日本一ソフトウェアといえば、『魔界戦記ディスガイア』シリーズをはじめ、個性的なシステムとやり込み要素を武器に、多くのコアゲーマーから支持を集めてきたメーカーです。その新作ダンジョンRPGとして発表された『カースウォリアー』も、公開当初は少なからず期待を集めていました。
特に注目されたのが、本作最大の特徴でもある「呪い」のシステムです。探索を続けるほど呪いが蓄積し、最終的にはキャラクターがロストするという高い緊張感を備えたゲームデザインは、『ダーケストダンジョン』のような歯応えのある作品を好むプレイヤーからも関心を集めていました。
ところが、実際に発売されると評価は一変します。各レビューサイトやSNSでは厳しい意見が相次ぎ、2026年前半に発売されたPS5タイトルの中でも最低クラスの評価を受ける作品として話題になりました。単純に難易度が高いから不評というわけではなく、ゲーム全体の設計や遊びやすさにまで批判が及んでいた点が印象的です。
そこで今回は、『カースウォリアー』を最後までプレイしたレビュー内容をもとに、本作がなぜここまで低評価になってしまったのかを詳しく解説していきます。
もちろん、本作にも評価できる部分は存在します。しかし、それ以上にゲーム全体の完成度を大きく損ねてしまった問題点が数多く見受けられました。本記事では良かった点にも触れつつ、プレイを通して感じた致命的な欠点を率直にレビューしていきます。
カースウォリアーとは?ゲーム概要を紹介
まずは、本作がどのようなゲームなのかを簡単に整理しておきます。
『カースウォリアー』は、日本一ソフトウェアが手掛けたダンジョンRPGです。プレイヤーは拠点となる街で仲間を集め、最大4人のパーティーを編成しながら、周囲に存在するダンジョンを攻略していきます。ダンジョン内ではモンスターとの戦闘や探索を繰り返し、依頼を達成することでキャラクターを育成していくという流れになっています。
本作でまず目を引くのが、一般的な見下ろし型ではなく、横スクロール形式でダンジョンを探索するゲームデザインです。加えて、ダンジョンはランダム生成となっているため、同じ場所へ挑戦しても毎回ルートが変化し、新鮮な気持ちで探索できるよう工夫されています。ローグライク作品のようなリプレイ性を意識した設計と言えます。
そして、本作最大の特徴となるのがタイトルにもなっている「呪い」のシステムです。
ダンジョンでは「女神のマナ」というリソースが時間経過とともに減少していき、これが尽きると各キャラクターへ呪いが蓄積され始めます。呪いゲージが一定値を超えるたびに新たな呪いを背負うことになり、最終的に限界へ到達するとキャラクターは死亡し、そのままロストしてしまいます。一度失った仲間は復活できないため、探索を続けるか、それとも引き返すかという判断が常にプレイヤーへ突き付けられる仕組みになっています。
この仕様だけを見ると、かなり魅力的に映ります。
限られたリソースを管理しながら奥へ進み、仲間を失うリスクと報酬を天秤にかけるゲームデザインは、『ダーケストダンジョン』のような高い緊張感を味わえる作品を好むプレイヤーにとって、非常に興味を引かれる内容だからです。発売前には「国産版ダーケストダンジョン」として期待する声も少なくありませんでした。
さらに、呪いは単なるデメリットではありません。能力を強化する効果と弱体化する効果を併せ持っており、悪い効果だけを解除して良い効果を残すことで、自分好みにキャラクターを強化できるという育成要素も盛り込まれています。この発想自体は非常にユニークで、本作ならではの個性になっていました。
しかし実際にプレイを進めていくと、この魅力的に見えたシステムが、少しずつ別の顔を見せ始めます。
一見すると緊張感のあるゲームデザインに思えた呪いシステムも、ゲーム全体のバランスやUI、育成システムとうまく噛み合っておらず、プレイ時間が長くなるほどストレスへと変化していく場面が目立ちました。
では具体的に、どのような点が評価できたのか、そしてどこから低評価へつながる問題が表面化していくのか。まずは、本作の良かった点から順番に見ていきます。
呪いシステム自体の発想は面白い
