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バイオハザード RE:3は短すぎる?Switch2版で再評価した完成度と物足りなさ

バイオハザード RE:3は短すぎる?Switch2版で再評価した完成度と物足りなさ

2020年に発売された『バイオハザード RE:3』は、1999年の『バイオハザード3 LAST ESCAPE』を現代の技術で作り直したフルリメイク作品です。前作『バイオハザード RE:2』が高く評価されただけに、本作にも大きな期待が寄せられましたが、発売後はゲームのボリュームや探索要素の少なさを中心に、評価が分かれる結果となりました。

そんな『バイオハザード RE:3』が、Nintendo Switch 2でも遊べるようになりました。映像表現や操作性は現在でも十分に通用する仕上がりで、ジル・バレンタインとカルロスが繰り広げるラクーンシティからの脱出劇には、思わず引き込まれる迫力があります。

ただ、実際に遊んでみると、アクションの爽快感や演出の完成度が高い一方で、サバイバルホラーとしては物足りなさも残ります。特に気になるのは、単純にクリアまでの時間が短いことではなく、探索や戦闘で積み重ねた判断が、その後の攻略に十分つながっていない点です。

では、なぜ『RE:2』では感じられた探索の面白さが、本作では薄れてしまったのか。そして、発売当時から指摘されてきた問題を抱えながらも、Switch 2版には改めて遊ぶ価値があるのか。

作品の魅力と惜しかった部分を整理しながら、現在の『バイオハザード RE:3』を評価していきます。

バイオハザード RE:3はなぜ評価が分かれたのか?

『バイオハザード RE:3』の評価を考えるうえで、まず押さえておきたいのが、原作『バイオハザード3 LAST ESCAPE』の特徴です。

1999年にPlayStation向けに発売された原作は、前作『バイオハザード2』と同じラクーンシティを舞台に、特殊部隊S.T.A.R.S.の隊員であるジル・バレンタインが、崩壊していく街からの脱出を目指す作品でした。

物語の時系列は『バイオハザード2』の前後にまたがっており、同じ事件を異なる人物の視点から描いている点も特徴です。レオンやクレアが警察署を中心に事件の真相へ迫っていた一方で、ジルは街そのものを移動しながら、生き延びるための道を探していきます。

そして、原作を象徴する存在が、ジルを執拗に追い続ける生物兵器「ネメシス」です。

従来のシリーズにも強力な敵は登場していましたが、ネメシスは特定の場所で待ち構えるだけでなく、プレイヤーの行動を妨害する追跡者として恐怖を生み出していました。安全だと思っていた場所でも突然襲われる可能性があり、単に敵を倒すだけでは解決できない緊張感があったわけです。

さらに原作には、プレイヤーの選択によって展開が変わる「ライブセレクション」も用意されていました。危機的な場面でどの行動を選ぶかによって、その後の展開に違いが生まれるため、繰り返し遊ぶ楽しさにもつながっています。

もっとも、原作がシリーズの中でも突出した完成度を誇っていたかといえば、必ずしもそうではありません。『バイオハザード2』と比較すると全体の規模は控えめで、探索や謎解きの充実度にも物足りなさが残っていました。

だからこそ、リメイクには大きな期待があったのです。

2019年に発売された『バイオハザード RE:2』は、原作の魅力を残しながら、肩越し視点による戦闘や現代的な映像表現を取り入れ、探索とサバイバルの面白さを見事に再構築していました。

警察署の複雑な構造を把握し、限られた弾薬を管理しながら、どの経路を通れば安全に目的地へ到達できるのかを考える。こうした判断の積み重ねが攻略につながる仕組みは、シリーズが持つ面白さを改めて実感させてくれました。

その流れを受けて登場した『RE:3』にも、原作の弱点を補いながら、さらに完成度を高めた作品になることが期待されていたはずです。

実際、リメイクによって進化した部分は少なくありません。

崩壊したラクーンシティの描写は非常に迫力があり、ジルやカルロスの人物像も原作以上に丁寧に描かれています。操作面でも緊急回避が追加され、迫り来る敵の攻撃をかわしながら反撃するアクションには、独特の爽快感が生まれました。

ところが、ゲーム全体の構成に目を向けると、期待していた進化とは異なる方向へ進んでいたことが分かります。

特に大きかったのは、探索できるエリアの縮小と、物語の分岐要素が削除されたことです。

原作で訪れることができた場所の一部は探索対象から外され、ゲームの進行も、決められた目的を達成して次のエリアへ移動する構成が中心になりました。場面ごとの演出には迫力があるものの、自分で街を調べ、進む道を考えながら危機を切り抜ける機会は限られています。

また、初回クリアまでのプレイ時間は、おおむね5〜6時間程度です。もちろん、ゲームの面白さはプレイ時間だけで決まるものではありませんし、短い時間に密度の高い体験を詰め込んだ作品にも十分な価値があります。

ただし、本作の場合は、もう少し探索したかったと感じる場面が多く、せっかく作り込まれたラクーンシティを十分に味わう前に、次の展開へ進んでしまう印象が残りました。

『RE:2』では、探索によって得た知識や物資が、その後の戦闘や移動の判断に影響していました。一方の『RE:3』は、目の前の危機を突破する楽しさこそあるものの、それまでの経験を生かして攻略を組み立てる面白さが弱くなっています。

つまり、本作の評価が分かれた理由は、単にボリュームが少ないからではありません。

映像やアクションが大きく進化した一方で、探索・戦闘・追跡が連動するサバイバルホラーとしての面白さが、十分に引き出されていなかったこと。 そこに『RE:2』との完成度の差を感じる大きな理由があります。

