2026年9月17日に発売される『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は、シリーズおなじみのシミュレーションバトルを軸にしながら、育成や交流、探索といった要素を大きく広げた新作です。
最初に情報が公開された段階では、「4人の主人公が登場する新しいFE」という印象を持った人も多いかもしれません。ただ、発売前に明らかになっている内容を追っていくと、どうやら今回はそれだけでは済まなさそうです。4人それぞれの物語が用意されているだけでなく、仲間の育成やスカウト、街での交流、大陸各地への冒険、さらには3Dダンジョンの探索まで盛り込まれており、かなり欲張った作品に仕上がっています。
物語の舞台となるのは、ダグザ帝国を中心とした世界。そこでは願いが叶うとされる「大剣闘祭」を巡って物語が動き始め、カイ、ディートリヒ、セオドラ、レダという、それぞれ異なる目的を持った4人の主人公が大会へ挑むことになります。
ここだけ聞くと、『ファイアーエムブレム 風花雪月』のように主人公や勢力を選び、ルートごとに物語を攻略していく作品を想像するかもしれません。しかし、『万紫千紅』で面白いのは、4つの物語を別々に周回するのではなく、1つのセーブデータ内で主人公を切り替えながら進められるところです。ある主人公の物語を進めたあと、拠点へ戻ったタイミングで別の主人公へ切り替える、といった遊び方ができる仕組みになっています。
そして、今回かなり気になるのが戦闘以外のボリュームです。
次の試合までの期間には自由に行動でき、訓練や資格試験による育成だけでなく、仲間との交流や新しい仲間のスカウト、大陸各地への冒険など、やれることがかなり多く用意されています。さらに3Dダンジョンではフィールドを歩き回って宝箱や素材を探すなど、従来のFEとは少し違ったRPG寄りの遊びも本格的に取り入れられました。
もちろん、だからといって肝心のシミュレーションバトルが脇役になったわけではありません。マス目状のマップでユニットを動かし、地形や敵の攻撃範囲を確認しながら一手ずつ考える、あのFEらしい戦闘もしっかり残されています。
つまり『万紫千紅』は、従来のFEを単純に大きくした作品というより、シミュレーションRPGとしての戦闘を土台にしながら、群像劇、育成、交流、仲間集め、フィールド探索、ダンジョン攻略まで一つに詰め込んだ作品と考えたほうが近そうです。
これだけ遊べることが増えると、「ずいぶん豪華なFEになったな」と期待したくなる一方で、少し気になる部分も出てきます。ボリュームが増えたことが、そのまま全プレイヤーにとって遊びやすさにつながるとは限らないからです。
だからこそ、『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は本当に買いなのか。ここからは、発売前に明らかになっている情報をもう少し掘り下げながら、今作ならではの魅力と気になるポイントを順番に見ていきます。
4人の主人公を「1周」で追えるのが『万紫千紅』最大の特徴
『万紫千紅』の全体像が見えてくると、やはり最初に掘り下げておきたいのが4人の主人公です。
FEシリーズで複数の勢力や主人公を描くこと自体は珍しくありませんが、今回はその見せ方がかなり違います。カイ、ディートリヒ、セオドラ、レダという4人がそれぞれ異なる目的を持って大剣闘祭へ参加し、プレイヤーは一人を選んで最後まで進めるのではなく、4人の物語を切り替えながら一つのプレイの中で追っていくことになります。
この仕組みを聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やはり『ファイアーエムブレム 風花雪月』との違いです。
『風花雪月』にも複数のルートがあり、それぞれ違った立場から物語を見る面白さがありました。ただ、すべてを知ろうとすると周回が必要になり、特に共通部分を何度も遊ぶことに負担を感じた人もいたはずです。その点、『万紫千紅』では一つのセーブデータ内で主人公を変更できるため、4つの物語を見るために最初から何周もやり直す必要がないというのは、かなり大きな変化だと感じます。
しかも面白いのは、単に「同じ出来事を4人の視点から見る」というだけではないところです。
