくる部分でもあります。

それぞれ別の物語を進めていた主人公たちが同じ戦場へ集まり、それまで個別に使っていた能力を組み合わせて戦うとなれば、ストーリー上の盛り上がりとゲームとしての面白さを同時に作れます。

何より、『エンゲージ』で評価された「強力な能力をどこで切るか」という駆け引きを、まったく同じシステムを引き継ぐのではなく、別の形で作ろうとしているところが興味深いです。

『エンゲージ』では紋章士との組み合わせによってユニットの役割を大きく変えられましたが、『万紫千紅』では主人公自身のHPをリソースとして使いながら、その人物ならではの能力を発動する形になっています。

もちろん、現時点で確認できているのは序盤の範囲に限られています。

ブレイズアーツが全部でどれほど存在するのか、ゲーム後半でHP消費というデメリットがどこまで機能するのか、強力な組み合わせによってバランスが崩れないのかといった部分までは、まだ判断できません。

それでも、単純に新しい必殺技を追加しただけではなく、「使えば強い、でも使ったあとのことまで考えなければならない」というFEらしい駆け引きへ落とし込んでいるのは好印象です。

戦闘前には限られた日数をどう使うか悩み、いざ戦場へ入れば今度はHPを削って切り札を使うか悩む。こうして見ると、『万紫千紅』はゲームのさまざまな場面で、プレイヤーに「何を優先するのか」を選ばせる作品になっていることが見えてきます。

Switch 2ならではのマウス操作にも対応

ここまで紹介してきたように、『万紫千紅』はゲームシステムそのものをかなり大きく広げていますが、操作面でもシリーズでは初となる試みが取り入れられています。

それが、Joy-Con 2を使ったマウス操作への対応です。

Nintendo Switch 2ではJoy-Con 2を横向きにして動かすことで、PCのマウスに近い操作ができます。『万紫千紅』ではこの機能を利用し、ユニットを直感的に動かしたり、マップ上の情報へ素早くアクセスしたりできるようになっています。ファイアーエムブレムシリーズがマウス操作へ正式対応するのは、本作が初めてとのことです。

そもそもシミュレーションRPGとマウス操作の相性自体は、かなり良い組み合わせです。

マップ上に複数のユニットが並び、その中から一人を選んで移動先や攻撃対象を指定する。こうした操作はPC向けのストラテジーゲームでは珍しくありませんし、『ファイアーエムブレム』のようにマス目を基準としてユニットを動かすゲームでも、違和感なく取り入れやすい操作方法と言えます。

特に『万紫千紅』は、戦場以外でも確認する情報がかなり多い作品です。

4人の主人公を切り替えながら仲間を育て、装備を整え、限られた日数を管理する。戦闘に入れば今度はユニットの能力や敵の位置を確認しながら一手ずつ動かす必要があるため、カーソルを直接動かして目的の場所を指定できるマウス操作がうまく機能すれば、かなり快適になる可能性があります。

とはいえ、現時点で「ボタン操作より明らかにマウスのほうが遊びやすい」とまでは言えません。

先行プレイを担当した記者も、マウスによる細かな指定については評価しつつ、完全に操作へ慣れるところまではいかなかったとしています。

Joy-Con 2を横向きにして机の上で滑らせる操作が、長年コントローラーでFEを遊んできた人にとって本当に快適なのか。このあたりは、実際に製品版を触ってみなければ判断しにくい部分です。

そもそもFEの操作は、従来のコントローラーでもかなり完成されています。

方向キーやスティックでマスを移動し、ボタンを押してユニットを選択するという操作に慣れている人なら、わざわざマウスへ持ち替えるより、そのままボタンで操作したほうが早いと感じる可能性もあります。

それでも面白いのは、どちらか一方へ操作方法を固定されるわけではないことです。

『万紫千紅』ではボタン操作とマウス操作を途中で自由に切り替えられるため、携帯モードではこれまで通りボタンで遊び、Switch 2を机に置いてプレイするときにはマウスを使う、といった使い分けもできます。

