正直なところ、Switch2版『エルデンリング』を遊び始める前は、「本当に最後までまともに動くのか?」という不安がかなりありました。
というのも、『エルデンリング』は広大なオープンワールドを常に描画しながら、フィールドを歩き回る敵やリアルタイムで変化する天候、派手なエフェクト、さらにオンライン要素まで同時に処理しているゲームです。PS5でも相応のマシンパワーを使って動いているタイトルだけに、それを携帯機としても使えるSwitch2へ持ってくるとなれば、どこかで大きな妥協が必要になると思っていました。
ところが、実際にクリアまで遊んでみると、その印象はかなり変わります。
もちろん、PS5版とまったく同じというわけではありません。細かなグラフィックには違いがありますし、フレームレートもPS5版のパフォーマンスモードほど滑らかではなく、遊んでいるうちに「ここはSwitch2版ならではの弱点だな」と感じる部分も出てきます。それでも、広大なフィールドを探索して強敵と戦い、気になる場所を見つけて寄り道しているうちに何時間も経ってしまう、あの『エルデンリング』らしい感覚はほとんど失われていませんでした。
むしろ驚いたのは、しばらく遊んでいると「Switch2への移植版を遊んでいる」ということ自体をあまり意識しなくなってくる点です。数字だけを見れば30fpsですし、PS5版と横に並べれば違いも分かります。それでも、探索中に大きな処理落ちが頻発してゲームへの没入を邪魔されるような場面は少なく、敵の動きを見ながら回避して攻撃を差し込むという、このゲームで重要になる戦闘もしっかり成立しています。
そして、Switch2版を語るうえで外せないのが携帯モードでした。
『エルデンリング』はボスとの戦闘だけでなく、とにかく探索している時間が長いゲームです。遠くに気になる建物を見つけて向かっていたはずなのに、途中で洞窟を発見し、気付けばまったく別の場所を調べている。そんな寄り道が延々と続くゲームだからこそ、テレビの前に座らなくても遊べることが思った以上に効いてきます。実際、携帯モードでも広大なフィールドの奥行きはきちんと感じられ、目立った処理落ちも少なく、探索との相性はかなり良好でした。
ボスとじっくり戦いたいときはテレビモードで遊び、フィールド探索やアイテム集めを進めたいときはベッドやソファで携帯モードに切り替える。この遊び分けができるようになったことで、PS5版とは少し違った『エルデンリング』の付き合い方が見えてきた感覚もあります。
発売前に「Switch2版はかなり劣化するのでは」と心配していた人ほど、実際に動いているところを見ると印象が変わるかもしれません。ただし、だからといってPS5版よりSwitch2版のほうが優れている、と単純に結論付けられるものでもありません。画質やフレームレート、ロード時間、操作感まで細かく見ていけば、それぞれに明確な違いがあります。
では、実際のところSwitch2版はどこまで『エルデンリング』を再現できているのか。ここからはクリアまで遊んで感じた部分を掘り下げながら、PS5版との違いも含めて見ていきます。
そもそも『エルデンリング』はどんなゲームなのか
Switch2版から初めて触れる人もいると思うので、まずは『エルデンリング』がどんなゲームなのかを簡単に整理しておきます。
ジャンルとしては、広大な世界を自由に探索するオープンワールド型のアクションRPGです。ただ、フィールドを歩き回って目的地へ向かい、用意されたクエストを順番に消化していく一般的なオープンワールドゲームとは少し感触が違います。『エルデンリング』では最終的な目的こそ用意されているものの、攻略する順番についてはかなり自由で、プレイヤー自身が「次はどこへ行くか」を考えながら冒険を進めていくことになります。
そして、シリーズ未経験者が最初に戸惑いやすいのが、その難易度です。
雑魚敵だからと油断しているとあっさり倒されますし、ボスともなれば相手の攻撃を何度も見ながら、回避するタイミングや反撃できる隙を覚えていかなければなりません。さらに、敵に倒されると、その時点で所持していた「ルーン」を死亡した場所へ落としてしまいます。このルーンはレベルアップにもアイテム購入にも使う重要なもので、一度倒れただけなら回収できるものの、その途中でもう一度死亡すると失われてしまいます。
こう書くと、かなり人を選ぶゲームに感じるかもしれません。