もっとも、こうした構成は、テンポよく物語を楽しみたいプレイヤーにとっては長所にもなります。複雑な探索よりも、次々と発生する危機をアクションで突破していく展開を好むのであれば、『RE:3』の方向性にも魅力を感じられるはずです。

この違いを踏まえると、本作は単純に出来の悪いリメイクというより、シリーズに何を求めるかによって評価が大きく変わる作品だと感じます。

ジルとカルロスの描写は大幅進化!リメイクで際立った魅力

『バイオハザード RE:3』は探索やゲーム全体の構成に物足りなさが残る一方で、リメイクによって確実に魅力が増した部分もあります。なかでも印象的なのが、主人公ジル・バレンタインとカルロス・オリヴェイラの人物描写、そして崩壊したラクーンシティの表現です。

まず、主人公のジルについては、単に強くて頼れる女性というだけでなく、過去の事件によって深い心の傷を負った人物として描かれている点が大きな変化でした。

ジルは初代『バイオハザード』で描かれた洋館事件の生存者であり、アンブレラが引き起こした惨劇を実際に経験しています。特殊部隊S.T.A.R.S.の隊員として優れた戦闘能力を持っていますが、だからといって、あの事件の恐怖を簡単に忘れられるわけではありません。

本作の冒頭では、悪夢に苦しむジルの姿が描かれています。過去の出来事が今も彼女を苦しめていることが伝わってくるため、その後に見せる冷静な判断や大胆な行動にも、単なる主人公としての強さとは異なる説得力が生まれていました。

特に良かったのは、恐怖を感じない人物として描かれているのではなく、恐怖を知っているからこそ、それでも前へ進もうとする姿勢が強調されていることです。

街が崩壊し、次々と危険が迫る状況でも、ジルは自分の置かれた状況を判断しながら行動を続けます。そうした姿を見ていると、彼女が生き延びるために必死になっていることが自然と伝わってきますし、プレイヤーとしても脱出を目指す目的に感情移入しやすくなっています。

そして、もう一人の操作キャラクターであるカルロスも、リメイクによって存在感が大きく増した人物です。

カルロスは、アンブレラが組織した私設部隊U.B.C.S.に所属する傭兵として登場します。アンブレラといえば、ジルにとって洋館事件の元凶ともいえる企業ですから、その関係者であるカルロスを最初から信用できないのも無理はありません。

ところが、実際のカルロスは、取り残された市民を救うために危険な場所へ飛び込み、自分自身も命の危険にさらされながら行動しています。所属している組織と、目の前にいる人物の行動が必ずしも一致していないところに、彼の人間的な魅力があると感じました。

ジルも最初は警戒心を隠しませんが、カルロスと行動を共にするなかで、少しずつ彼を信頼するようになります。この関係の変化が一方的な説明ではなく、会話や互いを助ける場面を通して描かれているため、二人が協力して危機を乗り越えていく展開にも無理がありません。

また、カルロスを操作する場面では、ジルとは異なる戦闘スタイルを楽しめる点も魅力です。アサルトライフルを中心とした戦闘に加え、接近してきた敵をタックルで押し返すこともできるため、同じラクーンシティを舞台にしていても、操作する人物によって戦い方が変わります。

こうしたゲームプレイ上の違いが、それぞれの人物像とも結びついているところは、リメイクとして評価したい部分です。

さらに、二人の脱出劇を支えるラクーンシティの描写も見逃せません。

『RE:2』では警察署を中心とした閉鎖的な空間が印象的でしたが、『RE:3』では崩壊していく市街地そのものが、物語の重要な舞台となっています。

炎に包まれた建物や、ネオンの光が残る街路、商品が置き去りにされた店舗など、少し前まで多くの人々が生活していたことを感じさせる風景が丁寧に作り込まれています。特に印象に残るのは、街のあちこちに人々の暮らしの痕跡が残されていることです。

単にゾンビが徘徊する危険な場所として描くのではなく、そこに存在していた社会が突然崩壊したことまで伝わってくるため、ラクーンシティという舞台そのものに説得力があります。

また、市街地から下水道、病院へと移動するにつれて周囲の雰囲気も変わり、それぞれの場所で異なる緊張感を味わえる構成になっています。特に病院は、薄暗い通路や入り組んだ部屋の配置が印象的で、周囲を警戒しながら進むサバイバルホラーらしい面白さも感じられました。

ただ、これだけ魅力的な舞台が用意されているからこそ、探索できる範囲が限られていることには惜しさが残ります。

例えば、序盤の市街地では店舗や路地を調べながら物資を集められますが、物語が進むにつれて自由に行動できる場面は少なくなっていきます。せっかく細部まで作り込まれた街なのに、その場所を十分に調べる前に次の展開へ移ってしまうため、もう少し長くラクーンシティを歩き回りたかったという気持ちが残りました。

とはいえ、人物描写と世界観の再構築という点では、『RE:3』は十分に評価できる作品です。

ジルが抱える過去の恐怖や、カルロスとの間に生まれる信頼関係が丁寧に描かれたことで、単なる街からの脱出劇にとどまらず、登場人物の行動や感情にも目を向けながら楽しめるようになっています。

特に、ジルとカルロスの関係性は、原作を知っている人にも改めて注目してほしい部分です。 二人が置かれた立場の違いを踏まえて会話や行動を見ていくと、リメイクによって人物描写がどれだけ充実したのかを実感できます。

