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【FFTリマスター レビュー】名作は今遊んでも面白い?クリアして分かった進化と惜しい点

【FFTリマスター レビュー】名作は今遊んでも面白い?クリアして分かった進化と惜しい点

『ファイナルファンタジータクティクス』と聞くと、今でも「名作だった」と即答する人はかなり多いと思います。1997年に発売された作品でありながら、重厚なストーリーや奥深いジョブシステムは現在でも語られ続けていて、私自身も今回のリマスターにはかなり期待していました。

一方で、昔の名作をリマスターした作品には少し難しいところもあります。思い出の中では完璧だったゲームでも、現代の作品に慣れた状態で遊び直してみると、操作性やテンポの悪さが気になったり、「昔はこんなに遊びにくかったのか」と感じたりすることも珍しくありません。だからこそ今回のFFTも、懐かしさだけで評価するのではなく、一本のゲームとして今遊んでも本当に面白いのかは気になっていました。

実際に最後までプレイしてみた結論から言うと、そこはほとんど心配する必要がありませんでした。むしろ内容を知っているにもかかわらず、「もう少しだけ進めよう」と思っているうちに時間が過ぎていて、改めてFFTというゲームそのものの強さを感じさせられました。原作の時点で高く評価されていたストーリーや育成の面白さは今でも十分に通用しますし、リマスターで加えられたフルボイスやバトル周りの改善によって、以前より遊びやすくなった部分もかなりあります。

ただし、何もかも理想的に仕上がったリマスターかというと、そうとも言い切れません。戦闘中のカメラや地形の見づらさなど、もう少し手を入れてほしかった部分は残っていますし、PSP版で追加された要素が収録されていないことにも惜しさを感じました。

そこでこの記事では、『FFTリマスター』を最後まで遊んで感じた面白さを振り返りながら、原作からどこが進化したのか、反対にどこが気になったのかまで順番に掘り下げていきます。昔FFTを遊んだことがある人はもちろん、「名前は知っているけれど今から遊んでも楽しめるのか」と迷っている人にも、購入を判断する材料になればと思います。

結論|FFTリマスターは今遊んでも文句なしに面白かった

先ほど「今遊んでも本当に面白いのかが気になっていた」と書きましたが、最後までプレイした今なら、その答えはかなりはっきりしています。『FFTリマスター』は思い出補正を抜きにしても十分面白く、むしろ現在のゲームと比べたからこそ、この作品が長く名作として語られてきた理由がよく分かりました。

特に強く感じたのが、ゲームを進めるための動機が途切れにくいことです。物語の続きが気になって先へ進みたい一方で、新しいジョブを解放したりアビリティを覚えたりすると、今度は育成を続けたくなる。そうしてキャラクターが強くなれば、覚えた技や組み合わせを実戦で試したくなり、そのまま次のバトルへ向かってしまいます。ストーリー、育成、バトルがそれぞれ独立して面白いだけではなく、お互いが次に遊ぶ理由を作ってくれる。この循環がFFTの大きな魅力なのだと、改めて感じました。

しかも今回のリマスターでは、その面白さを大きく変えるのではなく、遊びにくかった部分を現代向けに整える方向で手が加えられています。たとえば戦闘を倍速で進められるようになったほか、行動順が画面上に表示されるため、誰が次に動くのかを以前より把握しやすくなりました。マップ移動中に発生するランダムバトルも必ず戦わなければならない仕様ではなくなり、必要がなければ撤退できるようになっています。

こうした変更は一つひとつを見ると地味かもしれません。ただ、FFTは一回の戦闘がそれなりに長く、育成のために何度もバトルを繰り返すゲームでもあるので、細かな待ち時間や強制戦闘が減った恩恵は想像以上に大きく感じました。昔ながらの手触りは残しながら、「今となっては少し面倒だった部分」を減らしてくれているため、懐かしさだけを売りにしたリマスターにはなっていません。

もちろん、原作を知っている人ほど気になる変更もあります。戦闘中の演出やカメラには「ここまで手を入れるなら、もう少し改善できたのでは」と思う部分がありますし、追加された会話についても、キャラクターの心情が分かりやすくなった反面、バトル中まで頻繁に会話が入ることでテンポが落ちたと感じる場面はありました。原作では比較的あっさりしていたやり取りがかなり増えているため、このあたりは昔のFFTをどれだけ好んでいたかによって評価が分かれそうです。

それでも、最後まで遊んだ印象としては、不満点より「やっぱりFFTは面白い」という気持ちのほうが圧倒的に上回りました。新しいゲームのように作り直した作品ではありませんが、元々完成度の高かった部分を壊さず、現代でも遊びやすい形へ持ってきたリマスターとしては、かなり満足度の高い仕上がりです。

そして何より、FFTを一度も遊んだことがない人にとっては、今回がこの作品に触れる絶好の機会だと思います。約30年前のゲームだからと身構える必要はなく、ストーリーを追いながら自分なりの部隊を作り、少しずつ強くしていく面白さは今でもまったく色褪せていません。

では、なぜそこまで面白いと感じたのか。ここからはまず、FFTという作品を名作たらしめている最大の理由の一つでもある「物語」から掘り下げていきます。

物語は約30年前のゲームとは思えないほど濃密

先ほどFFTの面白さは今でも色褪せていないと書きましたが、その中でも特に時代を感じさせないのがストーリーです。ファンタジー世界を舞台にした作品ではあるものの、物語の中心にあるのは単純な勧善懲悪ではありません。政治や宗教、身分の違いといった現実の歴史にも通じる要素が絡み合い、それぞれの立場にいる人間が自分なりの正義を持って動いていきます。