ただ、『エルデンリング』が面白いのは、強い敵を真正面から倒すことだけが正解になっていないところです。「こいつは今の装備では厳しいな」と感じたら、その場から離れてしまって構いません。別の地域を探索してレベルを上げてもいいですし、より強力な武器を探したり、霊体や魔法を使った戦い方へ切り替えたりすることもできます。目の前に立ちはだかった壁をどう乗り越えるのか、その方法まで自分で考えられる自由さが、このゲームにはあります。
何より、一度探索を始めるとなかなか止め時が見つかりません。
遠くに見える建物を目指して馬を走らせていたはずなのに、途中で怪しい脇道を見つけ、その先に洞窟があれば少しだけ覗いてみたくなる。洞窟を抜けて再び探索を始めれば、今度は地下へ続く道が見つかり、その先には想像していた以上の空間が広がっている。そうやって「ちょっと気になる」を追いかけているうちに、当初の目的を忘れて別の場所を何時間も探索してしまうのが『エルデンリング』です。実際、地上だけでもかなり広いのに、その先に別地域や巨大な地下世界まで用意されています。
だからこそ、今回のSwitch2版では単純に「ゲームが起動して、最後まで遊べる」というだけでは十分とは言えません。遠くに見える場所へ自分の足で向かい、途中で思わぬ発見をして、そのまま寄り道してしまう。この探索の連鎖こそ『エルデンリング』の大きな魅力なので、広大な世界をどこまで違和感なく再現できているのかが重要になります。
その意味でも、まず気になったのがPS5版と比べたときのグラフィックでした。
Switch2版とPS5版のグラフィックを比べるとどう違う?
『エルデンリング』の探索そのものがSwitch2でも成立しているとして、次に気になるのは「その広大な世界が、どのくらいの画質で再現されているのか」という部分です。とくにPS5版を知っている人なら、Switch2へ移植する以上、草木が減ったり遠景が簡略化されたりと、見た瞬間に分かるほどの差が出るのではないかと思うかもしれません。
実際にPS5版の画質優先モードと見比べてみると、もちろんPS5版のほうが綺麗です。キャラクターが身につけている装備や建物、草木といった細かな部分はPS5版のほうが緻密に描かれていて、陰影にも違いがあります。Switch2版は全体的に少し柔らかい映像になっているため、細部までじっくり観察すると、さすがに同等とは言えません。
ただ、実際にプレイしていて感じる差は、比較画像を止めて眺めたときほど大きくありませんでした。
ここで重要なのが、『エルデンリング』はキャラクターや建物の細かなテクスチャだけを眺めるゲームではないということです。フィールドへ出れば、霧の向こうに巨大な建造物が見えたり、はるか遠くに敵の姿を確認できたりと、「あそこまで行けそうだ」と思わせる景観そのものが探索の動機になっています。Switch2版でも遠くの景色はかなりしっかり描かれていて、世界を見渡したときのスケール感については大きく損なわれていません。
これは思っていた以上に大きなポイントでした。
もしSwitch2への移植に合わせて遠景が大幅に削られていたら、同じマップを歩いていたとしても、『エルデンリング』特有の「見えている場所へ行ってみたくなる感覚」はかなり薄れていたはずです。ところが実際には、遠くに気になるものを見つけて向かい、その途中で洞窟や別の道を発見して寄り道してしまうという、探索の流れはきちんと残されています。
もちろん、「PS5版とSwitch2版のどちらが綺麗か」と聞かれればPS5版です。大きなテレビやモニターに映して、景色や装備の細部まで高画質で楽しみたいのであれば、グラフィック面だけを理由にSwitch2版を選ぶ必要はありません。
一方で、Switch2版を「PS5版より画質が落ちているから劣化版」と片付けてしまうのも少し違うと感じました。確かに削られている部分はあるものの、それが『エルデンリング』の体験そのものを壊すほどではなく、むしろ限られた性能の中で何を残すべきなのか、かなり考えて調整されている印象があります。
少なくとも、広いフィールドへ出た瞬間に「ずいぶん寂しい景色になったな」と感じるような移植ではありません。PS5版との差を探せば見つかるけれど、普通に冒険していると、それ以上に「Switch2でここまで描けるのか」という驚きのほうが残りました。
30fpsは気になる?実際に遊んで感じたフレームレート
グラフィックについては想像していた以上に健闘していましたが、Switch2版を検討するうえで、それ以上に気になる人が多いのはフレームレートだと思います。
