ロマサガ3リメイクに関する前回の考察記事はこちら
『ロマンシング サガ3』のリメイクと聞いて、原作のグラフィックを現代向けに作り直し、遊びにくかった部分を改善した作品を想像していた人も多いかもしれません。
ただ、ここまでに判明している変更点を追っていくと、今回のリメイクはそれだけでは収まりそうにありません。主人公を選ぶタイミングから仲間の加入条件、戦闘や育成システム、さらには物語の見せ方まで、原作を知っている人ほど驚くような変更がいくつも入っています。
なかでも気になるのが、原作では十分に描き切れなかったストーリーやキャラクターの背景にまで手を入れていることです。
スーパーファミコン版の『ロマサガ3』は、自由に各地を冒険できるフリーシナリオが大きな魅力だった一方、「なぜこの人物が行動しているのか」「この設定にはどんな意味があるのか」といった部分が、ゲームを普通に進めているだけでは見えにくいところもありました。
今回は、もともと存在していた設定を改めて整理しながら、台詞や新たなイベントを追加することで、そうした部分も補完されます。つまり、ストーリーそのものを別物に作り替えるというより、原作ではプレイヤー側の想像に委ねられていた部分を掘り下げ、8人の主人公たちが生きる世界をより理解しやすくする方向に手が加えられているわけです。
しかも、変わるのは物語だけではありません。
原作ではゲーム開始直後に8人から主人公を選んでいましたが、今回はその仕組み自体が変更されます。仲間にできるキャラクターの制限も大幅に見直され、術や極意といった育成システムにも新しい仕組みが入りました。長年『ロマサガ3』を遊んできた人でも、同じ攻略手順や同じパーティーをなぞるだけでは終わらないゲームになりそうです。
一方で、何もかも現代向けに置き換えているわけでもありません。原作ならではの少し癖のある仕様やキャラクター性を残しながら、プレイヤー側の選択肢を増やすような調整も確認できます。
だからこそ今回の『ロマサガ3リメイク』で注目したいのは、「何が追加されたのか」だけではなく、原作の面白さを残すために何を変え、30年以上前のRPGを現在どのように遊ばせようとしているのかという部分です。
ここからは、主人公選択や仲間の仕様、戦闘・育成システムなど、現時点で判明している原作からの変更点を順番に見ていきます。
最初から主人公を選ばない!8人を知ってから「誰で旅するか」を決められる
そして、今回判明した変更点の中でも「そこから変えるのか」と驚いたのが、ゲーム開始直後の主人公選択です。
原作の『ロマサガ3』では、ユリアン、トーマス、ミカエル、ハリード、サラ、エレン、モニカ、カタリナという8人の中から、最初に主人公を一人選んで物語を始める仕組みでした。
もちろん、誰を主人公にするかで展開や遊び方が変わってくること自体が『ロマサガ3』の面白さでもあります。ただ、初めて遊ぶ人からすると、この段階ではそれぞれがどんな人物なのか、どんな立場にいるのかも十分には分かりません。
見た目や簡単なプロフィールを頼りに「とりあえず、このキャラにしてみよう」と選んだ経験がある人もいると思います。
ところがリメイク版では、ゲームを開始してすぐに主人公を決めるのではなく、まずロアーヌを巡る一連の出来事を8人それぞれの立場から体験し、そのうえで主人公を選ぶという流れに変わります。
これは単に主人公選択のタイミングを後ろへずらしたというだけではなく、かなり意味のある変更だと感じました。
たとえば、ユリアンがなぜモニカと行動することになるのか、ミカエルがどんな立場でロアーヌを背負っているのか、カタリナがその後の旅へ出るまでに何があったのか。最初にそれぞれの人物を知る時間が用意されれば、「このキャラクターで世界を見てみたい」という理由を持って主人公を選べるようになります。
しかも今回のリメイクでは、主人公を選ぶ流れだけではなく、原作で十分に説明されていなかった設定や、それぞれのキャラクターが行動する理由についても掘り下げが加えられます。
『ロマサガ3』はフリーシナリオの自由度が非常に高い反面、物語を細かく説明してくれるゲームではありませんでした。世界各地で何が起きているのかは分かっても、「そもそも宿命の子とは何なのか」といった重要な設定まで含めて、自分で情報を拾いながら理解していく部分がかなりあります。
そこに対して今回は、もともと存在していた設定を土台にしながら、新しいイベントを追加したり、既存の台詞へ情報を振り分けたりすることで補完していく形になっています。
個人的には、ここを必要以上に説明的なゲームへ変えてしまわないかという部分も少し気になります。