政治・宗教・身分まで絡む「大人になってから刺さる」ストーリー

FFTのストーリーが面白いのは、「悪い奴を倒して世界を救う」という分かりやすい構図だけでは進まないところです。

物語の中では権力を持つ者がいれば、その下で苦しんでいる者もいますし、生まれた家や身分によって人生そのものが左右される人物も登場します。政治的な思惑や宗教まで絡んでくるため、登場人物が置かれている状況を理解していくほど、「この人がこういう行動を取るのも分からなくはない」と思わされる場面が増えていきます。

特に印象的なのは、敵対する側にも彼らなりの正義があることです。こちらから見れば明確な敵だったとしても、立場を入れ替えて考えてみると、その主張すべてが間違っているとは言い切れない。だからこそ物語を追うほど単純に善悪では整理できなくなり、「もし自分がこの立場だったら、どうしていただろう」と考えさせられます。

こういう物語は、子どもの頃と大人になってからでは受け取り方もかなり変わります。昔は単純に「このキャラクターが格好いい」「この展開が熱い」と感じていた場面でも、社会の仕組みや人間関係をある程度知った状態で触れると、その裏にある事情まで見えてくる。その意味では、発売から長い時間が経ったからこそ、改めて遊ぶ価値のある作品だと感じました。

ラムザとディリータ、表と裏から描かれる二つの歴史

そしてFFTの物語を語るうえで外せないのが、主人公ラムザと、その親友であるディリータの存在です。

二人は同じ時代を生きながら、やがてまったく異なる道を進んでいきます。ディリータは後世に英雄として名を残す一方、ラムザは歴史の表舞台から外れ、その裏側に隠された真実を追っていく。つまりプレイヤーが見ているのは一人の英雄が成り上がっていく物語ではなく、「後世に残された歴史」と「歴史から消された真実」が同時に進んでいく物語でもあります。

ここがFFTらしいところで、ゲームを進めていると「歴史として残っているものが、本当にすべてなのか」という疑問が少しずつ膨らんでいきます。

英雄として語られる人物が必ずしもすべてを正しく行ったわけではなく、逆に歴史に名前を残さなかった人物が何も成し遂げなかったわけでもありません。ラムザとディリータの人生を対照的に描くことで、そのテーマが物語の最後まで一本の線としてつながっています。

しかも二人とも、最初から完成された人物ではありません。それぞれが置かれた環境や経験によって考え方を変え、自分なりの方法で生き抜こうとするからこそ、どちらか一方だけを単純に正しいと決めつけにくい。この人間臭さも含めて、FFTのストーリーには独特の重みがあります。

増えたセリフは物語を分かりやすくした一方で少し気になる部分も

そんな元々完成度の高かった物語に対して、今回のリマスターではかなり手が加えられています。シナリオのテキスト量は約1.6倍に増えているとされており、特にキャラクターの心情や、それぞれの陣営が置かれている状況を補足するようなセリフが増えました。

FFTは物語が進むほど登場人物や各陣営の思惑が複雑に絡んでくるため、原作では少し油断すると「この人は何のために動いているんだっけ」となりやすい部分もありました。その点、今回の追加は単純に新しいエピソードを大量に足したというより、以前は説明が足りなかった部分を補っていく方向に近く、ストーリーそのものは追いやすくなっています。

ただ、ここは素直に全部良くなったとは言い切れません。

特にバトル中の掛け合いはかなり増えていて、キャラクター同士がそれぞれの主張をぶつけ合う場面も多くなっています。物語を深く理解するという意味ではありがたいものの、こちらとしては早く戦闘を進めたい場面でも会話が続くため、「さすがに少し長いな」と感じることはありました。

とはいえ、これは元のシナリオを別物に作り替えたという話ではありません。むしろ、すでに完成されていた物語の行間を埋め、キャラクターが何を考えていたのかを以前より伝わりやすくした変更だと感じます。

そして、その追加されたセリフをさらに印象的なものにしているのが、今回のリマスターにおける大きな変更点でもあるフルボイス化です。テキストだけでも十分に成立していたFFTの物語が、声を得たことでどう変わったのか。ここは実際に遊んでみると、想像していた以上に大きな違いがありました。

フルボイス化でFFTの物語は想像以上に化けた

前の項目で触れたように、今回のリマスターではキャラクター同士の会話そのものが増えています。ただ、それ以上に大きかったのが、ストーリー全編にボイスが付いたことでした。正直なところ、プレイする前は「昔のセリフを声優が読んでくれるくらいの違いかな」と思っていたのですが、実際に触れてみると物語の受け取り方までかなり変わります。

キャラクターの感情が以前より圧倒的に伝わってくる

そもそもFFTは、キャラクターの表情や大きな身振りによって感情を伝えるタイプのゲームではありません。画面上ではデフォルメされたキャラクターが動き、その横に表示されるテキストを読みながら、プレイヤー側が声色や感情を想像して物語を追っていく。原作では、それも含めてFFT独特の味になっていました。

そこへ実際の声が加わると、同じセリフでも受ける印象がかなり違います。

怒っているように見えて、実はその奥に迷いがあったり、冷静に話しているようで感情を必死に押し殺していたりする。文字だけを追っていた頃には自分の想像で補っていた部分を、声優の演技がもう一段深いところまで見せてくれるため、「この人物はこんな気持ちで話していたのか」と気付かされる場面が何度もありました。

特にFFTの場合、政治や身分、信仰といった複数の事情が重なり合って物語が進んでいきます。登場人物の発言も、その言葉だけを切り取れば意味が分かっても、「なぜこの人物がここまで強く言うのか」という感情の部分まで読み取るには、ある程度ストーリーを理解している必要がありました。