PS5版ではパフォーマンスモードで60fpsを狙えるのに対して、Switch2版は基本的に30fpsでの動作となっています。数字だけを並べれば倍の差がありますから、普段から60fpsでアクションゲームを遊んでいる人なら、Switch2版へ切り替えた直後は少しカクついて見えるかもしれません。
ただ、実際に遊んでみると、「30fpsであること」よりも「30fpsをどれだけ安定して維持できているか」のほうが重要だと感じました。
『エルデンリング』は、ただ広いフィールドを表示しているだけではありません。大量の草木が生えたフィールドを描きながら天候が変化し、複数の敵がそれぞれ動き、戦闘になればエフェクトや破壊可能なオブジェクトの処理も加わります。さらにオンラインでは、ほかのプレイヤーが残したメッセージなども表示されるため、見た目以上にさまざまな処理が同時進行しています。
そう考えると、Switch2版で気になるのは、敵が増えた瞬間やエフェクトが重なった場面でフレームレートが大きく崩れないかというところでした。ところがクリアまで遊んだ範囲では、明らかな処理落ちを頻繁に感じるような場面はかなり少なく、少なくとも「重くなるたびに戦いづらい」と感じるほどではありません。
これはボス戦でもかなり重要です。
『エルデンリング』では、敵が武器を振り下ろす瞬間を見て回避したり、連続攻撃が終わるタイミングを見極めて反撃したりと、相手の動きを読むことが攻略に直結します。そのため、フレームレートが頻繁に乱れると、単に映像が見づらいだけでなくゲームそのものの難しさまで変わってしまいます。Switch2版では30fpsという上限こそあるものの、敵の動きを見ながら戦うという基本的な部分まで崩れている印象はありませんでした。
とはいえ、負荷を抑えるための調整が見えないわけではありません。
分かりやすいのが遠くにいる敵で、ある程度距離が離れるとアニメーションが簡略化され、動きがカクカクして見えることがあります。近づいて戦う敵ではなく、遠景の一部として存在しているキャラクターの処理を軽くすることで、ゲーム全体の動作を安定させているように感じました。
ここをどこまで気にするかは人によるところですが、個人的にはかなり割り切りやすい部分です。遠くの敵をじっと観察する機会はそれほど多くありませんし、それによって戦闘が不利になるわけでもありません。近くで戦っている敵まで頻繁にカクつくくらいなら困りますが、そうならないために目立ちにくい部分で負荷を減らしているのであれば、移植としては納得できる調整だと思います。
むしろ気になったのは、ワールドマップを開いたときでした。処理が重なっているタイミングでは地形の詳細がワンテンポ遅れて表示されることがあり、『エルデンリング』はミニマップが常時表示されないゲームだけに、何度も地図を確認していると少し引っかかります。致命的な問題ではないものの、こうした細かな部分にはSwitch2版なりの限界も見えてきます。
結局のところ、60fpsの滑らかさを知っている人にとって、Switch2版の30fpsがまったく気にならないとは言えません。ただ、「30fpsだからアクションゲームとして厳しい」というところまでは感じず、しばらく遊んでいると普通に探索や戦闘へ集中できました。
PS5版の滑らかさをそのまま持ってきた移植ではない。それでも、30fpsという条件の中で『エルデンリング』の戦闘や探索を崩さず動かしているという意味では、かなり上手くまとめられていると感じます。
ロード時間は許容範囲。ただし気になる場面もある
フレームレートと並んで、実際の遊びやすさに影響してくるのがロード時間です。とくに『エルデンリング』の場合、一度ロードしてしまえば長時間そのまま遊べるゲームとは違い、死亡して再挑戦する場面が何度も発生します。そのたびに長く待たされるようだと、数字以上にストレスを感じやすくなります。
実際にSwitch2版で確認すると、死亡後のリトライは10秒前後、ファストトラベルでは7~8秒ほどでした。PS5版と比べれば多少待つものの、「Switch2だからロードがかなり長い」というほどではありません。広大なフィールドを読み込みながら、この程度に収まっているのであれば、普段のプレイでは十分に許容できる範囲だと感じました。
何より助かったのは、ボスに倒されたあと、そのまま気持ちを切らさず再挑戦できることです。
『エルデンリング』のボス戦では、初見からすんなり勝てることのほうが珍しく、「今の攻撃は避けるのが早かった」「あと少し待ってから反撃すればいけそうだ」と、失敗するたびに少しずつ相手の動きを覚えていきます。だからこそ、倒された直後にはもう一度試したくなるわけですが、その間に長いロードが挟まると、せっかく覚えた感覚も途切れてしまいます。