『ロマサガ3』には、すべてを説明されないからこそ自分で世界を歩き、断片的な情報から何が起きているのかを想像する面白さもありました。その感覚まで失われてしまえば、遊びやすくなった代わりに原作らしさが薄くなってしまいます。
ただ、現時点で明らかになっている内容を見る限り、何もかも台詞で説明するのではなく、追加イベントやちょっとした会話にも情報を分散させる形が取られるようです。その方向なら、原作の余白を残しながら「昔はよく分からなかった部分が、今回は自然につながる」という体験にも期待できます。
そして、8人を知ったうえで主人公を決められるようになれば、2周目以降の主人公選びにも違った意味が出てきます。
一度クリアしたから次は別のキャラクターを選ぶのではなく、オープニングを見た段階で「今回はこの人物のその後を追ってみたい」と思える。8人の主人公を用意した『ロマサガ3』というゲームの特徴を、むしろ原作以上に活かせる変更なのかもしれません。
さらに、その自由度を広げているのが主人公だけではありません。
原作では誰を主人公にしたかによって、仲間にできるキャラクターにもいくつか制限がありました。しかし今回、その部分にもかなり大きな変更が入っています。
主人公による仲間制限がほぼ消える!好きなメンバーで旅しやすくなった
主人公を選ぶまでの流れが大きく変わる一方で、その後の仲間集めにもかなり嬉しい変更が入っています。
原作の『ロマサガ3』には数多くの仲間が登場しますが、誰を主人公に選んだかによって加入できないキャラクターが存在しました。自由に世界を歩きながら仲間を集められるゲームでありながら、主人公との組み合わせによっては「このキャラを使いたかったのに仲間にできない」ということもあったわけです。
ところが今回のリメイクでは、全主人公ですべての仲間を加入させられるように変更されています。
なかでも大きいのが、カタリナを仲間として連れ歩けるようになったことです。
原作ではオープニングで一時的に同行する場面を除けば、カタリナを使いたい場合は基本的に本人を主人公として選ぶ必要がありました。それが今回は仲間として正式にパーティーへ加えられるため、たとえばユリアンを主人公にしながらカタリナを主力として育てる、といった遊び方も可能になります。
さらに、原作では成立しなかったミカエルとモニカの組み合わせにも対応するなど、主人公と仲間をかなり自由に組み合わせられるようになりました。
これは単純に仲間が増えたという以上に、パーティー編成そのものの考え方を変える調整だと思います。
『ロマサガ3』には、人間だけでなく妖精や雪だるま、ぞう、ロブスターのボストンなど、一度見たら忘れないような仲間が揃っています。今回は主人公による制限をあまり気にする必要がなくなるので、主人公は物語を追いかけたい人物で選び、パーティーは自分が使いたいキャラクターを中心に組むという遊び方がしやすくなります。
しかも面白いのは、原作にあった少し癖の強い部分まで、すべて綺麗に取り除いているわけではないことです。
その代表的な存在が詩人です。
原作を遊んだ人なら印象に残っているかもしれませんが、一度仲間にした詩人と別れようとしても「いやです」と拒否され、簡単にはパーティーから外れてくれませんでした。
今回も、最初に別れようとすると一度は拒否されます。
ただし、そこで再び離脱させようとすれば、今度はきちんと外せるようになっています。つまり、「簡単には帰ってくれない詩人」というキャラクターらしさは残しながら、最終的な選択権をプレイヤーへ戻したということです。
このあたりの調整は、原作を知っている人ほどニヤリとできる部分だと思います。
単純に便利にするだけなら、最初から何のやり取りもなく離脱できる仕様でも問題ありません。それでも、あえて一度は拒否させることで原作の印象的なやり取りを残し、そのうえで現在のゲームとして遊びやすくする。このバランスの取り方からも、昔の仕様を機械的に削っているわけではないことが伝わってきます。
そして、ハーマンについても似た考え方が採用されています。
ハーマンは物語上、特定の場面でパーティーにいることが重要になるキャラクターですが、リメイクでは彼も自由に外せるようになります。ただし、重要な戦いを迎える直前になると、外してしまわないようにかなり強く存在をアピールしてくるとのこと。それを理解したうえで、それでも外したい場合はプレイヤー自身で選択できます。
こうして見ると、今回の変更は「制限をなくして何でも自由にした」というより、原作のイベントやキャラクター性を壊さない範囲で、プレイヤーを縛っていた部分を減らしていると考えたほうが近そうです。