フルボイスになると、そのハードルがかなり下がります。文章として意味を理解するだけではなく、声の強弱や間の取り方まで含めて感情が伝わってくるので、複雑な話を追いかけながらもキャラクターの心情を見失いにくくなりました。

原作では描き切れなかった人間関係まで補完されている

さらに今回は、ボイスが付いただけではなく会話量そのものも増えています。

この二つが組み合わさったことで、原作では少し距離を感じていた人物同士の関係まで見えやすくなりました。誰と誰がどの程度信頼し合っているのか、反対にどこで考え方が食い違っているのか。以前なら数行のやり取りから想像していた部分に言葉が足され、その言葉に声まで乗るため、人間関係の輪郭がかなりはっきりしています。

ここは、ストーリーを一度知っている人にとっても面白いところでした。

当然ながら大筋の展開を知っていれば、「このあと何が起こるのか」という純粋な驚きは初見ほどありません。それでも追加されたやり取りを聞いていると、以前とは違う角度からキャラクターを見ることができますし、過去にプレイしたときにはそれほど気に留めていなかった人物が妙に印象に残ることもあります。

新しいストーリーを大量に追加してボリュームを膨らませるのではなく、元々あった物語を掘り下げる。今回のシナリオ追加は、そういう方向性だと考えると分かりやすいです。

原作経験者ほど「自分の中の声」との違いを感じる可能性も

ただし、フルボイス化については原作経験者ほど好みが分かれる部分もあると思います。

長年好きだったゲームほど、キャラクターの声や話し方を無意識のうちに自分の中で作り上げているものです。特にFFTのように、もともと音声なしで長く親しまれてきた作品の場合、「自分が想像していたラムザはもう少しこういう話し方だった」と感じる人がいても不思議ではありません。

とはいえ、今回のボイスについて私自身はかなり好印象でした。単純にセリフを読み上げているというより、その人物が置かれている状況や感情を踏まえた演技になっているので、物語への没入感を損なうより、むしろ助けてくれる場面のほうが多かったです。

もちろん、原作の「文字を読みながら自分の中で人物像を作っていく感覚」が好きだった人なら、少し違和感を覚える可能性はあります。それでも、これまでFFTを知らなかった人が初めて物語に触れることを考えると、フルボイス化の恩恵はかなり大きいと感じました。

そして、ストーリー周りが大きく強化された一方で、実際にプレイする時間の多くを占めるのは、やはりシミュレーションRPGとしてのバトルです。こちらも単純な移植ではなく、遊びやすさに関わる部分を中心にいくつもの調整が入っています。ただ、実際に戦ってみると「ここまで良くなったなら、あと一歩だけ手を入れてほしかった」と感じる部分も残っていました。

バトルは遊びやすくなったが「もう一歩」欲しかった

ストーリーやフルボイスについてかなり高く評価してきましたが、FFTはシミュレーションRPGなので、当然ながらバトルの出来も無視できません。そして実際に遊んでみると、こちらも原作の面白さはそのまま残しつつ、以前より快適になった部分がいくつもありました。

もともとFFTのバトルは、高低差のあるマップでキャラクターを動かし、敵との位置関係や行動順を考えながら戦っていく仕組みです。ジョブや装備、アビリティの組み合わせまで含めると取れる戦術はかなり多く、同じステージでも育て方によって戦い方が変わります。この基本部分については今遊んでも十分面白く、古いゲームだから戦闘システムそのものが時代遅れになっているとは感じませんでした。

そのうえで今回のリマスターでは、単純に画面を綺麗にするだけではなく、バトルバランスにも調整が入っています。

チャージタイム調整で召喚魔法などが使いやすくなった

個人的にかなり良かったのが、一部の技や魔法に設定されているチャージタイムの調整です。

FFTではコマンドを選んだ瞬間にすべての技が発動するわけではなく、強力な魔法などは実際に発動するまで時間がかかります。この仕組み自体は戦略性につながっているのですが、原作では「強いけれど発動が遅すぎて使いにくい」という技もあり、その代表格が召喚魔法でした。

ところが今回のリマスターでは発動までの時間が短くなり、黒魔法に近い感覚で使えるようになっています。しかも召喚魔法は広範囲を攻撃しながら味方を巻き込みにくいという強みがあるため、以前より明らかに実戦へ組み込みやすくなりました。

これは単純にキャラクターを強くしたというより、「面白そうなのに使いづらかった選択肢を実用的にした」調整なのが良いところです。

FFTはジョブを変えながらさまざまなアビリティを覚え、自分なりの組み合わせを考えること自体が面白いゲームです。それなのに、一部の技が使いづらすぎて最初から選択肢に入らないとなれば、せっかくの育成システムも活かし切れません。その意味でも、チャージタイムの見直しはFFT本来の楽しさを広げる変更だったと思います。

倍速・行動順表示・ランダムバトル撤退はかなり快適

バランス調整とは別に、実際のプレイで恩恵を感じやすかったのが快適性の改善です。

まず、バトルそのものを倍速で進められるようになったのはかなり便利でした。FFTは一戦が短時間で終わるゲームではなく、育成目的で何度も戦うこともあります。じっくり見たい場面では通常速度、すでに何度も見ている演出や育成中の戦闘では倍速と使い分けられるので、プレイ時間が長くなるほどありがたさを感じます。