Switch2版では、少なくとも通常のボス戦や探索中の死亡で、ロード時間が再挑戦の邪魔になっているとは感じませんでした。先ほど触れた30fpsも含めて考えると、最高性能を狙うのではなく、『エルデンリング』を遊ぶうえでテンポを崩してはいけない部分はきちんと押さえている印象があります。
ただし、どんな状況でも同じくらいの時間で読み込みが終わるわけではありません。
たとえば、宝箱の罠によって遠く離れたエリアへ転送され、そこで死亡してリトライした場面では、20秒以上かかるケースもありました。普段の10秒前後に慣れているぶん、ここまで長くなるとさすがに「まだかな」と感じます。とはいえ、通常の探索をしていて頻繁に発生するものではなく、特定の状況でロード時間が大きく伸びることがある、と考えておくくらいでよさそうです。
このあたりは、PS5版からSwitch2版へ乗り換える人と、Switch2版から初めて遊ぶ人でも印象が変わってくると思います。PS5の高速なロードに慣れていれば多少の差は感じる一方、Switch2版だけを遊んでいるぶんには、ロード時間が気になってゲームをやめたくなるほどではありませんでした。
結局、ロード時間についてもフレームレートと似ています。PS5版と比べて優れているわけではないものの、Switch2版だから大きく我慢しなければならない部分にもなっていません。
そして、この「普通に遊べる」という感覚が一番驚かされたのが、Switch2をテレビから取り外して携帯モードへ切り替えたときでした。
Switch2版最大の魅力は「携帯モード」にある
ここまでグラフィックやフレームレート、ロード時間を見てきましたが、Switch2版をあえて選ぶ理由を一つ挙げるなら、やはり携帯モードだと思います。
テレビモードで遊ぶだけなら、画質やフレームレートで有利なPS5版という選択肢があります。それでもSwitch2版には、「あの広大な『エルデンリング』を、そのまま手元へ持ってこられる」という他機種にはない強みがあります。実際に携帯モードへ切り替えてみると、フィールドの奥まできちんと描かれていますし、目立った処理落ちも少なく、想像していた以上に普通に遊べました。
そして、この携帯できるという特徴が『エルデンリング』のゲーム構造とかなり噛み合っています。
ボス戦だけを切り取ると、反応の速さが求められる高難度アクションという印象が強いのですが、実際に遊んでいる時間のすべてが激しい戦闘というわけではありません。むしろ広大なフィールドを霊馬トレントで走り回り、洞窟やアイテム、まだ訪れていない場所を探している時間もかなり長くなります。
この探索をテレビの前だけで進めなくてもいいのは、思っていた以上に快適でした。
たとえば、強敵やボスと戦うときはテレビモードで腰を据えてプレイする。一方で、「今日は新しいエリアを少し探索しておきたい」というときは、ベッドやソファで携帯モードに切り替えて遊ぶ。そうして気軽に始めたはずなのに、目の前に気になる場所が現れて、「あそこだけ調べてから終わろう」と寄り道を繰り返しているうちに、いつの間にかかなり時間が経っていることもあります。
もともと『エルデンリング』には、そうやって予定になかった探索へ次々と引き込まれていく面白さがあります。そこへ「テレビの前に座らなくても遊べる」という気軽さが加わるため、携帯モードとの相性はかなり良いと感じました。ボス戦はテレビモード、探索は携帯モードという使い分けが自然にできるのは、Switch2版ならではの魅力です。
とはいえ、携帯モードが何もかも快適というわけではありません。
まず気になったのが文字サイズです。携帯モード専用にUIが大きく調整されているわけではないため、テレビやモニターで遊んでいるときには問題なく読めていた文字でも、Switch2の画面では少し小さく感じます。探索だけならそれほど困らないものの、装備やアイテムの説明をじっくり読みたい場面では、もう少し携帯モード向けに調整できれば使いやすかったと感じる部分でした。
もう一つ注意しておきたいのが、オンライン接続です。
携帯モードではWi-Fiを利用することになるため、通信環境が不安定な場所でオンラインプレイを続けると、途中で切断される可能性があります。『エルデンリング』ではオンライン接続によって、ほかのプレイヤーが残したメッセージを読んだりといった独特の体験も楽しめますが、外出先など通信が安定しない環境ではオフラインモードを使うという選択肢も考えておいたほうがよさそうです。