本作をプレイして最初に感じたのは、「呪い」というシステムそのものは非常に面白い発想だということです。
一般的なRPGでは、状態異常や呪いはプレイヤーにとって避けるべきマイナス要素として扱われることがほとんどですが、『カースウォリアー』では、その常識を覆そうとしています。本作の呪いには能力を強化する効果と弱体化する効果がセットで存在しており、拠点へ戻れば悪い効果だけを解除できるため、良い効果だけを残してキャラクターを育成することが可能です。
つまり、「呪いを避ける」のではなく、「呪いを利用して強くなる」というゲームデザインになっているわけです。この考え方は他のダンジョンRPGにはあまり見られず、本作ならではの個性として十分に魅力を感じました。
さらに、呪いには複数の色や段階が存在し、同系統の呪いを育てて融合させることで、より強力な高レベルの呪いへ進化する仕組みも用意されています。単純に能力値を伸ばすだけではなく、「どの呪いを残し、どれを育てるか」という育成要素まで組み込まれているため、システムだけを見ればかなり作り込まれている印象を受けます。
また、ダンジョン探索との相性も悪くありません。
探索を続けるほど呪いのリスクは高まりますが、その一方で強力な呪いを獲得できる可能性も生まれるため、「もう少し奥まで進みたい」「ここで帰るべきか」といった判断を常に迫られます。この絶妙な駆け引きは、ダンジョンRPGらしい緊張感を演出する要素としてしっかり機能していました。
だからこそ、本作は余計にもったいなく感じます。
実際に遊び進めていくと、この魅力的だった呪いシステムがゲーム全体の設計とうまく噛み合わず、後半になるにつれてプレイヤーの自由度を奪うストレス要素へと変化してしまいます。アイデア自体は決して悪くなく、むしろ本作最大の武器になり得るポテンシャルを秘めていただけに、その魅力を最後まで活かし切れなかった点は非常に惜しいと感じました。
ランダム生成ダンジョンと探索の緊張感は魅力的
本作のダンジョン探索も、ゲーム序盤においては比較的楽しめる要素の一つでした。
ダンジョンは「小」「中」「大」の3種類の規模が用意されており、それぞれが1フロア構成のランダム生成となっています。同じダンジョンへ再挑戦したとしても毎回マップの形が変化するため、単純な暗記プレイになりにくく、「今回はどんなルートになるのか」という新鮮さを保ちながら探索を進められます。
さらに、本作では探索そのものがリソース管理と密接に結び付いています。
ダンジョンへ足を踏み入れると、「女神のマナ」が少しずつ減少していき、これが尽きると呪いゲージが蓄積され始めます。そのため、プレイヤーはただゴールを目指すだけではなく、「まだ探索を続けるべきか、それとも安全を優先して引き返すべきか」という判断を何度も迫られます。探索すればするほど危険も増しますが、その分だけ報酬も期待できるため、このリスクとリターンのバランスはダンジョンRPGらしい面白さを生み出していました。
また、出発前に持ち込むアイテムを考える時間も悪くありません。
特にマナを回復するアイテムは探索の継続時間を大きく左右するため、「今回は長丁場になりそうだから多めに持っていこう」「短いダンジョンだから回復アイテムを減らして攻撃用アイテムを増やそう」といった準備の段階から戦略を考える楽しさがあります。ダンジョンへ入る前から攻略が始まっている感覚を味わえる点は、本作の長所と言っていい部分でした。
だからこそ、序盤は「このゲームは意外と面白いかもしれない」と感じられる場面も少なくありません。
ランダム生成による探索の新鮮さ、限られたリソースを管理する緊張感、そして呪いを軸とした独自システムは、それぞれ単体で見れば十分に魅力があります。実際、ゲームの土台となるアイデアには光るものがあり、遊び始めた直後は今後の展開にも期待を抱かせてくれました。
ところが、プレイ時間が長くなるにつれて、その期待は少しずつ薄れていきます。
探索を支えるはずだったシステムが徐々にストレスへ変わり、ランダム生成の面白さよりもテンポの悪さや不親切な仕様が目立ち始めるからです。本作が低評価を受ける理由は、この「序盤は期待できたのに、遊び進めるほど不満が積み重なっていく」という構造にあるのかもしれません。