さらに、主人公によって体験が大きく変わる部分にも手が入ります。
特に気になるのがサラです。
原作でサラを主人公にすると、終盤の重要な戦いでサラ本人が通常戦闘に参加せず、特殊なコマンダーモードを使って仲間たちへ指示を出す展開がありました。
それまでサラを中心に育ててきたにもかかわらず、肝心なところで本人が戦えないというかなり特殊な主人公だったのですが、今回のリメイクでは、サラを主人公にしている場合はその戦いにも本人が参加できることが明らかになっています。
となると、原作を知っている人なら当然もう一つ気になることがあります。
サラ編にも深く関係していた、あのコマンダーモードはどうなるのかという点です。
ここについては単なる仕様変更ではなく、今回のリメイクでかなり大きな決断がされています。原作に存在したコマンダーモードそのものを廃止し、その代わり通常戦闘の作り込みへ力を集中させる方針が明らかになっています。
コマンダーモードは廃止、その代わり通常戦闘へ大きく力を入れる
サラ編の変更にもつながる部分ですが、今回のリメイクでは原作にあったコマンダーモードが廃止されます。
コマンダーモードは、主人公を戦闘へ直接参加させず、仲間たちへ指示を出しながら戦う特殊なシステムでした。通常戦闘とはかなり勝手が違い、陣形を利用した技や複数人で発動する攻撃など、これを使わなければ触れる機会の少ない要素も用意されています。
原作を遊び込んだ人にとっては、「リメイクならコマンダーモードがどう進化するのか」と期待していた部分でもあったと思います。
ところが今回は、システムを現代向けに作り直すのではなく、思い切ってなくす判断がされています。
その理由として挙げられているのが、通常戦闘とコマンダーモードという二つの戦闘システムを同時に作り込み、バランスまで調整するためには、それだけ多くの開発リソースが必要になるという点です。そこで二つを中途半端に残すよりも、通常戦闘へ力を集中し、リメイク全体の完成度を高める方向が選ばれています。
原作にあったものがなくなる以上、ここは好みが分かれそうです。
特にサラを主人公にしたときは、コマンダーモードを使うこと自体が終盤の大きな特徴になっていました。先ほど触れたように今回はサラ本人が戦闘へ参加できるようになるため、サラ編の遊び方そのものが原作とはかなり違ったものになります。
ただ、コマンダーモードをなくしたからといって、そこで使われていた要素まで丸ごと消えてしまうわけではありません。
たとえば原作にあった合成術の一部は、異なる系統の術を組み合わせることで使える術として再構成されます。また、陣形や複数人での連携を前提としていた技についても、一人で使用できる攻撃として取り入れられるものがあるとのことです。
ここは単なる削除とは少し意味が違います。
コマンダーモードという枠組みそのものはなくしても、そこでしか見られなかった技やアイデアまで捨てるのではなく、通常戦闘の中へ組み込み直す。言い換えれば、二つに分かれていた戦闘の面白さを、一つの戦闘システムへ集約しようとしているわけです。
そう考えると、重要なのはコマンダーモードがなくなったこと以上に、その分だけ通常戦闘がどこまで変わっているのかという部分だと思います。
『ロマサガ3』といえば、戦闘中に突然新しい技を覚える「ひらめき」や、使い続けた技を自分のものにする「極意」など、キャラクターを戦わせること自体が成長につながるゲームでした。一方で、原作には確率に左右される部分も多く、仕組みを知らなければ狙った技をなかなか覚えられないこともあります。
今回のリメイクでは、そうした育成部分にもかなり手が入ります。
特に大きいのが「極意」の扱いです。原作では技を使ったあとに確率で極意を取得する仕組みでしたが、今回は技を使った回数が蓄積され、一定の条件を満たすことで極意を習得する方式へ変更されています。
これなら、せっかく覚えた技を何度使っても極意が取れず、延々と戦い続けるような状況はかなり減りそうです。それでも「覚えた技を使い込んで自分のものにする」という原作の感覚は残るので、単純にボタン一つで共有できる仕様へ変えたわけでもありません。
さらに「ひらめき」にも重要な変更があります。
原作ではキャラクターごとに得意な技があり、条件によっては特定の技をどうしてもひらめけないケースが存在しました。リメイクではキャラクターによってひらめきやすさに差は残るものの、完全に「ひらめかない」という状態はなくなります。
好きなキャラクターを使い続けたい人にとっては、かなり相性のいい変更です。