そう考えると、マウス対応は本作の遊び方を根本から変える新システムというより、プレイヤーが自分に合った操作方法を選べる選択肢が増えた、と捉えたほうが自然です。

そして、こうした部分にもSwitch 2専用タイトルとして作られた意味が少し見えてきます。

『万紫千紅』は単純に『風花雪月』や『エンゲージ』を高解像度にした作品ではなく、4人の主人公、広大なワールドマップ、膨大な育成要素に加えて、Joy-Con 2の新しい操作方法まで取り入れています。少なくとも現時点で明らかになっている内容を見る限り、新しいハードでシリーズを始めるにあたって、できることをかなり積極的に広げようとしている印象があります。

ただ、その「できることの多さ」は、『万紫千紅』最大の魅力であると同時に、現時点で最も気になる部分でもあります。

実際、20時間以上遊んで本作を高く評価した記者でさえ、最初から最後まで不満がなかったわけではありません。

むしろ序盤では何度もゲーム全体の規模に圧倒されており、4人の物語に育成、仲間集め、時間管理、ワールドマップ、ダンジョンまで詰め込まれた結果、「面白そうなことが多すぎる」という本作ならではの問題も見えてきています。

面白そうだからこそ気になる「要素が多すぎる」という不安

ここまで見てきた『万紫千紅』は、4人の主人公による物語、時間管理を絡めた育成、ワールドマップやダンジョン探索、そして従来のFEらしいシミュレーションバトルと、とにかく遊べる要素が多い作品です。

一つひとつを見ると魅力的ですし、「ここまでできるのか」と期待したくなる内容でもあります。

ただ、これらをすべて一つのゲームへ詰め込むとなれば、当然ながら別の心配も出てきます。

それが、あまりにもやることが多すぎて、プレイヤーが疲れてしまわないかという点です。

実際、20時間以上プレイして最終的には『万紫千紅』を高く評価した記者も、序盤ではゲーム全体の規模と情報量に何度も圧倒されたとしています。

考えてみれば、それも無理はありません。

4人それぞれの物語を追いかけながら、次の大剣闘祭までの日数も気にしなければならない。その間には仲間の勧誘や育成、クラス変更、装備の強化があり、街の依頼もこなしつつ、必要ならワールドマップを移動して別の街やダンジョンへ向かうことになります。

これだけ選択肢があると、何をするか考える楽しさが生まれる一方で、「やっていないこと」が気になり始める可能性もあります。

特にRPGを遊ぶとき、サブクエストや育成要素をなるべく取りこぼしたくない人にとっては厄介です。

期限付きの依頼が表示されれば終わらせたくなりますし、仲間にできそうな人物がいれば勧誘したくなる。新しいダンジョンを見つければ探索したくなりますし、育成できるキャラクターが残っていれば、できるだけ強くしてから次の戦いへ進みたいと考える人もいるはずです。

しかし、『万紫千紅』ではワールドマップを移動するだけでも時間が進むため、そうした要素を片っ端から消化していく遊び方とは、そもそものゲーム設計が噛み合っていない可能性があります。

何かを選べば、別の何かを諦める。

本作では、その割り切りまで含めてゲームの一部として受け入れられるかどうかが、かなり重要になりそうです。

もっとも、制作側も「大量の要素を全部こなしてください」という作りにはしていないようで、準備をある程度省略して次のメイン戦闘へ進むこともできます。どこまで寄り道するかはプレイヤー側に委ねられているため、興味のある活動だけを選んで進めることも可能です。

ここは、『万紫千紅』の時間管理をどう捉えるかによって印象がかなり変わるところだと思います。

「せっかく用意されているコンテンツなのだから、全部やらなければ損だ」と考えると、70日という期限はプレイヤーを急かすものになります。

一方で、「全部はできないから、自分に必要なものを選ぶゲームだ」と考えれば、同じ70日でも意味が変わってきます。

今回は仲間集めを優先したから、装備強化にはあまり時間を使えなかった。別のプレイでは遠方の街へ行かず、その時間を育成に回してみる。そうやってプレイヤーごとに異なる過程をたどるのであれば、時間制限は自由を奪うためではなく、選択に意味を持たせるための仕組みとして機能します。