それだけに、魅力を増した登場人物や街並みを生かし、探索や戦闘をもう少しじっくり楽しめる構成になっていれば、作品全体の印象も大きく変わっていたように思います。

爽快なアクションなのに恐怖が薄い?戦闘システムの問題点

『バイオハザード RE:3』は、キャラクターや世界観の表現だけでなく、戦闘システムにも大きな変化が加えられています。特にジルの緊急回避は、従来のシリーズとは異なるアクション性を生み出しており、敵の攻撃をかわしながら反撃する戦い方には独特の爽快感がありました。

ただ、実際に遊んでいて気になったのは、こうした操作の快適さが、必ずしもサバイバルホラーとしての面白さにつながっていないことです。

そもそも『バイオハザード RE:2』では、ゾンビとの戦闘そのものが大きなリスクを伴っていました。敵を倒そうとすれば貴重な弾薬を消費しますし、かといって無視して進めば、後から同じ場所を通る際に再び襲われる可能性があります。

そのため、目の前の敵を倒すべきか、それとも危険を承知で通り抜けるべきかを考える必要がありました。単純な射撃の腕前だけではなく、限られた物資をどう使うかという判断が、その後の攻略にも影響していたわけです。

一方の『RE:3』では、ジルが使用できる緊急回避によって、敵への対処方法が大きく変わっています。

敵の攻撃が当たる直前にステップを入力すると、素早く身をかわす緊急回避が発動します。さらに、タイミングよく回避できれば、直後に銃を構えて反撃することも可能です。

この操作が決まったときの爽快感はかなりのもので、ゾンビに接近されたとしても、自分の操作次第で危機を切り抜けられるようになっています。

特に、複数の敵が迫ってくる場面で攻撃をかわし、そのまま反撃へつなげられたときには、従来のシリーズにはなかったアクションゲームとしての面白さを感じました。

また、カルロスを操作する場面では、ジルとは異なる戦闘スタイルが用意されています。アサルトライフルによる連続射撃に加え、接近してきた敵をタックルで押し返せるため、ジルのように素早く回避する戦い方とは違った手応えがあります。

操作キャラクターによって敵への対処方法が変わる仕組みは、戦闘に変化をつけるという意味でも効果的です。

しかし、こうしたアクションの進化には、サバイバルホラーとして見逃せない問題もありました。

それは、プレイヤーが危機を回避する手段を手に入れたことで、敵と遭遇した際の緊張感が薄れてしまったことです。

もちろん、緊急回避はタイミングを間違えれば攻撃を受けますし、慣れるまでは思うように成功しない場面もあります。ただ、操作に慣れてくると、目の前にゾンビが現れても、必ずしも弾薬を使って倒す必要がなくなってきます。

敵の動きを見極めて回避し、そのまま先へ進めば、戦闘そのものを避けられるからです。

実際、今回のプレイでは序盤から弾薬に余裕を感じる場面が多く、探索中に物資を補充しながら進めていると、弾切れを心配する機会はそれほどありませんでした。

『RE:2』では、弾薬が残り少なくなったときに、次の部屋で敵と遭遇したらどうするかを考える必要がありました。手持ちの武器で対処できるのか、回復アイテムを使って強引に突破するのか、あるいは別の経路を探すのか。そうした判断を迫られること自体が、恐怖を生み出していたと思います。

ところが『RE:3』では、緊急回避という有効な対処手段があるため、敵との遭遇が必ずしも物資の消費につながりません。

さらに、本作は『RE:2』と比較して、一度通過した場所へ戻る機会が少ない構成になっています。そのため、倒さずに残した敵が後から障害になる場面も限られており、危険を残して先へ進むことへの抵抗感が薄くなりやすいのです。

ここは、単純に緊急回避の性能が高すぎるという話ではありません。

問題なのは、回避によって戦闘を避けられる仕組みと、探索や物資管理の構成が十分にかみ合っていないことです。

例えば、敵を回避して弾薬を温存できたとしても、その後の攻略で物資の使い方を深く考える場面が少なければ、温存したことによる達成感も生まれにくくなります。

反対に、敵を倒して安全な経路を確保したとしても、同じ場所へ戻る必要がなければ、その判断が後の探索に役立つ機会もありません。

つまり、戦闘中の操作には確かな面白さがあるのに、そこで行った判断がゲーム全体の攻略に十分反映されていないわけです。

この違いは、『RE:2』と『RE:3』を比較したときに特に強く感じられる部分でした。

『RE:2』では、敵との戦闘を避けることも、あえて弾薬を消費して倒すことも、その後の探索を有利に進めるための選択になっていました。一方の『RE:3』では、目の前の危機をうまく切り抜けることに重点が置かれており、戦闘がその場限りの出来事として終わってしまう場面が多くなっています。

とはいえ、アクションゲームとしての完成度が低いわけではありません。

むしろ、ジルの緊急回避は操作していて気持ちがよく、敵の攻撃を見極めながら反撃する戦闘には、繰り返し挑戦したくなる魅力があります。カルロスの戦闘スタイルも含め、従来のシリーズより積極的に敵へ立ち向かえるようになったことは、本作ならではの長所です。

特に、探索よりも戦闘のテンポや操作の爽快感を重視する人であれば、この方向性を好意的に受け止められると思います。

ただ、個人的には、アクションの選択肢を増やしたのであれば、それに合わせて敵の配置や物資の供給、探索経路の構成にも、もう少し工夫が欲しかったところです。

回避を使いこなすことで弾薬を温存でき、その判断が後の難所を突破する助けになる。あるいは、戦闘を避けたことで別の危険が生まれ、次に同じ場所を訪れた際には違った対処が必要になる。