そして、この通常戦闘と育成の見直しでもう一つ見逃せないのが「術」です。
原作ではどうしても技を中心に戦っていた人も多かったと思いますが、今回のリメイクでは術そのものが強化され、覚え方まで大きく変わります。「術を買って覚える」という原作の仕組みから、戦闘を通して習得していく方向へ変わるため、術師を育てる感覚そのものが別物になりそうです。
術が大幅強化!「買って覚える」から戦闘後に習得するシステムへ
ひらめきや極意だけでも育成の感覚はかなり変わりそうですが、今回もう一つ注目したいのが術の扱いそのものが大きく見直されていることです。
原作の『ロマサガ3』では、基本的に各地の術士から術を購入して覚えていく仕組みでした。もちろん術を中心に戦うこともできますが、剣や槍などは戦闘中に突然新しい技をひらめく楽しさがある一方、術はお金を払って習得するため、育てているときの感覚にはかなり違いがあります。
リメイクではこの仕組みが変わり、術も戦闘を重ねることで習得していく方式になります。戦いが終わったあとに新しい術を覚えるため、武器を使って技を増やしていくのと同じように、術士にも「戦わせながら成長させる」という流れが生まれるわけです。
個人的には、これは術の威力が上がること以上に気になる変更です。
『ロマサガ』シリーズで戦闘を続けたくなる理由の一つに、「次は何を覚えるのか分からない」という成長の面白さがあります。強敵と戦っている最中に電球が光り、それまで使えなかった技を突然ひらめく瞬間は、このシリーズを象徴する要素の一つです。
今回、術にも戦闘を通した習得が取り入れられることで、術士を育てる過程にもそれに近い楽しさが生まれます。
しかも、単に覚え方だけを変更するのではなく、術そのものも原作より強く調整されるとのことです。
原作では最終的に強力な武器技を中心としたパーティーへ落ち着いた人も少なくなかったと思いますが、今回は術を主力として使うキャラクターにも、これまで以上に活躍の場が出てきそうです。技と術のどちらを伸ばすかによって、同じキャラクターでも育て方に違いが出てくるなら、パーティー編成を考える面白さにもつながります。
さらに、先ほど触れた極意についても、原作のような確率任せではなくなりました。
新しい技を覚えたあと、その技を一定回数使うことで極意を取得し、ほかのキャラクターでも利用できるようになります。術についても共有できる仕組みが用意されているため、一人のキャラクターだけを集中して育てるのではなく、覚えたものを別の仲間へ引き継ぎながらパーティー全体を強くしていく遊び方がしやすくなっています。
そして、技の「ひらめき」も遊びやすい方向へ調整されています。
原作ではキャラクターごとにひらめきの適性があり、どれだけ戦わせても特定の技をひらめけないケースがありました。ところがリメイクでは、キャラクターによって得意不得意は残しつつ、完全にひらめけない技はなくなるとされています。
ここで重要なのは、全員を同じ性能にしてしまったわけではないことです。
キャラクターによってひらめきやすさには差があるため、「このキャラは剣を使わせたい」「こちらは槍を中心に育てたい」といった個性は残ります。そのうえで、どうしても使いたいキャラクターがいるなら、時間をかけて育てることで狙った技へ到達できる可能性が残されました。
原作の仕組みを知っていれば効率のいいキャラクターを選び、知らなければなかなか目当ての技を覚えられない。そうした知識による差を少し縮めながら、育成を考える余地まではなくさない調整に見えます。
こうした変更をまとめて考えると、今回の『ロマサガ3』は**「誰を仲間にするか」だけでなく、「仲間にしたキャラクターをどう育てるか」の自由度まで広げようとしている**ことが分かります。
そして、その方向性をさらに強く感じさせるのがパーティーの入れ替えです。
今回は回復できるポイントで仲間を交代できるようになっており、一度パーティーを固めたら最後まで同じ5人を使い続けるというより、冒険の途中でメンバーを入れ替えながら複数のキャラクターを育てていく遊び方がしやすい仕組みになっています。
仲間を入れ替えながら育てるゲームへ?パーティー編成も遊びやすくなる
ここまでの変更を見ていると、今回のリメイクでは「最初に決めた5人をずっと使い続ける」という遊び方にも変化が出てきそうです。
原作では一度パーティーを組むと、仲間を入れ替えるために各キャラクターがいる場所まで戻る必要がありました。しかも詩人のように簡単には外せないキャラクターもいたため、気になる仲間を見つけても「今のメンバーを崩してまで入れるか」と考えて、そのまま見送った経験がある人もいると思います。