さらに画面上には行動順が常に表示されるようになり、「次に誰が動くのか」を確認しながら行動を決めやすくなりました。

これはFFTのバトルとかなり相性のいい改善です。単純なターン制ではないため、強力な魔法を選んでも発動する前に敵が移動してしまったり、反対に敵が動く前に味方を回復させる必要があったりします。そうした判断に必要な情報が常に見えているだけでも、戦闘中の余計な確認が減りました。

そして地味ながら嬉しかったのが、ワールドマップ移動時に発生するランダムバトルから撤退できるようになったことです。原作では移動中に戦闘が発生するとそのまま戦わなければなりませんでしたが、今回は戦う必要がなければ撤退できます。

育成したいときには自分から戦えばいいですし、ストーリーを進めたいときには余計な戦闘を避けられる。この変更によって、プレイヤー側でゲームのテンポを調整しやすくなったのは素直に良かったところです。

カメラと地形の見づらさはリマスターでも残っている

ここまでの改善についてはかなり満足しているのですが、一方で「ここも直してほしかった」と感じたのがマップの視認性でした。

FFTには高低差の激しい場所や、大きな建物が配置されたマップがいくつもあります。その立体的な地形を利用して戦うこと自体は本作の魅力なのですが、カメラアングルによって建物の裏側にキャラクターが隠れてしまい、誰がどこにいるのか分かりにくくなる場面がありました。

今回、コマンド選択時には従来より高い位置から戦場を確認できるようになっていて、以前より状況を把握しやすくなっています。ただ、この視点を好きなタイミングで常に使えるわけではないため、根本的に見づらさがなくなったわけではありません。

特に倍速を使っていると戦闘がかなり速く進むので、カメラの位置によっては「今誰が攻撃されたのか」「どのキャラクターが倒れたのか」が一瞬分かりにくいこともあります。快適性を高める機能が追加されているからこそ、ここまで手を入れるなら、手前の建物を半透明にするといった処理まで加えてくれれば、さらに遊びやすかったと感じました。

とはいえ、これはバトルそのものが面白くないという話ではありません。むしろチャージタイムの調整や倍速、行動順表示など、実際に何十回と戦うことを考えた改善はかなり効いています。その完成度が高かったからこそ、昔から残っている細かな見づらさが余計に気になった、というほうが近いです。

そして、何度もバトルを繰り返したくなる理由は、戦闘そのものの面白さだけではありません。FFTには戦えば戦うほど試したいジョブやアビリティが増えていく、かなり中毒性の高い育成システムがあります。次は、私が今回改めて「やっぱりここがFFTの面白さだな」と感じた育成部分を掘り下げていきます。

FFT最大の魅力はやっぱり育成だった

バトルについて触れてきましたが、その戦闘を何度も繰り返したくなる理由として欠かせないのが、FFTの育成です。ストーリーを先へ進めたいのに、「あと少しでこのアビリティを覚えられるから、もう一戦だけやっておこう」と寄り道してしまう。この感覚は原作から変わっておらず、今回もかなりの時間を持っていかれました。

FFTでは戦闘を重ねてキャラクターのレベルを上げるだけではなく、ジョブポイントを稼いでアビリティを習得し、さらに条件を満たすことで新しいジョブが解放されていきます。つまり単純に数字が大きくなって強くなるというより、「次はこのジョブを育てたい」「このアビリティを別のジョブと組み合わせたい」と、育成するたびに次の目標が生まれてくる作りになっています。

この仕組みが本当に厄介なくらい面白くて、気が付けばストーリーそっちのけで育成していることもありました。

ジョブとアビリティを組み合わせるだけで時間が溶けていく

FFTの育成で特に面白いのが、一つのジョブだけを極めれば終わりではないところです。

ナイトならナイト、黒魔道士なら黒魔道士として育てて終わるのではなく、別のジョブで習得したアビリティを組み合わせることで、そのキャラクターの役割を自分なりに作っていけます。攻撃役に回復手段を持たせてもいいですし、魔法職の弱点を別系統のアビリティで補うこともできる。この自由度があるからこそ、「次はどんな組み合わせにしようか」と考える時間まで含めて楽しいんです。

しかも、新しいジョブが解放されれば当然そちらも試したくなります。そこでまたジョブポイントを稼ぎ、便利そうなアビリティを見つけたら習得させ、今度はそれを別のジョブで使ってみる。そうしているうちに、当初考えていた育成方針からどんどん横道へ逸れていきます。

普通なら寄り道が増えるほど本編を進めるテンポは悪くなるはずなのですが、FFTの場合はその寄り道自体がゲームの面白さになっています。育成によって明確にできることが増え、その成果を次の戦闘ですぐ試せるため、「作業をさせられている」という感覚になりにくいのも大きいところでした。

仲間同士で石を投げ合うレベル上げまで懐かしくて楽しい

そしてFFT経験者なら、久しぶりにやって思わず懐かしくなるのが、敵を倒すことだけが育成ではない独特の仕組みです。

戦闘中に何らかの行動を取ることで経験値やジョブポイントを獲得できるため、敵がほとんど残っていない状況でも育成を続けられます。その結果、仲間同士で石を投げたり、必要もないのに行動を繰り返したりして、少しでも経験値やジョブポイントを稼ぐというFFTならではの光景が生まれます。

効率だけを考えれば、もっと別の育て方を選ぶこともできます。それでも、序盤から仲間同士で石を投げながら少しずつキャラクターを強くしていくと、「そうそう、FFTってこういうゲームだったな」と妙に嬉しくなりました。

一見するとかなり地味な作業なのですが、あと少しで欲しかったアビリティに届くとなると、その数ポイントを稼ぎたくなってしまいます。そして覚えた瞬間には「せっかくだから次の戦闘で使ってみよう」となるので、また戦いに行く。この小さな達成感が何度も繰り返されることによって、育成をやめるタイミングが本当に見つからなくなります。実際、今回改めてプレイしても、この独特なレベル上げの面白さはしっかり残っていました。