先行プレイを担当した記者が、序盤では情報量に圧倒されながら、最終的にはその複雑さに夢中になったという話も、この部分とつながっています。

最初は「やることが多すぎる」と感じていたものが、ゲームの仕組みを理解するにつれて「この中から何を選ぶか」に変わっていった。

ここが最後まで維持されるのであれば、『万紫千紅』の膨大なボリュームは大きな強みになるはずです。

逆に、ゲーム後半になって毎回同じ活動を繰り返すようになったり、効率を考えると実質的に選ぶべき行動が決まってしまったりすれば、序盤では楽しかった時間管理が作業へ変わる可能性もあります。

このあたりは20時間の先行プレイだけでは、まだ判断できません。

さらに本作には4人分の物語が存在するため、一つひとつのルートが最後まで十分な密度を保てるのか、主人公を切り替えながら遊んだときにテンポが崩れないのかという問題も残っています。実際、先行プレイの段階では、4つの物語の完成度や時間管理が終盤まで面白さを維持できるかについては、製品版で確認すべき部分として残されています。

そして、この「テンポ」という意味でもう一つ気になるのが、戦闘以外の活動量とは別に指摘されている会話シーンの長さです。

物語を楽しむタイプの記者でさえ、序盤では少し退屈に感じる場面があったとされており、『万紫千紅』が大規模な作品になったからこその問題が、こちらにも見え始めています。

5~10分続く会話シーンは人を選ぶかもしれない

やることの多さに加えて、もう一つ先行プレイで気になる点として挙げられていたのが、会話シーンの長さです。

『ファイアーエムブレム』はもともと物語やキャラクター同士の会話をじっくり描くシリーズなので、会話が多いこと自体はそれほど珍しくありません。特に『万紫千紅』では4人の主人公が存在し、それぞれ異なる目的や仲間を抱えて物語が進むため、従来作以上に説明しなければならないことが多いのも想像できます。

とはいえ、今回の先行プレイでは序盤から5~10分ほど続く会話シーンが何度も登場したとのことです。

しかも、この点を指摘した記者は「ストーリーには興味がないから早く戦わせてほしい」というタイプではありません。物語を楽しむプレイヤーでありながら、それでも一部の会話については少し退屈に感じたとしています。

ここは、少し気になるところです。

というのも、『万紫千紅』はただでさえゲーム全体の情報量がかなり多くなっています。

物語だけを見ても4人の主人公がいて、それぞれに仲間や目的がある。そこへダグダ帝国や大剣闘祭、神々の存在、5年後に訪れる破滅した未来、さらに過去へ戻って運命へ介入するという設定まで絡んできます。

これだけの要素をプレイヤーへ理解してもらうためには、どうしても序盤で説明する時間が必要になります。特に4人の主人公を好きなタイミングで切り替えられる構成である以上、誰を操作しても物語についていけるよう、それぞれの立場や人間関係を丁寧に描かなければならないはずです。

その意味では、序盤の会話が長くなること自体には納得できる部分もあります。

ただし、「必要な説明が多いこと」と「会話が長くても気にならないこと」は別の話です。

どれだけ設定が重要でも、説明が続く時間が長くなれば、プレイヤーが実際に操作できない時間も増えていきます。まして『万紫千紅』には、シミュレーションバトルだけでなく、街の探索や育成、ワールドマップ、ダンジョンなど自分で触って遊びたい要素が大量に用意されています。

「次はあそこへ行きたい」「このキャラクターを育てたい」と考えているところで、毎回のように長い会話が挟まれるようなら、ゲーム全体のテンポに影響してくる可能性はあります。

特に戦闘を目的にFEを遊ぶ人にとっては、なおさら気になるはずです。

今回の記者が『風花雪月』より『エンゲージ』を好んでいた理由の一つも、戦闘へ入るまでの寄り道を長く感じることがあったからでした。『万紫千紅』では街での活動そのものについては「何をするかを選ぶ戦略」へ変わったことで評価が好転していますが、会話については別の問題として残っています。

だからこそ、製品版で注目したいのは、ゲームが進むにつれて会話とプレイの比率がどう変化していくのかです。

序盤だけ説明が集中しており、世界観や4人の立場を理解したあとはテンポよく進むのであれば、それほど大きな問題にはならないかもしれません。実際、先行プレイを担当した記者も、後半では会話の比重が落ち着いてほしいという率直な感想を残しています。