リメイクでは、そうした仲間の管理がかなり楽になります。
冒険中に利用する回復ポイントでは、HPなどを回復できるだけでなく、その場でパーティーメンバーを入れ替えられるようになっています。 一度利用すると消えてしまうような仕組みでもないため、ここを拠点として編成を見直しながら先へ進める形になります。
これだけなら、現在のRPGに合わせた便利機能の追加にも見えます。
ただ、仲間の加入制限が大幅に緩和され、ひらめきや術、極意の仕組みまで変わることを考えると、もう少し大きな狙いがありそうです。
つまり今回は、気に入った5人だけを早い段階で固定するのではなく、いろいろな仲間を実際に戦わせながら育ててほしいという方向がかなり強くなっています。
原作の『ロマサガ3』でも仲間の数そのものは多かったものの、実際に最後まで使うキャラクターはどうしても限られがちでした。途中で面白そうな仲間を見つけても、すでに育ったメンバーを外して一から育て直すとなれば、なかなか手を出しにくいところがあります。
今回は回復ポイントへ行けば編成を変更できるため、「次のエリアではこのキャラを使ってみる」「新しく仲間になったキャラを少し育ててみる」といった試し方もしやすくなります。
ここで効いてくるのが、先ほど触れた育成システムの変更です。
誰でも技をひらめく可能性があり、使い込んで取得した極意をほかの仲間でも利用できる。術についても共有できる仕組みが用意されているため、一人を育てた時間が、そのキャラクターだけの成長で終わりにくくなっています。
そうなると、これまであまり使わなかったキャラクターをパーティーへ入れるハードルも自然と下がります。
たとえば原作では毎回似たようなメンバーでクリアしていた人でも、今回は途中でぞうやボストンを入れてみたり、術を中心に使うキャラクターを育ててみたりと、今までとは違った編成へ手を伸ばしやすくなります。
『ロマサガ3』には個性的な仲間が大勢いるだけに、これは単なる利便性の向上で終わらない変更だと思います。
仲間にできる人数が多くても、実際に使う理由がなければ結局いつものメンバーへ落ち着いてしまいます。今回は加入制限を緩くするだけではなく、入れ替えや育成までまとめて見直すことで、「せっかく仲間になったのだから、一度使ってみよう」と思える環境そのものを作ろうとしているように感じます。
さらに、冒険を進めてイベントを達成するとランクが上昇し、それに応じて新しい機能が解放されていく仕組みも用意されています。
最初からすべての機能を渡すのではなく、世界を歩いてイベントをこなすことが、そのまま冒険を快適にする要素へつながっていく。フリーシナリオで各地を巡る『ロマサガ3』とは、かなり噛み合った仕組みになりそうです。
そして、遊びやすくなっているのは通常の冒険や戦闘だけではありません。
『ロマサガ3』には通常戦闘とはまったく違う遊びとして、軍勢同士をぶつける「マスコンバット」と、会社を買収しながら勢力を広げていく「トレード」がありました。どちらも原作ではかなり癖の強いミニゲームでしたが、今回のリメイクでは削除されず、それぞれ新しい要素を加えた形で残されています。
マスコン・トレードも健在!ミニゲームまで分かりやすく進化
通常戦闘とはまったく違うゲームが突然始まるのも、『ロマサガ3』を語るうえでは外せない特徴です。
その代表格が、ミカエル編などで体験できる「マスコンバット」と、トーマス編から始められる「トレード」でした。
マスコンバットは、自分で一人ひとりの兵士を操作するのではなく、軍全体へ指示を出しながら敵軍と戦う集団戦です。前進や後退、全軍突撃といった命令を使い分け、相手の陣形を崩しながら戦線を押し上げていくため、普段の戦闘とは考えることがまるで違います。
原作を遊んだ人なら、敵軍をあと少しまで追い込んだところから一気に押し返されたり、よく分からないまま自軍が崩れて敗北したりした経験もあるかもしれません。
面白いシステムではあるものの、画面上から読み取れる情報が少なく、内部で何が起きているのか分かりにくい部分もありました。
今回のリメイクでは、そうした見えにくかった情報が画面上へ出るようになります。
たとえば、原作では前列の兵士たちの状態から感覚的に判断する部分が大きかった士気について、後列も含めて現在どの程度の士気を保っているのか確認できるようになります。
マスコンバットそのものを簡単なゲームへ作り替えるというより、「何が原因で押されているのか」「今どちらが有利なのか」を判断するための情報を増やす方向です。