たとえば、ある主人公は住民の問題を解決したり、別の主人公は隠れた敵や獲物を探して戦技を習得・強化したりと、それぞれに専用の遊びが用意されています。セオドラには軍団兵の配備や部隊運用、レダには各地の酒場で演奏するといった要素まであり、主人公を変えることでストーリーだけでなく普段の行動まで変化する仕組みです。
こうなってくると、「主人公が4人いる」というより、4種類のFEを少しずつ切り替えながら一つの大きな物語を完成させていくと考えたほうが、今作の特徴をつかみやすいかもしれません。
そして、この構成だからこそ期待したいのが群像劇としての面白さです。ある主人公の視点では何気なく見えた出来事が、別の主人公へ切り替えた途端に違った意味を持ち始める。最初はバラバラに進んでいた4本の物語が少しずつ交わり、「あの場面はここにつながっていたのか」と分かってくるのであれば、物語を追う楽しさはかなり大きくなりそうです。
一方で、4人分の主人公、仲間、目的を同時に追う以上、覚える情報が多くなるという不安もあります。このあたりは後ほど購入前に気になるポイントとして触れますが、少なくとも「4ルートあるから4周必要」という従来のイメージとは大きく異なります。
周回によって別の物語を見るのではなく、一つのプレイの中で視点そのものを切り替えていく。
この構成がうまく機能すれば、『万紫千紅』ならではの強みになりそうですし、今回の新作FEを語るうえでも、まず押さえておきたいポイントになっています。
最初から「5年後の結末」が見えている異色のストーリー
4人の主人公を切り替えながら進めるだけでも十分に特徴的ですが、『万紫千紅』の物語にはもう一つ、かなり大胆な仕掛けが用意されています。
それが、カイ、ディートリヒ、セオドラ、レダの4人に待ち受ける結末が、物語のかなり早い段階で示されることです。
物語の起点となるのは、現在から5年後の世界。魔人バロールの復活によって世界は滅亡の危機を迎え、4人の主人公も命を落としてしまいます。そこへ救世主として現れるのがイマールという人物で、彼女は強大な力を持ちながらも、一人ではバロールを倒すことができません。そこで5年前へと戻り、4人が死に至る運命そのものを変えようと動き始めます。
つまり、『万紫千紅』では「この先、誰が生き残るのか分からない」という状態から物語が始まるわけではありません。少なくとも最初に提示される未来では4人が命を落とす。その結末をプレイヤー側が知ったうえで、彼らの過去を追いかけていく構成になっています。
これが個人的にはかなり面白いところで、普通なら何気なく通り過ぎてしまいそうな場面でも、「この出来事が5年後の悲劇につながるのではないか」と考えながら見ることになります。仲間との出会いや対立、一見すると小さく思える選択でさえ、その先に待っている結末を知っているだけで受け取り方が変わってきそうです。
そして、ここで先ほど触れた4主人公のシステムが効いてきます。
4人は同じ大剣闘祭へ参加するものの、立場も目的も異なります。そのため、カイの物語だけを追っていては分からなかった出来事が、ディートリヒやセオドラ、レダの視点へ移ったことで意味を持ち始める可能性があります。バラバラに見えていた出来事が少しずつ一本につながり、その先に「なぜ5年後の世界はあの結末を迎えたのか」が浮かび上がってくる。
こう考えると、4人の主人公を切り替える仕組みも、単にボリュームを増やすために用意されたものではなさそうです。異なる立場から同じ世界を見ること自体が、物語の謎を解いていく仕掛けになっているのであれば、4主人公という構成にもかなり納得できます。
もちろん、最終的にどのような形で4人の運命が交差するのか、そして一度示された未来を本当に変えられるのかは、実際に物語を進めてみなければ分かりません。
ただ、最初に悲劇的な未来を見せてから過去へ戻ることで、「この先どうなるのか」だけではなく、**「なぜこうなってしまったのか、そして本当に変えられるのか」**という興味でプレイヤーを引っ張っていく。発売前に明らかになっている範囲だけでも、『万紫千紅』のストーリーには先を追いたくなる仕掛けがしっかり用意されています。
仲間集めもかなり沼になりそう――性能だけでは選べない個性的なキャラクターたち
4人の主人公による物語がどれだけ魅力的でも、FEを遊んでいるうちに気になってくるのは、やはり一緒に戦う仲間たちです。