レア装備を盗む楽しさもしっかり残っている

育成を突き詰めていくと、今度はキャラクター自身の成長だけではなく、装備にも目が向くようになります。

FFTではショップで装備を買って終わりではなく、敵が持っている装備を「盗む」ことで入手できる場面があります。特に強力な装備を持った敵が出てくると、普通なら一刻も早く倒したいところなのに、「いや、先にあの装備を盗んでから倒したい」と欲が出てくる。この瞬間から、戦闘の目的まで変わってしまいます。

もちろん、盗むことにこだわれば戦闘はそのぶん面倒になりますし、失敗すれば何度も挑戦することになります。それでも、苦労して欲しかった装備を手に入れたときの嬉しさは大きく、その装備を誰に持たせるのかまで含めて育成の楽しさにつながっていました。

こうして振り返ると、FFTの育成には「レベルを上げる」「ジョブを育てる」「アビリティを集める」「装備を揃える」といった複数の目的があります。どれか一つを進めているうちに別の目的が生まれるため、キャラクターを育てる行為そのものが長く続く遊びになっているわけです。

だからこそ、今回のリマスターを遊んでいて少し残念に感じた部分もあります。これだけ育成が面白いゲームなら、もっとジョブやアビリティの選択肢が増えれば、さらに長く遊べたはずです。

ところが今回は初代PlayStation版をベースにしたリマスターという位置付けのため、後に発売されたPSP版で追加された要素まですべて収録されているわけではありません。

次は、この点についてもう少し詳しく触れていきます。

PSP版の追加要素がないのは正直かなり惜しい

育成そのものがこれだけ面白いだけに、今回のリマスターで個人的に最も惜しく感じたのが、PSP版『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』で追加された要素が収録されていないことです。

今回の『イヴァリース クロニクルズ』は、あくまで初代PlayStation版をベースに作られています。その方針自体は理解できますし、原作を尊重したリマスターとして考えれば間違っているとも思いません。ただ、約30年ぶりにFFTが現行ハードへ本格的に戻ってきたことを考えると、「せっかくなら過去に追加された要素まで全部入れてほしかった」という気持ちはどうしても残りました。

暗黒騎士やたまねぎ剣士などは収録されていない

PSP版では、オリジナル版には存在しなかった追加ジョブが用意されていました。その代表的なものが「暗黒騎士」と「たまねぎ剣士」です。

FFTでは先ほど触れた通り、新しいジョブを解放してアビリティを覚え、それを別のジョブと組み合わせながらキャラクターを育てていく過程そのものが大きな遊びになっています。だからこそ、ジョブが増えるというのは単純に選べる職業が二つ増えるだけの話ではありません。

「あのキャラクターを最終的にこのジョブへ持っていきたい」と考えれば、そこへ到達するまでの育成にも目的が生まれますし、新しいアビリティがあれば既存ジョブとの組み合わせも試したくなります。育成の選択肢が増えるほど、それだけ寄り道できる余地も広がるわけです。

特に今回のリマスターは、倍速などによって育成を繰り返す負担が以前より軽くなっています。それだけに、PSP版の追加ジョブまで含まれていれば、この快適になった環境でさらに育成を掘り下げられたのに、と感じてしまいました。

もちろん、それらがなくてもFFT本編の育成ボリュームが不足しているわけではありません。初めて遊ぶ人なら、既存のジョブやアビリティだけでも十分すぎるほど試すことがありますし、普通にストーリーを進めているだけでも「次は何を育てようか」と迷うくらいの選択肢があります。

それでも過去作を知っている側からすると、一度追加された遊びが今回なくなっていることには、どうしても物足りなさが残ります。

せっかくの復活なら「全部入りの完全版」も見てみたかった

ここで感じる惜しさは、PSP版の要素がなければゲームとして成立しない、というものではありません。

むしろ逆で、今回のリマスターはそれらがなくても十分に面白いです。ストーリーは今遊んでも強烈に引き込まれますし、ジョブとアビリティを使った育成にも相変わらず時間を持っていかれます。だからこそ、「これだけ完成度が高いなら、もう一段欲張ってくれても良かったのに」と思ってしまいます。

今回初めてFFTを遊ぶ人にとっては、それほど大きな問題にはならないと思います。一方、初代PlayStation版だけでなくPSP版まで遊んできた人の場合、過去にあった追加要素が収録されていない以上、「シリーズのすべてをまとめた決定版」を期待すると少し肩透かしを食らうかもしれません。

個人的には、原作準拠の内容を楽しめるモードとは別に、PSP版で追加されたジョブなども含めて遊べる選択肢があれば理想的でした。そうすれば原作のゲームバランスを大切にしたい人にも、過去の追加要素まで含めて遊び尽くしたい人にも対応でき、文字通り現代におけるFFTの完全版になっていたと思います。

とはいえ、この不満は「遊べるものが少ない」という意味ではありません。FFTには本編とは直接関係のない寄り道も多く、ストーリーを進めるだけでは見落としてしまう楽しみがかなり残されています。特に音楽や「儲け話」、そしてキャラクターを育てた先に待っているディープダンジョンまで触れていくと、約30年前の作品がなぜこれほど長く遊ばれてきたのか、その理由がさらに見えてきます。

音楽・サブ要素・やり込みもFFTらしさが詰まっている

PSP版の追加要素が収録されていない点には惜しさが残りましたが、だからといって本編をクリアしたら遊びが終わるわけではありません。FFTにはメインストーリー以外にも寄り道したくなる要素が用意されていて、むしろキャラクターの育成にハマった人ほど、本筋から離れたところでも時間を使うことになります。