逆に、4人それぞれの物語を進めるたびに長い会話が頻繁に挟まれるのであれば、総プレイ時間が長くなるほど負担を感じる人も出てきそうです。

そして、この問題は4人の主人公を採用したこととも無関係ではありません。

一人の主人公だけを追いかける作品なら、その人物を中心に必要な情報を順番に提示できます。しかし本作では、4人それぞれに異なる人間関係と物語があり、しかも途中で自由に切り替えられます。

4つの物語をしっかり描こうとすればするほど会話量は増えやすく、一方でテンポを優先しすぎれば、今度は一人ひとりの掘り下げが足りなくなる。そのバランスをどう取るのかは、『万紫千紅』のストーリーを評価するうえでかなり重要になりそうです。

ただ、現段階では長い会話があるという一点だけで、物語のテンポが悪いと決めつけることもできません。

今回公開されているのはあくまで序盤の先行プレイであり、ゲーム全体を通した会話量や後半のテンポまでは確認できていないからです。むしろ4人の物語が交差し、過去での選択が未来へつながっていく構成を考えれば、序盤で積み上げた情報が後になって効いてくる可能性もあります。

重要なのは、その長さに見合うだけの物語を見せてくれるかどうか。

ここが成立すれば4人の主人公という大掛かりな構成は『万紫千紅』の大きな魅力になりますし、反対に説明ばかりが増えてしまえば、せっかく面白そうな戦闘や育成へなかなか進めないという不満にもつながります。

そして結局のところ、この問題を含めて『万紫千紅』で問われるのは、「これだけ多くの要素を一つのゲームとしてまとめられるのか」という点です。

『風花雪月』で評価された育成や交流をさらに広げながら、『エンゲージ』で評価された戦闘の面白さまで取り込もうとしている。その二つが本当に高い水準で噛み合うのかどうかが、本作最大の注目点になってきます。

『万紫千紅』は「風花雪月×エンゲージ」の完成形になるのか

ここまで『万紫千紅』の内容を追ってくると、本作が目指している方向性はかなりはっきりしてきます。

『風花雪月』で大きく広がった育成や交流、時間管理といった要素をさらに発展させながら、シミュレーションバトルについても妥協しない。言ってしまえば、近年のFEで評価されてきた二つの方向性を、一つの作品にまとめようとしているように見えます。

『風花雪月』の魅力は、単に戦闘が面白いだけではありませんでした。

士官学校で生徒たちと過ごし、食事をしたり教育したりしながら少しずつ関係を深めていく。そうして長い時間を共に過ごした仲間だからこそ、戦場で危険な場所へ送り出すときにも自然と感情が動きます。

一方で、『エンゲージ』はかなり違った方向からFEの面白さを追求した作品でした。

特に評価されたのが戦闘部分で、マップごとの攻略や育成の自由度、紋章士を誰と組み合わせるのかといった部分に、多くの駆け引きが用意されていました。

だからこそ、この2作品は同じシリーズでありながら、「どちらが好きか」で意見が分かれやすいところがあります。

キャラクターや物語を重視するなら『風花雪月』が好きだけれど、戦闘だけなら『エンゲージ』のほうが好き。反対に、『エンゲージ』の戦闘は面白かったものの、世界観やキャラクターへの思い入れでは『風花雪月』のほうが印象に残ったという人もいると思います。

『万紫千紅』が面白いのは、そのどちらかへ寄せるのではなく、両方をかなり欲張って取り込もうとしているところです。

4人の主人公にはそれぞれ異なる物語があり、街では仲間との交流や勧誘、育成を行える。限られた日数をどう使うかという時間管理も存在し、ワールドマップへ出れば街やダンジョンを探索できます。

ここだけを見ると、確かに『風花雪月』の方向性をさらに押し広げた作品です。

ところが、肝心の戦闘は従来のFEらしいターン制シミュレーションを維持しながら、マップごとに異なる目的を用意し、さらにHPを消費して使うブレイズアーツによって新しい駆け引きも加えています。