最初はそれほど興味がなかったキャラクターなのに、会話を重ねて内面を知ったことで気づけば一軍から外せなくなっていた。反対に、見た目が気に入って育て始めたら思いのほか強く、そのまま最後まで主力になった。FEシリーズを遊んできた人なら、そんな経験にも心当たりがあるかと思います。
『万紫千紅』にも数多くの仲間候補が登場しますが、公開されているキャラクターを見る限り、今回もかなり癖の強い顔ぶれが揃っています。
たとえばカイの幼馴染であるピーテルは、弓の腕に優れながらも優しく臆病な性格が災いし、本来の力を発揮できずにいる人物です。一方で戦闘では、個人スキルによってさらに遠くの敵を攻撃できるため、遠距離から敵を狙う役割で活躍が期待できます。ほかにも読書好きのティアラをはじめ、一癖も二癖もありそうな人物が多数登場し、プロフィールを眺めているだけでも「このキャラクターは仲間にしてみたい」と思わせる作りになっています。
しかも、今回はキャラクター性だけでなく、誰を仲間にするかによって実際の戦い方まで変わってくるのがポイントです。
遠距離から狙撃できる者、回復できる範囲を広げられる者、敵のいるマスを通過できる騎兵など、それぞれが固有の能力を持っています。単純にステータスの高いキャラクターを集めれば終わりではなく、自分がどんな部隊を作りたいのかを考えながら仲間を選ぶ余地がありそうです。
そして、その仲間を増やす過程にも『万紫千紅』らしい遊びが用意されています。
試合やクエストをこなすだけではなく、気になる人物を食事へ誘ったり、好みに合った贈り物を渡したりしながら関係を深めることも重要になります。交流によって新しい会話が見られるだけでなく、相手がスカウトに応じてくれる可能性もあるため、戦闘とは別のところでも「次は誰に会いに行こうか」と考える時間が増えそうです。
ここで悩ましいのが、結局のところ性能だけでは割り切れないことです。
戦力だけを考えるなら強力な固有能力を持った人物を優先したくなりますが、何となく気になるキャラクターを追いかけていたら、その人物の意外な一面が見えてくるかもしれません。そうなれば多少使いにくくても育てたくなりますし、逆に性能目当てで仲間にした人物が、交流を重ねるうちにお気に入りへ変わることもありそうです。
「強いから仲間にしたい」と「この人をもっと知りたい」が同時に成立する。 この感覚はFEのキャラクター育成における大きな魅力ですし、『万紫千紅』でもかなり時間を持っていかれる部分になりそうです。
なお、FEシリーズでは気になる人も多い恋愛や結婚については、今回の情報だけでは存在するのか分かっていません。 その部分まで期待して購入を決めるのはまだ早いものの、少なくとも食事や贈り物を通じてキャラクターとの関係を深める仕組みは用意されています。
4人の主人公だけでも追いかける物語は多いのに、その周囲にはさらに大勢の仲間がいる。誰をスカウトして、誰を育て、どんな組み合わせで戦場へ連れていくのか――このあたりまで自分なりにこだわり始めると、『万紫千紅』が大ボリュームと言われる理由も少しずつ見えてきます。
もはや拠点だけではない?大陸探索と3Dダンジョンが本格化
仲間を集め、育て、誰を主力として使っていくのか。そこまで考え始めるだけでも相当な時間が必要になりそうですが、『万紫千紅』では戦場へ向かうまでの過程そのものも、かなり大きな遊びになっています。
特に変化を感じるのが探索です。『風花雪月』ではガルグ=マク大修道院という大きな拠点を歩き回り、仲間との交流や育成などを進めていましたが、今回はその行動範囲がさらに外へ広がっています。街で買い物や依頼をこなしたり、神殿へ立ち寄ったりしながら、ダグザ大陸の各地を実際に旅していく形になっているようです。
その中でも気になるのが、3Dダンジョンの存在です。
FEシリーズでダンジョン探索というと『Echoes もうひとりの英雄王』を思い出しますが、『万紫千紅』でもキャラクターを操作してダンジョン内を歩き、宝箱を探したり、壺や木箱を壊して素材を集めたりできます。マップを選択して戦闘へ入り、終わったら次のマップへ進むというだけではなく、自分で歩き回って何かを見つけるRPGらしい時間が、これまで以上に大きく組み込まれているわけです。
ただ、こうした探索を本格的に取り入れるとなると、一つ気になることもあります。