テンポの悪さがゲーム全体の足を引っ張っている
一方で、本作を最後までプレイして最も気になったのは、ゲーム全体のテンポの悪さです。
ダンジョンRPGは何度も探索を繰り返しながら少しずつキャラクターを育成していくジャンルだからこそ、一回一回のプレイサイクルが快適であることが非常に重要になります。しかし『カースウォリアー』は、その基本となるテンポの部分で細かなストレスが積み重なり、ゲーム全体の遊びやすさを大きく損ねてしまっています。
例えば、探索を終えて街へ戻ったあとには、装備の整理や呪いの管理、依頼の確認、仲間の育成など、数多くの作業を順番にこなさなければなりません。本来であれば、こうした準備時間は次の冒険への期待を高める時間になるはずですが、本作では操作量が多く、メニューの行き来も頻繁に発生するため、「早く次のダンジョンへ行きたい」という気持ちが何度も中断されてしまいます。
さらに気になるのが、呪いシステムとの噛み合わせです。
本作では呪いを育成要素として活用する設計になっている一方で、どの呪いを残し、どれを解除するかを毎回細かく考える必要があります。このシステム自体は決して悪くありませんが、プレイ時間が長くなるほど管理項目が増えていくため、いつの間にか「育成を楽しむ時間」よりも「管理する時間」の割合が大きくなっていきます。
つまり、プレイヤーが頭を使うべき場面と、単純な事務作業になってしまう場面の切り分けが十分にできていない印象を受けました。
もちろん、ダンジョンRPGにはある程度の準備や管理は付きものです。しかし、快適な作品であれば、その管理作業さえ「次はどんな構成で挑もうか」という楽しさへ変換できます。本作の場合は、その一歩手前で操作の煩雑さが目立ってしまい、「またこの作業をやるのか」という気持ちになってしまう場面が少なくありませんでした。
こうした細かなストレスは一つひとつを見ると些細な問題に思えるかもしれません。しかし、ダンジョンへ潜るたびに同じ流れを何十回も繰り返すゲームだからこそ、その積み重ねは想像以上に大きな負担となります。
結果として、序盤では魅力的に感じていた探索サイクルも、中盤以降になると新鮮さより作業感が勝つようになり、「もう一回潜ろう」というモチベーションが少しずつ削られていく原因になっていました。ゲームの根幹となるゲームループが十分に磨き切れていない点は、本作が低評価を受けた大きな理由の一つだと感じます。
UI・操作性の不親切さがストレスを増幅させる
本作をプレイしていてもう一つ気になったのが、UIや操作性の細かな使い勝手です。
ゲームシステムそのものが複雑なのは決して悪いことではありません。むしろダンジョンRPGでは、装備や育成、スキル構成をじっくり考える奥深さが作品の魅力につながるケースも多くあります。しかし、その複雑なシステムをプレイヤーが快適に扱えるよう支えるのがUIの役割です。本作は、その土台となる部分の作り込みがやや不足している印象を受けました。
例えば、各種メニューを開いて目的の項目へたどり着くまでに何度も画面を切り替える必要があり、一つの作業を終えるだけでも想像以上に操作回数が増えてしまいます。ダンジョンへ出発するまでの準備、探索後の整理、キャラクター育成といった一連の流れを繰り返すゲームだからこそ、この細かな操作の積み重ねが徐々にプレイヤーの負担となっていきます。
また、本作の中心システムである呪いも、情報量の多さに対して画面上の整理が十分とは言えません。
呪いには強化効果と弱体化効果があり、さらに融合や育成まで存在するため、本来であれば「今どの状態なのか」「次にどう育てればよいのか」が一目で分かるようなUIが求められます。しかし実際には情報が分散している場面も多く、慣れるまでは確認作業そのものに時間を取られてしまいます。ゲームを理解するために考える時間ではなく、画面を読み解くための時間が増えてしまう点は少し惜しく感じました。
もちろん、プレイ時間を重ねればある程度は慣れてきます。