そうした仕組みが充実していれば、緊急回避による爽快感を損なうことなく、サバイバルホラーとしての緊張感も高められたはずです。

『バイオハザード RE:3』の戦闘は、操作する瞬間の面白さでは十分に進化しています。しかし、その面白さが探索や物資管理と結びついていないため、ゲーム全体を通した生存の手応えが弱くなっている。

ここが、戦闘システムに対して最も惜しいと感じた部分でした。

探索の面白さはどこへ?短すぎるボリューム以上に惜しい部分

『バイオハザード RE:3』の戦闘には、緊急回避を中心とした爽快感がある一方で、物資管理や探索とのつながりが弱いという問題がありました。そして、この問題をさらに大きくしているのが、ゲーム全体の探索構造です。

個人的には、戦闘システム以上に、この探索の物足りなさが本作の評価を下げていると感じました。

そもそも『バイオハザード』シリーズの面白さは、ゾンビを倒したり、恐ろしい敵から逃げたりすることだけではありません。限られた物資を管理しながら未知の場所を調べ、少しずつ行動範囲を広げていく過程にも、大きな魅力があります。

例えば『バイオハザード RE:2』では、警察署という一つの建物を何度も行き来しながら、鍵や道具を集めて新しい場所へ進んでいきました。

最初は開けられなかった扉も、探索を進めて必要な鍵を手に入れれば通れるようになります。新しい通路を発見すれば、それまで遠回りしていた場所へ短時間で移動できるようになり、建物の構造を理解するほど攻略の選択肢が増えていく仕組みでした。

しかも、探索によって得られるのは、新しい道やアイテムだけではありません。

何度も同じ場所を通るうちに、どこにゾンビが残っているのか、どの通路なら安全に移動できるのかといった情報も自然と頭に入ってきます。最初は恐る恐る進んでいた場所でも、周囲の状況を把握することで、自分なりに効率のよい経路を考えられるようになっていくわけです。

こうした経験の積み重ねが、単なるマップの移動を攻略そのものの面白さへと変えていました。

一方の『RE:3』では、一度に探索できる範囲が比較的限られており、その場所で決められた目的を達成すると、次のエリアへ移動する構成が中心になっています。

もちろん、探索する余地がまったくないわけではありません。

序盤のラクーンシティでは、店舗や路地に寄り道しながら物資を集めたり、新しい武器を探したりできます。また、病院では複数の部屋や通路を調べながら進むことになり、カルロスで探索した場所を、後からジルでも訪れられる仕組みが用意されています。

特に病院は、建物の構造を少しずつ把握しながら行動範囲を広げられるため、シリーズらしい探索の面白さを感じられる場所でした。

ただ、こうした探索をじっくり楽しめる区間は、ゲーム全体で見るとそれほど多くありません。

多くの場面では、目的地へ向かう途中で敵と戦い、必要な仕掛けを動かしたら次の場所へ進むという流れが続きます。そのため、自分で攻略の順番を考えるというより、用意された出来事を順番にこなしているような感覚が残りました。

ここで気になるのが、探索によって得た経験を、その後の攻略に生かす機会が少ないことです。

『RE:2』では、あえて倒さずに残したゾンビが、後から同じ通路を通る際の障害になることがありました。そのため、今のうちに弾薬を使って安全を確保するのか、それとも危険を残したまま物資を温存するのかを考える必要があります。

さらに、探索中に見つけた別の経路を利用すれば、危険な場所を避けて目的地へ向かうことも可能です。敵との戦闘、物資の管理、マップの把握が互いに関係しているからこそ、一つひとつの判断に意味が生まれていました。

ところが『RE:3』では、一度通過すると戻る必要のない区画も多く、敵を倒さずに進んだとしても、その判断が後から問題になる機会は限られています。

緊急回避を使って敵をかわし、そのまま先へ進めば、残した敵について改めて考える必要がない場面も少なくありません。

つまり、戦闘を避けるという判断はその場では有効でも、それが後の攻略にどう影響するのかを考える面白さが薄くなっているのです。

また、謎解きの少なさも気になりました。

従来のシリーズでは、探索中に見つけた仕掛けや手がかりを覚えておき、別の場所で手に入れたアイテムを使って道を切り開く場面が数多くありました。単に目的地へ向かうだけでなく、今は解決できない問題を頭の片隅に置きながら探索することが、ゲーム全体の奥行きを生み出していたと思います。

本作にも仕掛けは用意されていますが、その数は少なく、複数の場所を調べながら解決方法を考える機会も限られています。

その結果、探索そのものが攻略の中心になるというより、戦闘やイベントをつなぐための移動時間になってしまっている印象を受けました。

そして、こうした探索構造の問題は、ゲーム全体のボリュームにも直結しています。

『RE:3』の初回クリアまでのプレイ時間は、おおむね5〜6時間程度です。『RE:2』のように主人公ごとのシナリオを選んで遊ぶ構成ではなく、ジルとカルロスの操作パートが一つの物語の中で切り替わるため、物語を最後まで進めれば基本的な展開を一通り体験することになります。

また、原作『バイオハザード3 LAST ESCAPE』に存在したライブセレクションによる分岐要素も削除されており、選択によって異なる展開を楽しむ仕組みは引き継がれていません。

原作で探索できた建物の一部が外観だけの登場になっていることも含め、リメイクによって映像表現が大きく進化した一方で、遊びの幅が狭くなってしまった部分は見逃せません。

もちろん、短いゲームだからといって、それだけで評価を下げるつもりはありません。

むしろ、余計な寄り道を減らし、密度の高い展開を短時間で楽しませる構成には、それ自体の良さがあります。長時間の探索が苦手な人にとっては、次々と場面が切り替わる『RE:3』のテンポの良さが魅力になるはずです。