ダンジョンで敵と遭遇するたびに、いつものマス目を使ったシミュレーションバトルが始まっていたら、さすがにテンポが悪くなりそうです。じっくり考える戦闘はFEの面白さではあるものの、それが探索中に何度も挟まれば話は変わってきます。
そこで『万紫千紅』では、ダンジョン内の戦闘に「クイックバトル」と呼ばれる仕組みが取り入れられています。
こちらは攻撃や連携、戦技などを選んで戦う簡易的なバトルとなっており、普段のFEとは違って一般的なコマンド式RPGに近い感覚です。さらに、相手が弱ければフィールド上から攻撃するだけで倒せる場合もあるため、すべての敵に対して本格的なシミュレーションバトルを行う必要はありません。
この使い分けは、探索を増やした今作ではかなり重要になりそうです。
道中の敵はクイックバトルでテンポよく突破し、重要な戦いでは従来のマス目を使った戦闘へ切り替わる。そうなれば探索の流れを細かく止めずに済みますし、「次の角には何があるんだろう」「もう少し奥まで行ってみよう」と思いながら進める楽しさも損ないにくくなります。
そして、ここまで見てくると『万紫千紅』のボリュームが大きい理由も、単純にストーリーが長いからではないことが分かってきます。
試合へ向けて仲間を育てるだけでもいい。気になる人物との関係を深めてもいいし、街で依頼を受けたり、大陸を移動してダンジョンへ潜ったりすることもできる。次の戦闘までに何をするかという選択肢そのものが増えているため、プレイヤーによって時間の使い方がかなり変わってきそうです。
一方で、探索や交流よりも「とにかくFEのシミュレーションバトルを遊びたい」という人にとって、このボリュームがどう感じられるのかは気になるところです。ただ、それを判断する前に確認しておきたいのが、肝心の戦闘部分がどう変わったのかという点。遊びの幅を大きく広げながらも、『万紫千紅』には従来のFEらしい戦略性もしっかり残されています。
それでも戦闘はしっかりFE――武器と「ブレーズアーツ」で戦略性も変化
探索や交流など、戦闘以外の遊びがかなり増えている『万紫千紅』ですが、ここまで要素が広がると「肝心のシミュレーションバトルはどうなったのか」と気になるところです。
その点については、従来のFEらしさが大きく失われたわけではありません。マス目で区切られたマップ上にユニットを配置し、敵の攻撃範囲や地形、味方との位置関係を確認しながら一手ずつ動かしていく基本的な戦闘は今回も健在です。攻撃前には予想ダメージや命中率、必殺率も確認できるため、「安全に削るのか、それとも必殺に賭けて一気に倒すのか」と考える、シリーズおなじみの駆け引きも楽しめます。
ただし、細かな部分まで見ていくと、これまでと同じ感覚で遊べるわけでもなさそうです。
まず変化しているのが武器の扱いで、今回は剣や斧、槍といった武器それぞれの特徴が、より分かりやすく設定されています。剣は追撃時のダメージが1.2倍になり、斧は攻撃が通りにくい相手に対しても最低5ダメージ、槍は騎兵に有効といった具合に、何を装備しているかがユニットの役割にも関わってきます。さらに兵種によって装備できる武器も決まっているため、「このキャラクターをどこへ配置するか」だけでなく、部隊全体でどの役割を持たせるのかまで考える必要が出てきそうです。
もう一つ、シリーズ経験者なら気になるのが武器の耐久値です。
『風花雪月』では通常攻撃でも武器の耐久値が減っていましたが、『万紫千紅』では普通に攻撃するだけなら消耗しません。その代わり、戦技を使用すると耐久値が減り、魔法についても使用回数に制限があります。つまり今回は、武器があと何回使えるかを常に心配するというより、強力な戦技をあと何回切れるのかを管理するためのリソースとして耐久値を見ることになりそうです。
そして、今作の戦闘を象徴する新要素として登場するのが「ブレーズアーツ」です。
これは4人の主人公がそれぞれ使用できる大技で、HPを消費する代わりに広範囲への攻撃や瞬間移動、味方の強化といった強力な効果を発動できます。ピンチになったときの切り札としてはもちろん、敵の配置を見ながら意図的に使えば、普通に戦っていたのでは崩しにくい状況を一気にひっくり返せる場面も出てきそうです。
とはいえ、強いからといって何も考えず連発できる仕組みにはなっていません。