とはいえ、「慣れれば問題ない」という設計は、必ずしも優れたUIとは言えません。本当に遊びやすい作品であれば、複雑なシステムであっても直感的に理解でき、プレイヤーは自然とゲームそのものへ集中できます。本作はアイデアが先行している一方で、それを快適に扱うためのインターフェースが十分に追いついていない印象がありました。
こうした不満は、一つだけ切り取れば大きな欠点には見えないかもしれません。しかし、テンポの悪さや管理要素の多さと重なることで、ストレスが何倍にも膨らんでしまいます。
だからこそ本作は、「面白いシステムを考えたゲーム」ではあるものの、「そのシステムを最後まで気持ちよく遊ばせるゲーム」にはあと一歩届かなかった作品だと感じます。ゲームデザインの方向性自体は決して間違っていなかっただけに、UIや操作性がもう少し洗練されていれば、プレイヤーからの評価も大きく変わっていたのではないかと思いました。
総評|アイデアは光るが、完成度が追い付かなかった惜しい作品
最後までプレイして感じた本作の印象を一言で表すなら、「光るアイデアを持ちながら、それを十分に活かし切れなかった惜しい作品」という評価になります。
実際、本作には評価できる要素が数多くありました。
呪いを強化要素として利用する育成システムは非常に独創的ですし、ランダム生成ダンジョンとリスク・リターンを重視した探索デザインも、方向性そのものは決して間違っていません。発売前に多くのダンジョンRPGファンが期待を寄せた理由も、実際にプレイしてみると十分理解できます。
ところが、その魅力を支えるはずだったゲーム全体の設計が噛み合っていませんでした。
探索を繰り返すゲームでありながらテンポが悪く、管理要素は多いものの快適に扱えるUIにはなっておらず、独自システムである呪いも、プレイ後半になるにつれて「育成の楽しさ」より「管理の煩雑さ」が目立つ場面が増えていきます。その結果、本来なら何度も潜って育成を楽しむゲームサイクルが、徐々に作業感へ変わってしまう点は非常にもったいなく感じました。
一方で、本作を完全に否定するつもりはありません。
システムそのものを分析すると、「こう改善すればもっと面白くなったのではないか」と感じる部分が非常に多く、ゲームデザインの種は随所に見受けられます。だからこそ低評価作品というより、「磨き切れなかった良作候補」という表現のほうが、本作にはしっくりきます。
もしダンジョンRPGが好きで、新しいシステムに触れてみたい方であれば、一度遊んでみる価値は十分あります。ただし、快適なテンポや遊びやすさを重視する方、ストレスなく周回できるゲームを求めている方は、購入前に本記事で紹介した欠点を理解したうえで判断したほうが満足度は高くなるはずです。
総合すると、『カースウォリアー』はアイデアとゲームデザインの方向性には大きな可能性を感じられる一方、そのポテンシャルを完成度へ結び付けられなかった作品でした。
あと一歩、テンポやUI、システム同士の噛み合わせまで丁寧に調整されていれば、日本一ソフトウェアのダンジョンRPGとして高く評価されていた可能性も十分にあったと思います。その「惜しさ」こそが、本作を最後までプレイしたあとに最も強く印象に残った点でした。
ダークな物語を掘り下げた別ジャンルのレビューも書いています
『カースウォリアー』のような作品を遊んでいると、ゲームシステムだけではなく、その世界に漂っている独特な雰囲気まで含めて印象に残ることがあります。
明るい冒険を描いた作品とは違い、登場人物が置かれた状況や世界の残酷さ、人間関係の変化まで含めて物語を味わう。こうした要素に惹かれる人も少なくないと思います。
普段このブログではゲームを中心に扱っていますが、別サイトではジャンルを分けて、成人向けの二次元作品を対象に、ストーリーやキャラクター、登場人物同士の関係性まで掘り下げたレビューも書いています。
もちろん、扱っている作品も対象年齢も本ブログとは異なります。ただ、作品を表面的に紹介するだけではなく、「どんな物語が描かれているのか」「登場人物の関係がどう変わっていくのか」といった部分まで含めて作品を読み解いているため、ストーリー性のある二次元作品が好きな方には楽しんでもらえるかもしれません。
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