こうした細かな弱点はあるものの、それでも携帯モードそのものの価値が薄れるほどではありません。
PS5版より高画質になるわけでも、60fpsで動くわけでもない。それでも、これまでテレビやモニターの前で遊ぶことが前提だった『エルデンリング』を、好きな姿勢で探索できるようになったことには、スペック表だけでは見えてこない良さがあります。
とくに、すでにPS5などで一度クリアしている人にとっては、「同じゲームをもう一度買う意味があるのか」という疑問も出てくると思います。その答えを考えるうえでも、携帯モードによって遊び方そのものが変わることは、Switch2版を選ぶ大きな理由の一つになりそうです。
実際に遊ぶと分かるSwitch2版ならではの気になるところ
携帯モードまで含めて考えると、Switch2版は想像していた以上によくまとまっています。ただ、クリアまで長時間遊んでいると、最初の数時間では気付かなかった細かな部分も少しずつ見えてきました。
その一つが、先ほどフレームレートのところでも触れたワールドマップの表示です。
『エルデンリング』には一般的なオープンワールドゲームのようなミニマップが常時表示されていないため、現在地を確認したり、次に向かう場所を考えたりするときはワールドマップをかなり頻繁に開きます。ところがSwitch2版では、処理が重くなっているタイミングでマップを開くと、詳細な地形がワンテンポ遅れて表示されることがありました。
ほんのわずかな待ちなので、これだけでゲームが遊びにくくなるほどではありません。それでも、数十時間、100時間と探索を続けるゲームだけに、何度も使う画面で小さな引っかかりが積み重なると、少し気になってきます。戦闘中に処理が大きく崩れるよりはずっと良いものの、Switch2版の最適化で今後改善してほしい部分を挙げるなら、このマップ表示はその一つです。
そして携帯モードでは、文字の小ささも無視できません。
フィールドを歩き回ったり敵と戦ったりするぶんには、それほど問題を感じないのですが、装備やアイテムの説明を読むとなると話が変わってきます。『エルデンリング』は武器や防具を手に入れて終わりではなく、その性能を比較したり、アイテムの説明から世界観を読み取ったりする楽しみもあります。それだけに、Switch2の画面サイズに合わせてUIを調整できる設定があれば、携帯モードの完成度はさらに高くなったと思います。
もう一つ、PS5版を遊んだことがある人ほど違和感が出やすいのがコントローラーの操作感です。
Switch2のコントローラーは、左スティックの下側に十字ボタンがあります。この配置自体は普段のゲームなら大きな問題にならないものの、『エルデンリング』ではダッシュしながら回復瓶などのアイテムを切り替えたい場面があり、ここでPS5版との違いが出てきます。
PS5のコントローラーでは、いわゆる「モンハン持ち」を使えば左スティックで移動しながら十字キーを操作し、右手ではそのままダッシュを続ける、といった動かし方ができます。Switch2ではスティックと十字ボタンの位置関係が違うため、同じ感覚で操作するのは難しく、ダッシュしながらアイテムを切り替えようとすると、一度スティックから指を離さなければならない場面が出てきました。
普通にフィールドを探索しているぶんには、そこまで困りません。気になってくるのは、ほんの一瞬の操作が生死を分けるようなボス戦です。
あと一撃もらえば倒されるという状況で回復瓶へ切り替えたい、しかし敵から距離を取るために走り続けたい。そんな場面になると、PS5版で慣れていた操作との違いが急に大きく感じられます。アクションそのものが遊びにくいという話ではありませんが、過去にPS5版を何十時間、何百時間と遊んでいる人なら、慣れるまで多少時間が必要になるかもしれません。
こうして並べると欠点が多いようにも見えますが、どれもゲーム体験を根本から崩してしまうほどのものではありません。むしろ、グラフィックやフレームレートといった分かりやすい部分が想像以上に安定しているからこそ、マップ表示や文字サイズ、ボタン配置といった細かなところへ目が向くようになった、という感覚に近いです。
「Switch2だから仕方がない」と我慢しながら遊ぶ移植ではないものの、PS5版とまったく同じ快適さを期待すると違いは見えてくる。このあたりを理解したうえで選ぶなら、Switch2版の弱点について必要以上に構える必要はないと感じました。