ブレーズアーツを使うほどブレーズゲージが上昇し、50%を超えると能力が強化される一方、最大まで溜めてしまうと最大HPが減少するなどのペナルティが発生します。ある程度ゲージを高めた状態にはメリットがあるのに、調子に乗って使いすぎれば今度は自分が苦しくなる。このあたりは、かなり悩ましい仕組みになっています。
「ここでHPを削ってでもブレーズアーツを使うべきか」「戦技は温存して次の強敵へ残すか」といった判断が増えるのであれば、戦闘の見た目以上にプレイヤーが管理するものは変わってきそうです。従来のFEが持っていた一手先を読む面白さを残しながら、そこへ新しいリスクとリターンを加えた、と考えると分かりやすいかもしれません。
一方、これだけ聞くと「FEは好きだけど、シミュレーションゲームが得意ではないから難しそう」と感じる人もいるかと思います。そのあたりもきちんと配慮されており、倒れた仲間が復帰するカジュアルモードに加えて、戦闘を巻き戻せる機能も確認されています。手応えを求める人だけに向けた作品ではなく、シリーズに初めて触れる人でも遊びやすい選択肢は用意されているようです。
探索や交流が増えたことで、これまでとは違うFEになった部分は確かにあります。それでも戦場へ出れば、敵の位置を確認し、味方の能力を見比べ、限られた手段の中から最善と思える一手を選んでいく。この根っこの部分が残っているからこそ、従来作を遊んできた人にとっても『万紫千紅』は気になる新作になっているのではないかと思います。
『風花雪月』とのつながりも見逃せない
ここまで紹介してきたように、『万紫千紅』には育成や交流、探索といった『風花雪月』を思わせる部分がいくつもあります。ただ、両作品の関係は「ゲームシステムが似ている」というだけでは終わりません。
むしろ『風花雪月』を遊んだ人にとって気になるのは、世界設定そのものにつながりがあることです。
その象徴ともいえる存在がソティス。『風花雪月』では物語の根幹に関わっていたキャラクターですが、『万紫千紅』にも登場し、イマールをこの世界へ送り込む重要な役割を担っています。姿が似ている別人という扱いではなく、同じソティスとして物語へ関わってくるため、『風花雪月』を知っている人なら、この時点でかなり気になるところではないかと思います。
さらに、セテスを思わせる人物の姿も確認されているほか、4人の主人公の一人であるディートリヒについても、『風花雪月』に登場したイエリッツァとの関係を想像させる要素があります。ただし、こちらについては同一人物なのか、血縁関係があるのか、それともまったく別のつながりなのかまでは明らかになっていません。
このあたりは、似ているからといって何でも『風花雪月』と結びつけてしまうのは早いところです。発売前だからこそ想像する面白さはありますが、現時点では確定している情報と考察を分けて見たほうが、『万紫千紅』そのものの物語も楽しみやすくなります。
その一方で、舞台となるダグザについては明確な接点があります。
ダグザという土地の名前は『風花雪月』の時点ですでに登場しており、シャミアの出身地として知られていました。『万紫千紅』では、それまでフォドラの外側に存在していた土地へ実際に舞台を移し、そこで何が起きていたのかを描いていくことになります。
ここは個人的にも面白い部分で、『風花雪月』とまったく同じ場所へ戻るのではなく、以前の作品では名前や設定として存在していた別の土地を、新作の舞台として掘り下げているわけです。
これなら『風花雪月』を知らなければ楽しめない続編にするのではなく、新しい主人公たちの物語として『万紫千紅』を成立させつつ、前作を知っている人には「あの設定がここにつながるのか」と感じられる余地も作れます。実際にどこまで過去作の設定が物語へ絡んでくるのかは、発売前の情報だけではまだ見えていませんが、単なるファンサービスだけで終わるのか、それ以上の意味を持たせてくるのかは注目したいところです。
そして、『風花雪月』との関係を考えるうえでもう一つ知っておきたいのが、今回は開発体制まで同じではないことです。
『風花雪月』では任天堂やインテリジェントシステムズに加えてコーエーテクモゲームスが開発に携わっていましたが、『万紫千紅』ではコーエーテクモゲームスは開発に参加していないとされています。 そのため、育成や交流、複数の物語といった共通点が多いからといって、「風花雪月と同じ感覚の作品」をそのまま期待するのは少し違うかもしれません。