これは今回のリメイク全体に共通している考え方にも見えます。
原作のシステムを削って単純化するのではなく、プレイヤーが判断するために必要な情報を見せる。そのうえで、どう動くかは自分で考えるという形なら、マスコンバット特有の駆け引きも残せます。
そして、もう一つの名物がトレードです。
こちらは通常のRPGからさらに離れていて、各地の会社や物件を買収しながら自分のグループを大きくしていくという、かなり変わったミニゲームでした。
資金を集めて強引に買えばいいわけではなく、所有している物件から資金を引き出したり、グループ技を利用したりしながら相手との買収合戦を制していく。RPGを遊んでいたはずなのに、気付けば物件の買収に夢中になっていたという人もいると思います。
こちらもリメイクではそのまま残されるだけではなく、新たに「オーバードライブゲージ」が追加されます。
買収を進めることでゲージが溜まり、最大になると一定時間、資金を投入する際の効果が大きくなる仕組みです。
つまり、ただ手持ちの資金を投入し続けるのではなく、オーバードライブをどのタイミングで使うかという判断が加わります。競り合っている状況から一気に勝負を決めるために使うのか、それとも余裕があるうちに流れを作るのか。原作のトレードを知っている人でも、資金の使い方は少し変わってきそうです。
ここまで通常戦闘を大きく作り直しているなら、マスコンバットやトレードは簡略化されても不思議ではありませんでした。
それでも二つを残し、分かりにくかった部分を見直したうえで新しい要素まで加えているのは嬉しいところです。通常戦闘だけではなく、寄り道した先で突然まったく別の遊びが始まる『ロマサガ3』らしさも、リメイクできちんと残そうとしていることが伝わってきます。
さらに、情報を分かりやすく見せるという変更は、こうしたミニゲームだけに留まりません。
そもそも原作の『ロマサガ3』には、「自由にどこへ行ってもいい」と言われても、次にどこへ行けばイベントが進むのか分からなくなるという別の難しさがありました。
その部分を補うために今回追加されるのが、**キャラクター同士の関係やイベントの進行状況を確認できる新システム「冒険記」**です。
新システム「冒険記」でロマサガ3最大の難点だった“次に何をする?”も分かりやすく
『ロマサガ3』の自由度は大きな魅力ですが、初めて遊ぶ人にとっては、その自由さがそのまま難しさにつながる部分もありました。
序盤を抜ければ、各地を巡って自分の好きなイベントから進められる一方、「さっき聞いた話はどこにつながっているのか」「途中まで進めたイベントは次に何をすればいいのか」が分からなくなることもあります。
町の人との何気ない会話をきっかけに新しい土地がマップへ追加され、そこから別のイベントへつながっていくのも『ロマサガ3』らしさではあります。ただ、しばらくゲームから離れて再開したときに、「自分はいったい何をしていたんだ」となるのも珍しくありません。
そこで今回追加されるのが、**キャラクター同士の関係やイベントの進行状況を視覚的に確認できる「冒険記」**です。
単純なクエスト一覧を置いて、「次はここへ行ってください」と目的地を順番に指定する仕組みとは少し違います。
冒険記では、これまでに出会った人物がどのようにつながっているのか、現在どんな出来事が進んでいるのかを、関係性も含めて確認できるようになります。あちこちの町を行き来するうちに話が分からなくなったとしても、一度ここを確認すれば、これまでの流れを思い出しやすくなるわけです。
この仕組みは、『ロマサガ3』との相性がかなり良さそうです。
というのも、本作で重要なのは「次にやることが分からない状態」をすべてなくすことではありません。
一本道のRPGであれば、目的地を明確に表示して、そこへ向かわせるだけでも成立します。しかし『ロマサガ3』でそれをやりすぎると、今度は自分で世界を歩き、偶然見つけた出来事へ首を突っ込んでいくフリーシナリオの面白さが薄れてしまいます。
次の目的地を矢印で示され、表示された順番にクエストを消化していく形になれば、確かに迷わなくはなります。ただ、それでは「次はどこへ行ってみようか」と考えながら世界を巡る感覚まで失いかねません。
その点、冒険記はプレイヤーの代わりに行き先を決めるのではなく、これまで自分が何をしてきたのかを整理するための仕組みとして使えそうです。
「あの町で起きていた事件はまだ終わっていない」「この人物とこの人物にはつながりがあった」と分かれば、そこから先をどうするかは自分で決められます。