それに、FFTというゲームを形作っているのはストーリーやバトルだけでもありません。戦闘を盛り上げる音楽があり、酒場で受けられる「儲け話」があり、育てたキャラクターの力を試せる場所もある。こうした少し脇道にある要素まで妙に作り込まれているところに、この作品ならではの魅力があります。

今聴いても色褪せないイヴァリースの音楽

まず、改めて触れておきたいのが音楽です。

FFTを昔遊んだことがある人なら、特定の場面や戦闘マップを見ただけで、そのとき流れていた曲まで頭の中に浮かんでくる人もいると思います。それくらいストーリーやバトルと音楽が強く結び付いていて、今回遊び直してみても、その印象はほとんど変わりませんでした。

特にFFTは物語そのものが重く、政治的な駆け引きや緊張感のある場面も多いため、音楽が世界観を支えている割合もかなり大きいです。派手に盛り上げるだけではなく、その場に漂っている不穏さや悲壮感まで含めて空気を作ってくれるので、何度も見たはずの場面でも自然と引き込まれます。

嬉しかったのは、クリア後にゲーム内で使用されている楽曲や効果音を聴ける項目が追加されていることです。

ストーリーを追っている最中はどうしても会話や戦闘に意識が向きますが、クリアしてから改めて音楽だけを聴いてみると、「この曲、こんな音まで入っていたのか」と気付くこともあります。大きな新要素ではないものの、作品そのものが好きになった人にとっては嬉しい追加でした。

「儲け話」は地味なのになぜかやめられない

そしてFFTの寄り道要素で個人的に好きなのが、酒場で受けられる「儲け話」です。

仕組み自体はかなりシンプルで、依頼された仕事に仲間を派遣し、成功するとお金などを持ち帰ってきます。現在のゲームで言えば派遣系のサブコンテンツに近く、これだけを聞くと特別珍しいシステムには感じないかもしれません。

ところが、これが妙にやりたくなります。

理由の一つが、仕事をこなしていくことで財宝や秘境を発見できることです。実用面だけを考えれば、そこで手に入るものがキャラクターを劇的に強くしてくれるわけではありません。それでも名称や説明文が細かく用意されていて、少しずつコレクションが増えていくと、今度は空いているところまで埋めたくなってきます。

この「ゲーム攻略には絶対必要ではないけれど、なぜか集めたくなる」という距離感がちょうどいいんです。

サブクエストというと、長いお使いを何度も繰り返したり、報酬のために仕方なく消化したりするゲームもあります。その点、儲け話は本編の流れを大きく止めるほど重くなく、育成の合間に少し触れる程度でも楽しめます。それなのに気が付けば財宝や秘境を確認しているあたり、FFTらしい地味な中毒性を持った遊びだと感じました。

育てたキャラクターを試せるディープダンジョンも健在

そして、キャラクターをとことん育てたい人にとって大きな目標になるのが「ディープダンジョン」です。

本編を普通に進めるだけなら、キャラクターを限界まで育成する必要はありません。強力なジョブやアビリティを組み合わせていけば十分に戦えますし、ある程度育ったところでストーリーを最後まで進めることもできます。

ただ、育成が面白いゲームほど、その先で一つ問題が出てきます。

せっかく時間をかけて強くしたのに、その力を使う場所がなくなってしまうんです。

ディープダンジョンは、そんなプレイヤーに「まだ先がある」と思わせてくれる高難度コンテンツになっています。マップは暗く、単純に敵を全滅させれば終わるわけではなく、隠された階段を見つけながら奥へ進んでいく必要があります。

当然、本編だけを楽しみたい人なら無理にやる必要はありません。一方でジョブを育て、アビリティを揃え、装備にもこだわってきた人なら、「ここまで育てた部隊がどこまで通用するのか」を確かめられる場所になります。

このあたりは約30年前のゲームながら、育成ゲームとしてかなりよく考えられている部分だと思います。キャラクターを強くする過程が面白いだけではなく、その強さを持って挑める場所まで用意されているから、育成そのものに意味が生まれます。

一方、本編だけを見ると、今回のリマスターでプレイ時間が大幅に伸びたという印象はありませんでした。シナリオのテキスト量は増えているものの、その多くは既存場面の補強であり、まったく新しい長編ストーリーが追加されたわけではありません。ノーマルで進めるなら、本編クリアまでの目安は30時間前後です。

その30時間をどう遊ぶかによって、FFTの印象はかなり変わります。物語を中心にテンポよく進めるのもいいですが、せっかく育成や戦術を考える楽しさがこれだけ残されているなら、少し歯応えのある難易度でじっくり遊ぶのも相性がいいと感じました。

原作経験者なら最初から高難度で遊ぶのもアリ

本編だけを追っていくなら30時間前後でクリアできるボリュームですが、FFTは難易度によってバトルの印象がかなり変わるゲームでもあります。特に原作を何度も遊んでいて、ジョブやアビリティの特徴、厄介な敵への対処法まである程度覚えている人なら、最初から高難度を選ぶのもかなり面白い遊び方だと感じました。

今回のリマスターでは難易度を選べるようになっているため、「ストーリーを中心に楽しみたい」「昔のように苦戦しながら攻略したい」といったプレイヤーごとの遊び方に合わせやすくなっています。FFTは育成次第でこちら側をかなり強くできるゲームなので、システムを理解している経験者ほど、高難度にすることでジョブやアビリティを考える面白さが活きてきます。