とはいえ、ソティスやダグザといった明確な接点がある以上、『風花雪月』を好きだった人ほど気になる新作なのは確かです。
似たゲームシステムを受け継ぐだけなのか、それとも『風花雪月』で描かれなかった世界まで広げる作品になるのか。 その答え次第では、『万紫千紅』の物語を見る目もかなり変わってきそうです。
大ボリュームだからこそ気になる「人を選びそうな部分」
ここまで見てきた内容だけなら、『万紫千紅』は「とにかく遊べることが多い豪華なFE」という印象が強くなります。4人の主人公による物語があり、仲間を育てて交流し、大陸を探索しながらダンジョンにも潜れる。そのうえで従来型のシミュレーションバトルもしっかり楽しめるとなれば、ボリュームを求める人にとってはかなり魅力的です。
ただ、購入するかどうかを考えるなら、遊べることの多さをそのまま長所として受け取っていいのかは一度考えておきたいところです。
というのも、『万紫千紅』では次の試合までにやれることが非常に多く、訓練や仲間の勧誘、食事、贈り物、住民からの依頼、素材集め、ダンジョン探索などが用意されています。さらに主人公ごとの専用活動まで存在するため、戦闘と戦闘の間にも相当な量のコンテンツを遊ぶことになりそうです。
『風花雪月』で、出撃する前に修道院を歩き回り、仲間と交流したり育成方針を考えたりする時間が好きだった人なら、この方向性はかなり相性が良さそうです。戦闘だけを繰り返すのではなく、「次の戦いまでに部隊をどう作っていくか」という準備そのものを楽しめるため、『万紫千紅』ではさらに長い時間をかけて自分の部隊へ愛着を持てるかもしれません。
反対に、昔ながらのFEに近いテンポで、ストーリーを見たらすぐ次のマップへ進みたい人にとっては話が変わってきます。
せっかく次の戦闘を楽しみにしているのに、その前に訓練や交流、探索といった要素が大量に挟まると、「早く戦わせてほしい」と感じる可能性があります。実際、先行プレイでは序盤のシステムや情報量の多さに圧倒されたという感想もあったとされており、最初からすべてを理解しようとすると忙しさを感じるかもしれません。
とはいえ、すべての要素を毎回きっちり消化しなければ先へ進めないわけでもなさそうです。訓練については日数をまとめて進めることもできるとされているため、交流や探索をじっくり楽しむのか、ある程度省略しながら戦闘を中心に進めるのか、自分でテンポを調整できる余地は残されています。
ここは『万紫千紅』を買うか迷っている人にとって、意外と重要な判断材料になりそうです。
「100時間遊べるゲーム」と聞くと、それだけでお得に感じることもあります。ただ、本当に大切なのはプレイ時間の数字ではなく、その100時間の中に自分が楽しみたい遊びがどれだけ含まれているかです。
戦闘だけではなく、キャラクターを知る時間も好き。育成方針をあれこれ考えるのも苦にならない。寄り道できる場所を見つけたら、とりあえず覗いてみたくなる。そんな人なら、『万紫千紅』の物量はかなり魅力的に映るはずです。
逆に、シミュレーションバトルを中心にテンポよく遊びたい人は、「大ボリューム」という言葉だけで購入を決めず、戦闘以外の比重も含めて考えたほうがよさそうです。
遊べることが多いから買いなのではなく、その多さを楽しめる人なら買い。 発売前の段階で見えている『万紫千紅』の特徴を整理すると、この違いはかなり大きいように感じます。
4ルート同時進行は便利な反面、ストーリーを追うのが大変になる可能性も
戦闘以外の要素が多いことに加えて、もう一つ購入前に考えておきたいのが、今作の大きな特徴でもある「4人の主人公を並行して進める」という仕組みです。
先ほど触れたように、『万紫千紅』では4つの物語を見るために何周もする必要がなく、一つのセーブデータ内で主人公を切り替えながら進められます。『風花雪月』で複数ルートを遊んだ人ほど、この仕組みを便利に感じる部分はあると思います。
ただ、周回の負担が減った代わりに、一度のプレイで覚えておかなければならない情報はかなり増えることになります。
4人の主人公には、それぞれ異なる目的があり、その周囲には別々の仲間がいます。当然ながら物語が進んでいる場所も同じではありません。そこで頻繁に主人公を切り替えていると、「このキャラクターは誰だったか」「このルートでは今、何を目的に動いていたのか」と混乱する可能性が出てきます。