原作では頭の中や攻略情報を頼りに整理していた部分をゲーム側で補助しつつ、最後の判断までは奪わない。この形なら、フリーシナリオの自由さを残したまま、途中で完全に迷子になるケースはかなり減りそうです。
さらに、今回のリメイクでは戦闘でも同じように「判断材料を見せる」という考え方が取り入れられています。
戦闘中のタイムラインには、敵が危険な行動を取ろうとしている場合に警告が表示されるようになりました。何をしてくるのかまですべて教えてくれるわけではありませんが、「このまま何も考えずに攻撃していると危ない」ということは事前に察知できます。
先ほど触れたマスコンバットの士気表示も含め、今回のリメイクは原作の難しさを単純に取り除くというより、昔は見えなかった情報を見えるようにしたうえで、どう動くかはプレイヤーに考えさせるという調整が多く見られます。
これは『ロマサガ3』を現代向けに作り直すうえで、かなり重要な部分だと思います。
自由度の高さや独特のシステムまで分かりやすさと引き換えに削ってしまえば、遊びやすくはなっても別のRPGになってしまいます。今回の冒険記を見る限り、その自由さはできるだけ残しつつ、原作でつまずきやすかった部分へ手を入れる方向が選ばれているようです。
そして、ここまで多くの要素を作り直しているとなると、もう一つ気になるのが過去のリマスター版で追加された要素や、今回のリメイクならではの新要素がどう扱われるのかという部分です。
実際、2019年のリマスター版で追加された「暗闇の迷宮」については、そのまま引き継がれるわけではありません。一方で、そこで登場した敵やアイテムまで消えてしまうわけでもなく、別の形で今回のリメイクへ取り込まれます。
リマスター版の追加要素は全部続投ではない、新プレイアブルキャラも存在?
2019年に発売されたリマスター版を遊んだ人にとって気になるのが、そこで追加された要素が今回のリメイクにも引き継がれるのかという点です。
結論からいうと、すべてをそのまま収録する形にはなりません。
なかでも大きいのが、リマスター版で追加された「暗闇の迷宮」です。ゲーム本編を進めることで挑戦できる追加ダンジョンでしたが、今回のリメイクに暗闇の迷宮そのものは登場しないことが明らかになっています。
せっかくリマスター版で追加された要素だけに、なくなってしまうと聞けば少し残念に感じるかもしれません。
ただし、暗闇の迷宮に含まれていたものを丸ごと削除するわけではなく、そこで登場した敵やアイテムについては別の場所へ配置されるとのことです。
つまり、リマスター版の追加コンテンツをそのまま移植するのではなく、必要な要素を拾い上げて今回のゲーム全体へ組み込み直していることになります。
ここまで見てきたコマンダーモードの扱いにも近い考え方です。
以前あったものを何でも残すのではなく、今回のリメイクに合わせて必要なら形を変える。暗闇の迷宮についても、ダンジョン自体を残すことより、そこで追加された敵やアイテムを本編の中で活かす方向が選ばれたようです。
そして、原作やリマスター版を遊び込んだ人なら、もう一つ期待したくなるのが新しく仲間になるキャラクターがいるのかという部分だと思います。
『ロマサガ3』には、物語に深く関わっているにもかかわらず仲間にはならない人物が何人もいました。それだけに、フルリメイクするなら「今度こそ仲間になるキャラクターがいるのでは」と考えたくなるところです。
この点については、新たにプレイアブルになるキャラクターがいるかという話題そのものは出ています。
ただ、現時点では具体的な人物について明かされていません。新しく誰かが仲間になると断定できる情報ではなく、詳細はまだ秘密にされている段階と捉えておくのがよさそうです。
候補として想像したくなる人物はいくらでもいますが、ここは正式に明らかになるまで待ちたいところです。
一方で、原作を知っている人が思わず反応してしまうような仕掛けについては、すでに気になる話も出ています。
その一つが、キドラントの町長です。
原作では洞窟へ向かった主人公たちを閉じ込めておきながら、その後に話しかけると「私が町長です」と何事もなかったように振る舞う人物として強烈な印象を残しました。
リマスター版でも、この町長に関する変更はありましたが、今回のリメイクでも町長に何らかの新しい仕掛けが用意されていることが示されています。ただし、具体的に何が起きるのかまでは明かされていません。
こういう部分まで手を入れているのを見ると、単にメインストーリーと戦闘だけを作り直した作品ではないことが分かります。