ただ、本作を遊んでいて感じた物足りなさは、単純にクリアまでの時間が短いという話ではありません。

問題なのは、もっと探索したいと思える魅力的な舞台が用意されているのに、その場所を十分に活用する前に物語が進んでしまうことです。

例えば、序盤のラクーンシティは、街の崩壊を感じさせる風景が細かく作り込まれており、店舗や建物の内部をもっと調べてみたいと思わせる魅力があります。

それだけに、街の構造を把握しながら行動範囲を広げたり、ネメシスの追跡を避けるために経路を工夫したりする機会が、もう少し用意されていれば印象は大きく変わっていたと思います。

また、ジルとカルロスの操作パートについても、それぞれの能力を生かして異なる方法で同じ場所を攻略するなど、探索の幅を広げる余地はあったはずです。

実際、病院では二人が同じ建物を異なる状況で探索するため、こうした仕組みがゲーム全体に広がっていれば、より奥行きのある体験になっていたと感じます。

『RE:2』が優れていたのは、単純に探索できる場所が多かったからではありません。探索で得た情報や、敵との戦闘で下した判断が、その後の攻略にも影響するように設計されていたことが大きな理由です。

一方の『RE:3』は、目の前の危機を突破する場面には迫力があるものの、プレイヤー自身が攻略を組み立てていく余地が少なくなっています。

だからこそ、5〜6時間というプレイ時間以上に、ゲームを最後まで遊んだときの充実感に差が生まれているのだと思います。

『バイオハザード RE:3』に本当に必要だったのは、単純にステージを増やしてプレイ時間を延ばすことではなく、探索や戦闘で積み重ねた判断が、その後の攻略に生きる仕組みだったのではないでしょうか。

映像表現やキャラクターの魅力が十分に高められているだけに、そうした遊びの部分まで丁寧に再構築されていれば、『RE:2』に並ぶリメイク作品として、さらに高い評価を得られたように感じました。

ネメシスは本当に怖かったのか?RE:2のタイラントとの決定的な違い

『バイオハザード RE:3』の探索に物足りなさを感じた理由は、マップの構成や謎解きの少なさだけではありません。もう一つ大きかったのが、本作を象徴する追跡者「ネメシス」の扱いです。

ネメシスは、主人公ジル・バレンタインを執拗に追い続ける生物兵器であり、原作『バイオハザード3 LAST ESCAPE』でも強烈な存在感を放っていました。通常のゾンビとは比較にならない身体能力を持ち、どれだけ距離を取っても追いかけてくるため、プレイヤーに逃げ場のない恐怖を与える存在です。

リメイク版では、その脅威が現代の映像技術によってさらに迫力を増しています。

ネメシスは走って距離を詰めてくるだけでなく、離れた場所から触手を伸ばして攻撃することもあり、単純に走って逃げれば安全というわけではありません。さらに、火炎放射器を使った襲撃や、周囲の建物を巻き込む大規模な逃走場面も用意されており、圧倒的な力を持つ敵に追い詰められる感覚は十分に伝わってきます。

特に印象的なのは、ネメシスが登場することで、それまでの状況が一変する演出です。

通常のゾンビであれば、周囲の状況を確認しながら戦うか逃げるかを判断できますが、ネメシスが現れると、そうした余裕は一気になくなります。攻撃を受ければ大きなダメージにつながるため、目の前の危機をどう切り抜けるかに集中せざるを得ません。

こうした場面だけを取り上げれば、ネメシスは十分に恐ろしい存在として描かれています。

ただ、実際にゲームを進めていくと、その恐怖が長く続かないことに気づきます。

というのも、リメイク版のネメシスは、物語の進行に合わせて登場する場面があらかじめ決められており、プレイヤーの探索を継続的に妨害する存在にはなっていないからです。

ここで比較したいのが、『バイオハザード RE:2』に登場したタイラントです。

タイラントもプレイヤーを追い続ける強敵ですが、ネメシスとの大きな違いは、探索そのものに影響を与えていたことでした。

『RE:2』では、警察署の各部屋や通路を何度も行き来しながら探索を進めていきます。タイラントはその警察署内を巡回しているため、プレイヤーが予定していた経路に突然現れ、移動の計画を崩してくることがありました。

例えば、必要なアイテムを手に入れて目的地へ戻ろうとしたとき、通る予定だった廊下からタイラントの足音が聞こえてくることがあります。

そのまま進めば遭遇する危険があるため、別の経路を探すのか、近くの部屋でやり過ごすのか、それとも強引に突破するのかを考えなければなりません。

しかも、迂回した先にゾンビが残っていれば、そちらにも対処する必要があります。タイラントを避けるための判断が、別の危険や物資の消費につながることもあるわけです。

この仕組みが優れていたのは、タイラントが単に恐ろしい敵として登場するだけでなく、プレイヤーがそれまでに積み重ねてきた探索の経験を試す存在になっていたことです。

警察署の構造を覚えていれば、安全な経路を選びやすくなりますし、あらかじめゾンビを倒して通路を確保していれば、追跡された際にも逃げやすくなります。

反対に、探索を急いで危険な場所を残していた場合には、その判断が後から自分を苦しめることもありました。

つまり、タイラントの存在によって、マップの把握や敵への対処、物資管理といった要素が一つにつながっていたのです。

一方、『RE:3』のネメシスは、登場する場面そのものには迫力があるものの、基本的には用意された襲撃をその都度切り抜ける構成になっています。

もちろん、市街地ではネメシスから逃げながら移動する場面もあり、追跡者としての脅威を感じられる部分はあります。ただ、そうした遊びがゲーム全体に広がっているわけではなく、物語が進むにつれて、決められた戦闘や逃走イベントとしての役割が強くなっていきます。