特に今回は、主人公だけを覚えていれば済むゲームでもありません。
仲間をスカウトして関係を深めたり、主人公ごとの専用活動を進めたりしながら、それぞれの視点で物語を追っていくことになります。そこへ先ほど紹介した大陸探索や育成まで加わるわけですから、4ルートを細かく行ったり来たりすると、プレイヤー側の頭の切り替えも忙しくなりそうです。
とはいえ、ここは「4人を均等に進めなければならない」と考える必要はありません。
好きな主人公をある程度まとめて進めてから別の主人公へ移るなど、自分なりに区切りを決めて遊ぶこともできます。4人の物語を交互に進めることが強制されているわけではないため、登場人物や出来事を忘れやすいと感じたら、一つの物語に少し長めに集中する遊び方も選べそうです。
むしろ個人的に気になるのは、どのタイミングで主人公を切り替えると物語が一番面白く見えるのかというところです。
ある主人公側で意味の分からなかった出来事を見た直後に別の主人公へ切り替えると、その裏側が分かる。逆に、一人の物語を先まで進めすぎると、別ルートで後から知るはずだった情報まで先に見えてしまう。もしこうした情報の見せ方まで意識して作られているのであれば、「次は誰を進めるか」を考えること自体が群像劇を楽しむ一部になってきます。
その一方で、自由に切り替えられるからこそ、プレイヤーによって物語を知る順番も変わります。ここがきれいに機能すれば『万紫千紅』ならではの面白さになりますし、反対に情報整理が追いつかなければ、「話は面白そうなのに人物関係が頭に入ってこない」ということにもなりかねません。
つまり、4ルートを一つのプレイにまとめたことは、単純な周回プレイの廃止ではないということです。
何周もする負担を減らした代わりに、4人分の物語を一度に抱えることになった。 ここは『万紫千紅』の大きな魅力であると同時に、実際に遊んでみなければ評価しにくい部分でもあります。
少なくとも発売後にプレイする際は、「切り替えられるから毎回切り替える」と考えるより、自分が物語を追いやすいペースを見つけることが、かなり大切になりそうです。
発売前に確認しておきたいセーブ周りの仕様
4人の物語をどんな順番で進めるのかはプレイヤー側である程度調整できそうですが、そこで気になってくるのがセーブ周りです。
FEシリーズでは、一つの判断がその後の展開に響くこともあります。取り逃しや育成のやり直しに備えて複数のセーブデータを残したり、大きなイベントの前で別枠に保存したりと、シリーズ経験者ほど自分なりのセーブ方法が身についているかもしれません。
ところが、『万紫千紅』の先行プレイでは、ゲーム内で作成できるセーブファイルが1つだったと報告されています。さらにオートセーブも頻繁に行われるため、「ここから何か分岐しそうだから別データを残しておこう」といった、複数のセーブファイルを使い分ける遊び方は少なくとも先行プレイ時点では難しかったようです。
これは4主人公を並行して進める今作だからこそ、余計に気になる部分でもあります。
たとえば、ある主人公を先に進めてみたものの、「やっぱり別の主人公から進めたかった」と感じることもあるかもしれません。仲間の育成やスカウト、探索まで含めて選択肢が多い作品だけに、少し前の状態を残しておきたい場面は出てきそうです。
もちろん、やり直すための手段がまったく用意されていないわけではありません。
クリア済みのチャプターまで時間を巻き戻して再び進める機能は確認されています。ただし、その場合は巻き戻した地点より後の進行状況が失われるとされているため、複数のセーブデータから好きな状態をロードするのとは少し意味合いが違います。
そう考えると、細かくセーブデータを分けながら慎重に進めてきた人ほど、この仕様には戸惑う可能性があります。
ただし、ここについては注意が必要です。セーブファイルが1つという情報は、あくまでメディアによる先行プレイ段階で確認された内容であり、製品版の正式仕様として確定したものではありません。 発売までに変更される可能性もあるため、現時点で「『万紫千紅』はセーブデータを1つしか作れない」と断定するのは早いです。
そのため、セーブ周りを重視する人は発売後の製品版で改めて確認してから判断するのがよさそうです。