先行プレイの内容でも、『万紫千紅』は『風花雪月』の育成や交流、時間管理を拡大しつつ、『エンゲージ』のような戦闘の面白さも重視した作品として捉えられています。

そして何より、この方向性に説得力を与えているのが、20時間以上プレイした記者自身の評価です。

最初にも触れた通り、この記者は『風花雪月』より『エンゲージ』を好む戦闘重視のプレイヤーでした。『万紫千紅』を遊ぶ前には、戦闘以外の要素がさらに増えていることを警戒していたにもかかわらず、実際に遊んでいくうちにその複雑さへ引き込まれています。

最終的には、まだ本作に用意された要素の一部しか体験していないように感じるとしながらも、戦闘と非戦闘パートの多彩さが最後まで続くのであれば、任天堂は「特別な一本」を用意しているかもしれないというところまで評価が変わりました。

これは発売前の評価として、かなり興味深いものです。

もし最初から『風花雪月』が大好きなプレイヤーだけが絶賛しているのであれば、「その路線がさらに好きな人には刺さる作品」と考えることもできます。

しかし今回は、その方向性をむしろ不安視していたプレイヤーが実際に20時間触ったうえで、考えを変え始めています。

戦闘以外の活動をただ増やすのではなく、限られた時間の中で何をするかを考えさせる。街での育成や仲間集めを次の戦闘へつなげ、戦場へ入ればブレイズアーツを含めた別の判断を求める。

そう考えると、『万紫千紅』で増えた大量の要素には、少なくとも「プレイヤーに選ばせる」という共通した考え方が見えてきます。

もちろん、それが最後までうまく機能するかは別の話です。

要素が多すぎるあまり後半になるほど作業感が強くなる可能性はありますし、4人の物語をそれぞれ十分な密度で描けるのかも分かりません。時間管理が数十時間遊んだあとにも面白さを保っているのか、5~10分続くこともある会話と戦闘のバランスが適切なのかについても、現段階では答えが出ていない部分です。

だから、今の時点で「『風花雪月』を超えた」と断言するのはさすがに早いと思います。

それでも、『風花雪月』をただ大規模にしただけではなく、そこで生まれた課題へ手を入れながら、『エンゲージ』で評価された戦闘の面白さまで取り込もうとしているのは確かです。

『風花雪月』で仲間と過ごす時間が好きだった人にも、『エンゲージ』で一手を考え続ける戦闘が好きだった人にも、それぞれ気になる部分がある。

もし、この二つを最後まで高い水準で両立できたなら、『万紫千紅』は「風花雪月を超えるのか」という今回の記事タイトルにも、十分に答えを出せる作品になるはずです。

少なくとも20時間の先行プレイから見えてきたのは、過去の人気作をなぞっただけのFEではありません。

『風花雪月』で広げたシリーズの可能性と、『エンゲージ』で磨いた戦闘の面白さ。その両方をさらに先へ進めようとしているからこそ、『万紫千紅』はSwitch 2世代最初の完全新作にふさわしい、かなり野心的な一本になりそうです。

キャラクターや物語を掘り下げた別ジャンルのレビューも書いています

『ファイアーエムブレム』シリーズの面白さを語るうえで、やはり外せないのがキャラクターの存在です。

戦闘や育成が面白いだけではなく、それぞれ異なる事情を抱えた人物が出会い、物語が進むにつれて関係性まで変わっていく。『万紫千紅』についても、ゲームシステムの進化はもちろんですが、最終的には「この世界でどんな人物たちと出会えるのか」という部分が、作品への印象を大きく左右すると思っています。

そして普段このブログではゲームを中心に扱っていますが、別サイトではジャンルを分けて、成人向けの二次元作品を対象に、ストーリーやキャラクター、登場人物同士の関係性に注目したレビューも書いています。

扱っている作品も対象年齢も本ブログとは異なりますが、単純に作品を紹介するだけではなく、「どんな物語なのか」「キャラクターがどのように描かれているのか」といった部分まで掘り下げているので、そうした作品レビューが好きな方には楽しんでもらえるかもしれません。

なお、リンク先は成人向けコンテンツを専門に扱う別サイトとなります。

興味のある18歳以上の方のみ、下記からご覧ください。

二次元作品のレビューサイト「アダルトナラティブ研究所」

※リンク先には成人向けコンテンツが含まれます。

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