原作を遊んだ人だからこそ覚えている妙なイベントや、「結局あれは何だったんだ」と記憶に残っている部分まで拾い直しているなら、昔と同じ場所へ行くだけでも新しい発見がありそうです。
そして、ここまで変更点を追ってきて感じるのは、今回の『ロマサガ3リメイク』が原作を遊びやすくしただけの作品ではなく、原作を知っている人にも改めて遊ぶ理由を作ろうとしていることです。
主人公選択から仲間の編成、戦闘や育成、イベントの見せ方まで変わっている以上、昔と同じ攻略手順をなぞるだけの旅にはなりそうにありません。
原作ファンほど「もう一度ロマサガ3を遊ぶ理由」があるリメイクになりそう
ここまで判明している変更点を追ってみると、今回の『ロマサガ3リメイク』は、昔遊んだ人ほど新鮮に感じられる作品になりそうです。
グラフィックを作り直し、操作性を現在のゲームに合わせるだけなら、原作の内容を知っている人にとっては「懐かしい作品を綺麗な映像でもう一度遊ぶ」という意味合いが強くなります。
ところが今回は、ゲームを始めるところから違います。
8人の主人公を知ってから誰で旅をするのか決められるようになり、主人公による仲間の制限も大幅に緩和されました。以前なら成立しなかったパーティーを組めるだけでも、誰を育てるかという選択はかなり変わってきます。
戦闘についても同じです。
コマンダーモードがなくなるという大きな変更はあるものの、そこで使われていた要素の一部は通常戦闘へ取り込まれます。さらに術の強化、極意の習得方法、ひらめきの調整まで加わるため、原作で強かった戦い方をそのまま持ち込めばいいというゲームにはならなさそうです。
個人的に面白いと思うのは、こうした変更の多くが「原作を簡単にする」という一方向に向いていないところです。
たとえば、技をひらめけないキャラクターがいなくなる一方で、キャラクターごとのひらめきやすさには差が残ります。詩人も自由に外せるようになったからといって、何事もなくパーティーから去るのではなく、最初は原作と同じように拒否してきます。
遊びにくかった制限は緩くする。ただ、その制限から生まれていた『ロマサガ3』らしい癖まで一緒に消すわけではない。
この線引きは、リメイクとしてかなり重要だと思います。
原作には、今の感覚で遊ぶと不親切に感じるところが少なくありません。それでも、何でも説明してくれないからこそ自分で世界を歩き、何が起こるか分からない場所へ入り込んでいく面白さがありました。
今回追加される「冒険記」も、そこを完全に別物へ変えるのではなく、キャラクターの関係やイベントの進行を確認しやすくする仕組みとして用意されています。
マスコンバットで見えなかった情報を表示したり、戦闘で危険な行動の予兆を確認できるようにしたりする変更も含めて、プレイヤーが判断するための情報は増やすものの、何をするかまで全部決めてしまわないという考え方が見えてきます。
それなら、初めて『ロマサガ3』へ触れる人が遊びやすくなるだけでなく、原作を知っている人にも意味があります。
昔はよく分からないまま終わらせていたイベントの背景が見えてきたり、ずっと使えなかった仲間を加えて旅ができたり、術を中心にしたパーティーを本格的に試してみたりと、原作では選ばなかった遊び方へ自然に手を伸ばせるからです。
なにより今回、物語やキャラクターについても掘り下げが行われます。
原作では十分に説明し切れなかった設定を補い、キャラクターがなぜ行動しているのかも分かりやすくする方向でイベントや台詞が追加されます。
個人的には、ここが一番楽しみな部分かもしれません。
『ロマサガ3』は自由に冒険できるゲームとして何度も遊べる一方、その世界には断片的にしか語られなかった設定も数多くありました。リメイクを通してそこへ改めて触れられるなら、「知っている物語をもう一度見る」というより、昔遊んだ世界を今度はもう少し深いところまで見に行く感覚に近くなりそうです。
もちろん、コマンダーモードの廃止をはじめ、原作から変わることに対して好みが分かれる部分もあります。
それでも、主人公、仲間、育成、戦闘、イベントと、これだけ広い範囲へ手を入れている以上、単なる思い出の再現を目指したリメイクではありません。
原作を知らない人にとっては、遊びやすくなった状態から『ロマサガ3』の自由な冒険へ入れる作品に。そして原作を何度も遊んだ人にとっては、「知っているから遊ばなくてもいい」ではなく、「知っているからこそ、何が変わったのか自分で確かめたい」と思えるリメイクになりそうです。
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