特に今回は4人の主人公を切り替え、仲間を集め、育成や探索まで進めていく大規模な作品です。数十時間単位で遊ぶことになれば、セーブの自由度は単なる細かな仕様ではなく、プレイの安心感にも関わってきます。
発売前の段階では大きな欠点と決めつける必要はないものの、『万紫千紅』をじっくり遊び込もうと考えている人ほど、製品版で真っ先に確認しておきたいポイントの一つといえそうです。
『ファイアーエムブレム 万紫千紅』はシリーズ屈指の“時間泥棒”になるかもしれない
ここまで『万紫千紅』の特徴を一つずつ見てきましたが、改めて全体を振り返ると、今回のFEはかなり思い切った作品になっています。
4人の主人公を切り替えながら進める群像劇があり、それぞれに異なる目的や専用の遊びが用意されている。そこへ仲間の育成やスカウト、食事や贈り物による交流、大陸各地の探索、3Dダンジョンまで加わり、戦場へ出れば従来のFEらしいシミュレーションバトルが待っています。
単純にメインストーリーが長いというより、一つの作品の中に時間を使いたくなる場所がいくつも存在している。これこそが、『万紫千紅』のボリュームを考えるうえで重要な部分だと思います。
実際、先行プレイしたメディアからは「100時間遊んでも終わらない」「4本のFEを遊んでいるよう」といった趣旨の評価も紹介されています。もちろん、これは全プレイヤーが100時間以上遊ぶことを保証するものではありませんが、少なくとも短期間で一気にクリアして終わるタイプの作品ではなさそうです。
しかも厄介なのは、メインストーリーだけを追えば満足できる人ばかりではないことです。
気になる仲間を見つければスカウトしたくなりますし、仲間にしたら今度は育てたくなる。ダンジョンを見つければ奥まで探索したくなり、4人の主人公を進めていれば別視点の物語も気になってくるはずです。「今日はストーリーを進めよう」と始めたのに、気づけば仲間との交流や育成だけでかなり時間が経っていた、ということも十分ありそうです。
いわゆる“時間泥棒”になりそうなのは、単にコンテンツ量が多いからではありません。一つの行動から次にやりたいことが生まれ、それが連鎖していく作りになっていることのほうが大きいと感じます。
その一方で、ここまで何度か触れてきた通り、この物量は人を選ぶ部分にもなります。
戦闘以外にもやることが多く、4人分の物語や仲間を同時に追う必要があるため、テンポよくシミュレーションバトルだけを楽しみたい人には重たく感じるかもしれません。先行プレイでも序盤はシステムや情報量の多さに圧倒されたという感想があったとされており、「要素が多いほど面白い」と単純に言い切れないところはあります。
だからこそ、記事タイトルにも掲げた**「『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は買いなのか?」**という問いに発売前情報だけで答えるなら、誰にでも無条件でおすすめできるというより、かなり向いている人が分かりやすい作品という印象です。
『風花雪月』で戦闘だけではなく育成や交流までじっくり楽しめた人、キャラクター同士の関係や群像劇を追うのが好きな人、寄り道をしながら一つのゲームを長く遊び込みたい人。このあたりに当てはまるなら、『万紫千紅』はかなり期待していい一本になりそうです。
反対に、戦闘から戦闘へテンポよく進む昔ながらのFEを求めているなら、発売後の評価を確認してからでも遅くありません。探索や交流をどこまで省略できるのか、4主人公の物語が煩雑になっていないか、先行プレイで気になったセーブ周りが製品版でどうなっているのか。このあたりを確認したうえで購入する選択も十分ありだと思います。
それでも、発売前の段階でこれだけ「実際に触って確かめたい」と思わせる要素が出ているのは確かです。
4人の物語を追い、仲間を集め、大陸を歩き回り、自分なりの部隊を作って戦う。
9月17日に遊び始めたら、ほかのゲームへ手を伸ばす余裕がしばらくなくなるかもしれません。 少なくとも、一本のゲームを腰を据えて遊び込みたい人にとって、『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は2026年9月の中でも特に気になる新作になりそうです。
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