そのため、ネメシスが現れるたびに緊張感は高まるものの、その恐怖が探索全体に影響しているとは感じにくいのです。

ここは、ネメシスというキャラクターの魅力が不足しているわけではありません。

むしろ、見た目の恐ろしさや攻撃の激しさ、ジルを執拗に追い詰める姿には、タイラントとは異なる迫力があります。圧倒的な身体能力を持つ敵が、周囲の障害物をものともせず迫ってくる演出は、本作ならではの見どころです。

ただ、その強さをゲームプレイに十分生かせているかといえば、疑問が残ります。

例えば、ラクーンシティの探索範囲がもっと広く、ネメシスが複数の経路から追跡してくる仕組みになっていれば、プレイヤーは街の構造を把握しながら逃げ道を考える必要があったはずです。

あえて遠回りして追跡を振り切るのか、危険を承知で近道を選ぶのか。あるいは、周囲の設備を利用してネメシスの動きを妨害し、その隙に必要なアイテムを回収するのか。

そうした判断を繰り返す構成であれば、緊急回避によるアクションの爽快感と、探索を通じて生き延びる面白さを両立できたように思います。

特に惜しかったのは、ネメシスの追跡能力とジルの緊急回避が、もっと深く結びつく余地があったことです。

本作のジルは、敵の攻撃をタイミングよく回避することで、危険な状況から素早く抜け出せます。この操作を使いこなしながらネメシスの追跡をかわし、街の構造や周囲の設備を利用して逃げ道を切り開く仕組みが充実していれば、単に追われるだけではない独自の面白さが生まれていたはずです。

しかし、実際にはネメシスとの遭遇がイベントとして区切られている場面が多く、プレイヤーが自分なりの逃走方法を組み立てる機会は限られています。

登場するたびに強烈な攻撃を仕掛けてくるため、その瞬間には緊張しますが、何度も繰り返していると、恐怖よりも用意された障害を突破する感覚が強くなってしまいました。

これは、ネメシスの登場回数を増やせば解決する問題でもありません。

重要なのは、どれだけ頻繁に襲われるかではなく、ネメシスが存在することで、プレイヤーの探索や行動の選択がどれだけ変化するかという点です。

『RE:2』のタイラントは、姿が見えなくても足音が聞こえるだけで行動を変える必要がありました。敵が近くにいるかもしれないという不安が、探索中の判断に影響していたからです。

それに対して『RE:3』のネメシスは、登場した瞬間の迫力こそ上回る部分があるものの、姿が見えない時間までプレイヤーを緊張させる仕組みは弱くなっています。

その結果、強大な追跡者に狙われているという設定がありながら、ゲーム全体を通して追われ続けている感覚は、それほど強くありませんでした。

原作『バイオハザード3 LAST ESCAPE』が持っていた、いつ襲われるか分からない不安や、追跡者から逃れながら街を探索する面白さを考えると、この方向性には物足りなさが残ります。

もちろん、迫力のある演出を楽しみたい人にとっては、リメイク版のネメシスも十分に魅力的です。火炎放射器を使った襲撃や大規模な逃走場面は映像的な見応えがあり、テンポよく展開するアクションホラーとして楽しめる仕上がりになっています。

ただ、サバイバルホラーとして評価するのであれば、もう一歩踏み込んだ追跡システムが欲しかったところです。

ネメシスは確かに恐ろしい敵ですが、その恐怖がプレイヤー自身の判断や探索の面白さに十分つながっていない。

『RE:2』のタイラントと比較したときに感じる決定的な違いは、まさにこの部分でした。

せっかく魅力的な追跡者と軽快なアクションが用意されているだけに、それらをラクーンシティの探索と深く結びつけられていれば、『RE:3』はシリーズの中でも独自の存在感を持つ作品になっていたと思います。

Switch 2版の完成度は良好!価格2,990円なら買う価値はある?

『バイオハザード RE:3』は、探索やネメシスの追跡システムに物足りなさが残るものの、アクションの爽快感や映像演出には確かな魅力があります。そして、Nintendo Switch 2版を評価するうえで重要なのが、こうした長所をどれだけ快適に楽しめるのかという点です。

結論からいえば、Switch 2版の移植は良好な仕上がりで、少なくともゲーム機の性能によって本作の魅力が大きく損なわれている印象はありませんでした。

まず、TVモードでは1080pの映像出力に対応しており、崩壊したラクーンシティの街並みが細かく描かれています。

特に印象的なのは、ネオンの光が残る街路や、炎に包まれた建物の表現です。暗い場所では周囲の様子を確認しにくい一方で、光が差し込む場所では建物の質感や背景の細部まで伝わってくるため、街全体が崩壊していく不気味な雰囲気を十分に味わえます。