ノーマルなら本編クリアは30時間前後が目安

今回ノーマルで進めた場合、本編をクリアするまでの目安はおよそ30時間前後です。もちろん育成や寄り道をどこまで行うかによって変わりますが、メインストーリーを中心に進めるなら、極端に長いゲームではありません。

シナリオテキストが増えていると聞くと、原作よりかなりボリュームアップしている印象を受けるかもしれません。ただ、実際には新しい長編エピソードが大量に追加されたというより、既存の場面に会話や心情描写が加えられた部分が中心です。そのため、物語の密度は増しているものの、ゲーム全体の長さまで大幅に伸びた感覚はありませんでした。

むしろ30時間前後という長さは、今遊ぶゲームとして考えても個人的にはちょうどいいくらいです。

最近はクリアまで数十時間どころか100時間近く必要になるRPGも珍しくありませんが、FFTは物語を必要以上に引き延ばさず、その代わり育成やディープダンジョンといった部分で遊びたい人だけが長く遊べる構造になっています。ストーリーだけを見届けたい人と、とことんキャラクターを育てたい人のどちらにも対応しやすい作りになっているわけです。

かつての難所も遊びやすく調整されている

原作経験者なら、FFTには今でも名前を聞いただけで当時の苦労を思い出すような難所があります。

特に有名なのがウィーグラフ戦です。原作では連戦の途中でセーブした結果、育成状況によっては勝つことも前のマップへ戻ることもできず、最悪の場合は最初からやり直すしかないという状況まで起こり得ました。今となってはFFTを象徴する思い出の一つとして語れますが、ゲームとして考えるとかなり厳しい作りだったのは間違いありません。

今回ノーマルで戦ってみると、最初こそ多少苦戦するものの、きちんと対策すれば突破できる程度に収まっていました。難所らしい緊張感まで消えているわけではありませんが、「知らずに進めたら取り返しがつかなくなる」という昔ながらの理不尽さは抑えられています。

この調整は、新規プレイヤーにとって特に大きいと思います。

FFTはストーリーや育成が面白いだけに、一つの難所で完全に詰まってゲームそのものをやめてしまうのはあまりにももったいない作品です。原作の歯応えを何も考えずに削ったというより、現代では受け入れにくい部分を整理したと考えると、リマスターとして納得しやすい変更でした。

育成をとことん楽しみたいなら高難度との相性がいい

一方、原作を知っている人の場合、ノーマルでは少し物足りなく感じる可能性があります。

FFTは敵の弱点を突くだけで勝てるゲームではなく、どのジョブを育てるか、どのアビリティをセットするか、誰をどこへ配置するかといった準備がそのまま戦闘結果につながります。難易度が上がって簡単には押し切れなくなるほど、「この組み合わせならどうだろう」と試行錯誤する意味も大きくなります。

せっかく時間をかけてキャラクターを育てても、通常攻撃だけで簡単に敵を倒せるようになってしまえば、豊富なアビリティを使い分ける必要は薄れてしまいます。その点、高難度では育成した成果をしっかり戦術へ落とし込む必要があるため、FFTのシステムを理解している人ほど面白さを感じやすいはずです。

ただ、個人的に少し惜しかったのは、高難度をクリアしたことに対する特別なご褒美がもっとあっても良かったことです。難しいモードを選ぶこと自体が目的とはいえ、そこを乗り越えた人だけが手にできる装備や仲間などがあれば、育成を突き詰める動機にもなったと思います。

それでも、難易度を選べるようになったことで、初めてFFTに触れる人と、かつて散々遊び尽くした人の両方を受け入れやすくなったのは確かです。ストーリーを楽しむなら無理に難しくする必要はありませんし、育成や戦術まで味わい尽くしたいなら高難度を選ぶ。その選択をプレイヤー自身に委ねたことも、今回のリマスターで遊びやすくなった部分の一つだと感じました。

ここまで実際に遊んで感じた部分を振り返ると、今回のリマスターにはかなり明確な長所がある一方、「せっかく現代に復活したなら、もう少し踏み込んでほしかった」という惜しさも見えてきます。良かった点と気になった点を整理してみると、本作がどんな人に向いているのかも、かなり分かりやすくなります。

FFTリマスターの良かった点・惜しかった点をまとめる

最後まで遊んでみて感じたのは、『FFTリマスター』は原作の面白さを大きく作り変えるのではなく、今の環境でも遊びやすい形へ整えることを優先した作品だということです。

良かった点として真っ先に挙げたいのは、やはりストーリーの魅力がまったく色褪せていなかったことです。政治や宗教、身分の違いまで絡んだ物語は今遊んでも十分に引き込まれますし、ラムザとディリータを中心に描かれる「表に残る歴史と、その裏側にある真実」という構造も強烈でした。さらに今回はセリフが増え、フルボイスになったことで人物の感情まで読み取りやすくなっています。

ゲーム部分についても、原作の良さを残しながら遊びやすくなりました。倍速機能や行動順の表示、ランダムバトルから撤退できる仕組みは、実際に何度も戦闘を繰り返すFFTとの相性がかなり良く、昔よりテンポよく遊べます。

そして何より、ジョブとアビリティを組み合わせてキャラクターを育てていく面白さは健在です。欲しいアビリティのためにジョブポイントを稼ぎ、それを覚えたら別の組み合わせを試したくなる。気が付けばストーリーを進めることを忘れて育成しているくらい、この部分には今でも強い中毒性があります。

一方で、惜しい部分もはっきりしています。

戦闘中のカメラや地形の見づらさは完全には解消されておらず、建物などにキャラクターが隠れて状況を把握しづらい場面が残りました。バトル周りの利便性がかなり改善されているだけに、視認性についてももう一段踏み込んでほしかったところです。