Switch2版で追加された新要素もチェック
ここまで見てきたように、Switch2版は携帯モードで遊べることが大きな特徴になっていますが、単純に既存の『エルデンリング』を移植しただけではありません。新たな素性や武器、さらに霊馬トレントのカスタマイズなども追加されているため、すでに他機種版を遊び込んだ人にも少し新鮮な要素が用意されています。
まずキャラクター作成時に選択できる素性には、「イデスの騎士」と「重騎士」の2種類が追加されています。
このうち実際に触ってみて使いやすかったのが、イデスの騎士です。最初から物理カット率100%の盾を持っているため、敵の攻撃をガードしながら様子を見ることができ、専用装備の攻撃も扱いやすくなっています。『エルデンリング』をSwitch2版から始める人、とくにアクションゲームにあまり慣れていない人にとっては、序盤を進める際の選択肢として使いやすい素性だと感じました。
一方の重騎士は、最初から気軽に扱えるタイプとは少し違います。初期装備が重いため回避の動きも鈍くなりやすく、さらに盾を装備していないので、イデスの騎士と同じ感覚で敵の攻撃を受け止めることもできません。装備を調整すれば動きやすくできますが、ゲームの仕組みをある程度理解したうえで自分なりに調整していく素性という印象が強く、こちらは経験者のほうが面白さを引き出しやすそうです。
さらに新しい武器も追加されていて、それぞれ固有の特徴を持っています。なかでも印象に残ったのが「レオテールの大剣」で、固有戦技を使ったときの動きがかなり特徴的でした。ただし、新武器のすべてをゲーム開始直後から使えるわけではなく、中盤以降まで進めなければ入手できないものや、特殊な条件を満たす必要があるものもあります。新要素だからといって最初からまとめて渡してくれないあたりは、いかにも『エルデンリング』らしいところです。
また、戦闘に直接影響するものではありませんが、霊馬トレントの見た目を変更できるカスタマイズ要素も追加されています。長い時間を一緒に走り回る存在だけに、こうした変更ができるのは地味ながら嬉しいところで、すでに本編を遊んだ人が改めて冒険するときにも、以前とは少し違った感覚を持たせてくれます。
とはいえ、これらの新要素だけを目当てに、すでに持っているPS5版からSwitch2版へ買い直すべきかとなると、そこは少し冷静に考えたいところです。今回の追加要素はゲーム全体を別物にするほど大規模なものではなく、あくまで『エルデンリング』をもう一度遊ぶ際の楽しみを増やしてくれるもの、と捉えたほうが実際の内容には近いと思います。
その意味では、Switch2版の価値は新要素だけで判断するよりも、これまで触れてきた携帯モードとの組み合わせで考えたほうが分かりやすいです。以前とは違う素性や武器を試しながら、今度は手元のSwitch2で広大な世界を最初から探索していく。すでに一度クリアしている人にとっては、そうした「もう一周するきっかけ」として新要素が効いてくるのではないかと感じました。
Switch2版から初めて『エルデンリング』を遊ぶ人が知っておきたいこと
新しい素性や武器が用意されていることもあって、Switch2版をきっかけに『エルデンリング』へ初めて触れる人もいると思います。ただ、ここまでグラフィックや動作面を中心に見てきましたが、購入前にもう一つ知っておいてほしいのが、このゲームそのものがかなり人を選ぶ作りになっていることです。
『エルデンリング』が難しいゲームだという話は、遊んだことがなくても聞いたことがあるかもしれません。実際、敵から受けるダメージは大きく、ボスも簡単には倒せないため、何度も負けながら攻略法を覚えていくことになります。
ただ、個人的には敵の強さだけが『エルデンリング』の難しさではないと感じています。
むしろ初めて遊ぶ人が戸惑いやすいのは、「次に何をすればいいのか」をゲーム側が細かく教えてくれないところです。最近のオープンワールドゲームでは、クエストを受ければ目的地がマップに表示され、そこへ向かえば次のイベントが始まるという作りも珍しくありません。それに慣れていると、『エルデンリング』の突き放し方には最初かなり驚くと思います。
NPCから何かを頼まれても、目的地が分かりやすくマップへ表示されるとは限りません。会話の内容を覚えておき、自分で周辺を調べながら「さっきの話は、この場所のことかもしれない」と考える必要があります。ダンジョンへ入れば詳細なマップも用意されていないため、どこから来て、まだどの道を調べていないのかを頭の中で整理しながら進む場面も出てきます。