『RE:3』は、ジルが市街地から下水道、病院などへ移動しながら物語が進んでいく作品なので、場所ごとの雰囲気がしっかり再現されていることは重要です。

もともと本作は、現代的なグラフィックによってラクーンシティの魅力が大きく高められたリメイクでしたが、Switch 2版でもその長所は十分に感じられました。

また、動作面では60fpsを目標としており、通常の探索や戦闘ではおおむね滑らかな操作感を維持しています。

もちろん、すべての場面で完全に安定しているわけではありません。負荷の高い演出やカットシーンでは、一時的にフレームレートが低下することもあります。

ただ、実際に操作する場面では大きな支障を感じることは少なく、テンポの速い戦闘や逃走シーンも快適に楽しめる仕上がりです。

特に本作では、敵の攻撃に合わせて緊急回避を発動する場面が多いため、操作に対する反応の良さは欠かせません。

敵の動きを見極めて攻撃をかわし、そのまま反撃につなげるという一連の操作が気持ちよく決まることは、アクション性の高い『RE:3』にとって大きな利点だと感じました。

一方、携帯モードでは、TVモードと比較して映像の細部に違いが見られます。

例えば、キャラクターの髪の輪郭や遠くにある建物の描写などは、ややぼやけて見える場面がありました。背景の細かな部分まで確認すると、TVモードのほうが鮮明に感じられるところもあります。

とはいえ、街路を照らすネオンや建物の陰影といった、本作の雰囲気を支える表現は保たれています。画面が小さくなったことでラクーンシティの魅力が大きく失われているわけではなく、携帯モードでも十分に世界観へ入り込めました。

動作についてもTVモードと同様に60fpsを目標としており、通常の探索や戦闘ではおおむね安定しています。

遠くにいる敵の動きが多少気になる場面はあるものの、ジルの緊急回避やカルロスの戦闘を楽しむうえで、操作感が大きく損なわれるような印象はありません。

むしろ、携帯モードとの相性は、本作の特徴を考えると悪くないように思います。

『RE:3』は初回クリアまでの時間が比較的短く、複雑な探索よりもテンポのよい戦闘やイベントが中心になっています。そのため、まとまった時間を確保してじっくり攻略するだけでなく、手元で少しずつ物語を進める遊び方にも適しています。

もちろん、暗い場所の細部を確認しながら没入感を重視するのであれば、大きな画面で遊べるTVモードのほうが魅力的です。ただ、携帯モードでも快適に操作できることを考えると、遊ぶ場所を選べるSwitch 2ならではの利点は十分に感じられました。

そして、今回のSwitch 2版を購入するうえで、もう一つ確認しておきたいのが収録内容です。

2020年に発売された『バイオハザード RE:3』には、本編に加えて、非対称型のオンライン対戦ゲーム『バイオハザード レジスタンス』が同梱されていました。

これは、複数のプレイヤーが協力して施設からの脱出を目指すサバイバー側と、罠やクリーチャーを配置して妨害するマスターマインド側に分かれて対戦する作品です。

当時の『RE:3』は、本編のボリュームが『RE:2』よりも控えめだったこともあり、こうした別の遊びを組み合わせることで、商品全体として長く楽しめる構成になっていました。

ところが、Switch 2版には『バイオハザード レジスタンス』が収録されていません。

そのため、今回の移植版は、基本的にジルとカルロスによる一人用の脱出劇を楽しむための商品となっています。

一方で、原作をイメージしたジルの衣装やカルロスの髪型といった追加要素が収録されており、通常価格は2,990円に設定されています。

ここは、発売当時の評価と現在の購入価値を分けて考えたい部分です。

2020年の発売時には、フルリメイク作品として『RE:2』に匹敵するボリュームや探索の充実度を期待していた人も多かったと思います。そうした期待に対して、本編の短さや削除された要素が目立ったことは、評価が分かれる大きな理由になりました。

しかし、2,990円という価格で改めて考えると、受け止め方は少し変わってきます。

確かに、探索の自由度や謎解きの充実度では『RE:2』に及ばず、ネメシスの追跡も、期待していたほどゲーム全体の面白さに結びついていません。

それでも、現代的な映像表現で再構築されたラクーンシティを舞台に、ジルとカルロスの脱出劇を楽しめることには十分な価値があります。

特に、長時間の探索よりもテンポのよいアクションを好む人であれば、短いプレイ時間も必ずしも欠点にはなりません。余計な寄り道をせずに物語が進み、次々と発生する危機を突破していく構成は、むしろ遊びやすさにつながる部分です。

また、Switch 2版ではTVモードと携帯モードのどちらでも比較的快適に動作するため、遊ぶ環境を選びやすい点も評価できます。

ただし、価格が手頃になったからといって、ゲームそのものの問題が解消されたわけではありません。

『RE:2』のように、マップを何度も行き来しながら謎を解き、限られた物資を管理して攻略を組み立てる面白さを求めているのであれば、Switch 2版でも物足りなさを感じる可能性があります。

また、原作『バイオハザード3 LAST ESCAPE』を遊んだことがある人にとっては、探索エリアや分岐要素の削除が気になる部分も残っています。

こうした点を踏まえると、Switch 2版は『RE:3』の評価を根本から変える移植というより、本作が持つ長所を、以前より手に取りやすい条件で楽しめるようにした商品と考えるのが自然です。

個人的には、2,990円という価格であれば、短時間で楽しめるアクションホラーとして十分に購入を検討できる内容だと感じました。

ジルの緊急回避を中心とした戦闘には爽快感があり、ネメシスとの逃走劇にも迫力があります。さらに、人物描写や映像表現の完成度も高いため、ゲーム全体の構成に不満が残るとしても、遊んでいて魅力を感じる場面は少なくありません。

探索をじっくり楽しむサバイバルホラーとしては惜しい部分が多いものの、テンポよく危機を突破するアクションホラーとして見れば、今でも十分に楽しめる作品です。

発売当時に厳しい評価を受けた理由は理解できますが、Switch 2版の価格と移植の完成度を考えると、以前よりも気軽に手に取れる一本になったと感じます。

バイオハザード RE:3は惜しい作品だった。それでも今なら楽しめる理由

『バイオハザード RE:3』をNintendo Switch 2で改めて遊んで感じたのは、個々の要素には確かな魅力があるものの、それらを組み合わせたゲーム全体の完成度には、やはり物足りなさが残るということです。