また、PSP版で追加された要素が収録されていないことも、原作経験者としてはかなり惜しく感じました。今回初めてFFTに触れる人なら、それだけでボリューム不足を感じる可能性は低いと思います。ただ、過去のバージョンまで遊んできた人が「これ一本ですべて遊べる完全版」を期待すると、その部分では物足りなさが残ります。

整理すると、今回のリマスターは**「新しいFFTを作った作品」ではなく、「名作だったFFTを今でも遊びやすい形で残した作品」**と考えるのが一番しっくりきます。

だからこそ、昔FFTが好きだった人にはかなりおすすめできますし、シリーズ未経験でもシミュレーションRPGや育成が好きなら十分に遊ぶ価値があります。反対に、完全新作に近い大幅な追加要素や、過去バージョンの要素をすべてまとめた決定版を期待している場合には、少し期待値を調整しておいたほうがいいと思います。

とはいえ、そうした惜しさを含めても、プレイを終えたあとに残ったのは不満より満足感でした。リマスターとして満点かどうかと、FFTというゲームが今でも面白いかどうかは、分けて考えたほうがいいのかもしれません。前者には注文を付けたいところがいくつかありますが、後者については最後まで遊んだ今でも迷いなく高く評価できます。

まとめ|完璧なリマスターではない。それでもFFTはやっぱり名作だった

『FFTリマスター』を最後まで遊んで改めて感じたのは、この作品が長い間「名作」と呼ばれてきたのは、単なる思い出補正ではなかったということです。

政治や宗教、身分の違いまで踏み込んだストーリーは今でも十分に読み応えがありますし、ラムザとディリータという二人の生き方を通して描かれる物語には、大人になった今だからこそ考えさせられる部分もありました。そこへ今回のフルボイスや追加された会話が加わったことで、原作を知っていても新鮮な気持ちで物語を追えたのは大きかったです。

バトルについても、根本的な面白さはほとんど変わっていません。ジョブを育ててアビリティを覚え、自分なりの組み合わせを考えながら戦う。欲しいアビリティのために少しだけ育成するつもりが、気付けば何戦も繰り返している。この独特の中毒性は今回もしっかり残っていました。

しかも、倍速や行動順表示、ランダムバトルからの撤退といった改善によって、原作では少し面倒だった部分もかなり遊びやすくなっています。 昔のゲームをそのまま現行ハードへ持ってきただけではなく、FFTらしさを壊さない範囲で現代のプレイ環境に合わせている点は、今回のリマスターを評価したいところです。

もちろん、惜しいところがなかったわけではありません。

カメラや地形の見づらさにはまだ改善の余地がありますし、PSP版で追加された要素が収録されていない点については、やはり最後まで「入れてほしかったな」という気持ちが残りました。 約30年ぶりに現行ハードで遊びやすいFFTが登場したからこそ、過去の追加要素までまとめた完全版になっていれば、さらに嬉しかったというのが率直なところです。

ただ、それらを理由に今回のリマスターをおすすめできないかと言われれば、答えはまったく逆です。

原作経験者なら、懐かしさを感じながらもフルボイスや細かな調整によって新しいFFTを楽しめます。一方、シリーズを一度も遊んだことがない人にとっては、名作と呼ばれてきた作品へ今から触れるうえで、かなり入りやすい一本になっています。

特に、ストーリーを重視するRPGが好きな人、自分でキャラクターの育成方針を考えるのが好きな人、そしてシミュレーションRPGでじっくり戦術を組み立てることに面白さを感じる人なら、一度は遊んでみてほしい作品です。

約30年前に作られたゲームを現代で遊び直して、「当時はすごかった」で終わる作品もあります。しかしFFTの場合は少し違いました。

今遊んでも物語の続きを知りたくなり、戦闘が終われば次のアビリティを覚えたくなり、気が付けばもう一戦だけと育成を続けている。そうやって最後まで遊んだあとに残ったのは、「昔の名作を懐かしめて良かった」という感想ではなく、もっと単純なものでした。

やっぱりFFTは面白い。

完璧なリマスターではありません。それでも、これだけ時間が経ってから遊んでも夢中になれるなら、『ファイナルファンタジータクティクス』が名作であることに変わりはないと思います。

ゲームの物語やキャラクターを「別の角度」から楽しみたい方へ

FFTを最後まで遊んで改めて感じたのは、ゲームの印象を強く残すものは、必ずしもバトルや育成システムだけではないということでした。

ラムザとディリータのように、それぞれ異なる立場に置かれた人物が何を選び、その結果として関係がどう変わっていくのか。敵として登場する人物であっても、その背景を知れば単純な善悪だけでは割り切れなくなる。FFTには、そうしたキャラクター同士の関係や感情まで含めて物語を味わう面白さがあります。

私自身、ゲームに限らず作品を見るときには、設定や表面的な展開だけではなく、「なぜこの人物はこう動いたのか」「この関係がどのように変化していったのか」といった部分に惹かれることがあります。ストーリーを最後まで知ったあとでも、登場人物の立場から振り返ってみると、最初に見たときとは違った印象になる作品も少なくありません。

そういった物語やキャラクター同士の関係性を掘り下げて作品を楽しむことが好きな方に向けて、別ジャンルの作品を扱ったレビューサイトも運営しています。

一般向けゲームとは異なるジャンルのサイトになりますが、作品を選ぶ際にストーリーやキャラクター性も重視する方で、興味があれば覗いてみてください。

二次元作品のレビューサイト「アダルトナラティブ研究所」

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