ジルの緊急回避を中心とした戦闘は爽快ですし、ネメシスに追い詰められる場面にも迫力があります。さらに、崩壊したラクーンシティの映像表現や、ジルとカルロスの人物描写については、原作から大きく進化した部分として十分に評価できます。

ただ、こうした長所があるからこそ、もう少し違った形でゲーム全体を構成できなかったのかという思いも残りました。

特に惜しかったのは、戦闘や探索、ネメシスの追跡が、それぞれ独立した要素として感じられる場面が多かったことです。

例えば『バイオハザード RE:2』では、探索中に発見した通路や、敵との戦闘で下した判断が、その後の攻略にも影響していました。弾薬を温存するためにゾンビを倒さずに進めば、後から同じ場所を通る際に危険が残りますし、逆に物資を消費して安全な経路を確保しておけば、タイラントに追跡されたときにも逃げやすくなります。

こうした仕組みがあるからこそ、プレイヤーは目の前の状況だけでなく、その後に起こることまで考えながら行動する必要がありました。

そして、探索を進めるほどマップの構造や敵の配置が頭に入り、自分なりの攻略方法を組み立てられるようになっていきます。

最初は恐ろしく感じた場所でも、経験を重ねることで少しずつ対処できるようになる。この過程こそ、サバイバルホラーとしての『バイオハザード』が持つ大きな面白さだと思います。

一方の『RE:3』では、目の前の危機を突破するためのアクションが充実した反面、それまでの判断を後の攻略に生かす機会が限られています。

緊急回避を使ってゾンビをかわしても、その場所へ戻る必要がなければ、敵を残したことによる影響はほとんどありません。ネメシスについても、登場する場面には強烈な迫力があるものの、探索中の行動計画を継続的に変化させる存在にはなっていませんでした。

つまり、個々の場面を突破する楽しさはあっても、ゲームを進めるほど自分の経験や判断が積み重なっていく感覚が弱いのです。

この違いが、『RE:2』や『RE:4』と比較した際に、作品全体の完成度で差を感じる大きな理由になっています。

もっとも、『RE:3』が目指した方向性そのものを否定するつもりはありません。

従来のシリーズよりもアクション性を高め、次々と発生する危機をテンポよく突破していく構成には、それ自体の魅力があります。探索に時間をかけるよりも、迫力のある戦闘や演出を楽しみたい人にとっては、むしろ遊びやすい作品に仕上がっていると感じます。

また、ジルとカルロスの関係性が丁寧に描かれていることも、最後まで物語を楽しめる理由の一つです。

過去の事件によって心に傷を負いながらも、危険に立ち向かい続けるジル。そして、アンブレラの部隊に所属しながらも、目の前の人々を救おうと行動するカルロス。

立場の異なる二人が少しずつ信頼関係を築いていく展開には説得力があり、単にゾンビから逃げるだけではない、人間ドラマとしての魅力も感じられました。

こうした人物描写や映像演出については、現在の基準で見ても十分に通用する完成度です。

だからこそ、初回クリアまで約5〜6時間というボリュームも、見方を変えれば必ずしも悪いことばかりではありません。

長時間の探索や複雑な謎解きを求めている人には物足りない内容ですが、短い時間で一つの脱出劇を最後まで楽しみたいのであれば、本作のテンポの良さは魅力になります。

特にNintendo Switch 2版では、TVモードと携帯モードのどちらでも比較的快適に遊べるため、まとまった時間を確保しなくても物語を進めやすくなっています。

さらに、通常価格2,990円という条件を踏まえると、発売当時とは購入する際の判断も変わってきます。

もちろん、価格が下がったからといって、探索エリアの少なさやネメシスの追跡システムに残された問題が解消されるわけではありません。原作に存在した分岐要素も削除されたままであり、リメイクとして物足りない部分は今も残っています。

ただ、短時間で楽しめるアクションホラーとして考えれば、十分に購入を検討できる内容です。

ジルの緊急回避を使いこなす戦闘には独特の面白さがあり、ネメシスとの逃走劇も映像的な迫力に優れています。ラクーンシティの作り込まれた街並みや、登場人物の表情まで丁寧に描かれていることを考えると、ゲーム全体の構成に不満があっても、遊ぶ価値まで失われているわけではありません。

個人的には、『RE:3』は決して出来の悪い作品ではなく、優れた素材を持ちながら、それらを一つのゲームとして十分に生かしきれなかった作品という印象です。

戦闘の爽快感、探索の緊張感、ネメシスに追われる恐怖。この三つが互いに影響し合う仕組みになっていれば、リメイクとしての評価も大きく変わっていたと思います。

それでも、現在のSwitch 2版には、発売当時とは異なる魅力があります。

『RE:2』のようにじっくり探索し、自分なりの攻略を組み立てるサバイバルホラーを期待するのであれば、購入前に本作の特徴を理解しておいたほうがよいと感じます。

一方で、テンポのよい戦闘や迫力のある演出を楽しみながら、ジルとカルロスの脱出劇を短時間で体験したい人には、十分におすすめできる一本です。

『バイオハザード RE:3』は、短いからこそ評価が低いのではなく、もっと遊び込める可能性を感じさせる作品だったからこそ、その短さが惜しく感じられました。

そして、そうした弱点を理解したうえで遊ぶのであれば、Nintendo Switch 2版は本作の魅力を改めて確かめる良い機会になると思います。

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