これを不親切と感じるか、それとも面白いと感じるか。おそらく、ここが『エルデンリング』にハマれるかどうかを分ける大きなポイントです。
たとえば、道に迷っている途中で脇道を見つけ、「せっかくだから少しだけ調べてみるか」と進んだ先に新しいダンジョンがある。そこで苦労して敵を倒したら、今までとはまったく違う戦い方ができる武器が手に入る。そうなると当初の目的を忘れて、その武器を試したくなり、今度は別の場所へ向かいたくなるわけです。
つまり、迷うこと自体が必ずしも失敗ではありません。
目的地まで一直線に誘導されないからこそ、自分で見つけた場所や偶然手に入れたアイテムに意味が生まれてきます。「こっちには何かありそうだ」「あの道はまだ調べていなかった」と自分で考えながら歩く感覚は、親切なナビゲーションが用意されたゲームとはかなり違います。
とはいえ、何時間も同じ場所をさまよってまで、すべて自力で攻略する必要はありません。
オンラインへ接続すれば、ほかのプレイヤーがフィールドやダンジョンに残したメッセージを見ることができます。怪しい壁の前にメッセージがあれば隠し通路を疑えますし、この先に何かあるのかといった探索のヒントになる場合もあります。それでも分からなければ、攻略情報を確認するのも一つの遊び方です。
ここは変に意地を張らなくてもいいと思います。何も見ずに手探りで進みたいならそうすればいいですし、迷うことがストレスになってきたら必要なところだけ調べてもいい。その境界を自分で決められるのも、『エルデンリング』の自由さの一部です。
Switch2版から始める人には、難しいボスに何度も倒されること以上に、この「ゲーム側がすべてを説明してくれるわけではない」という作りを知ったうえで遊んでほしいところです。
そこを面倒に感じる人には、正直なところ合わない可能性があります。一方で、自分で道を選び、失敗しながら世界の仕組みを理解していく過程そのものを楽しめるなら、気付いたときには何十時間も遊んでいた、ということが普通に起こるゲームでもあります。
Switch2で快適に動くかどうかと同じくらい、「そもそも自分に『エルデンリング』が合いそうか」という部分は、初めて購入する人ほど考えておきたいところです。
結局Switch2版『エルデンリング』は買いなのか?
ここまでSwitch2版をクリアまで遊びながら、グラフィックや30fpsでの動作、ロード時間、携帯モード、操作感まで見てきました。最終的にどうだったのかと聞かれれば、最初に抱いていた「かなり無理をした移植になるのでは」という不安は、ほぼなくなったというのが率直な感想です。
PS5版と比べれば、もちろん差はあります。細部の描写ではPS5版のほうが綺麗ですし、60fpsの滑らかさに慣れている人なら30fpsは気になるかもしれません。ワールドマップの表示が少し遅れる場面や、携帯モードでは文字が小さく感じることもあり、コントローラーの配置についてもPS5版の操作に慣れているほど違和感が出てきます。
それでも、そうした違いを含めたうえで「Switch2版は劣化移植なのか?」と聞かれると、個人的にはその言葉だけで片付けるのは違うと感じました。
確かにスペック上の制約に合わせて削られている部分はありますが、広大なフィールドを見渡して気になる場所へ向かい、途中で洞窟を見つけて寄り道し、強敵と遭遇すれば何度も挑戦する。そうした『エルデンリング』の面白さを支えている部分は、Switch2版でもきちんと残っています。実際、最後まで遊べば遊ぶほど「Switch2向けに縮小された別物」というより、多少の違いはありながらも『エルデンリング』そのものを遊んでいる感覚のほうが強くなりました。
では、PS5版とSwitch2版のどちらを選べばいいのか。これは何を優先するかで、かなり分かりやすく答えが変わります。
大きなテレビやモニターで腰を据えて遊び、できるだけ綺麗な映像と滑らかな動作を求めるのであれば、PS5版を選ぶ理由は十分にあります。Switch2版がよくできているからといって、グラフィックやフレームレートまでPS5版を上回るわけではありません。
一方、「テレビの前だけで100時間以上遊び続けるのは少し重い」と感じる人なら、Switch2版の魅力が一気に大きくなります。
『エルデンリング』はボスを倒して終わりではなく、むしろフィールドを歩き回っている時間が相当長いゲームです。今日はボスへ挑むほどの気力はないけれど、ベッドで横になりながら未探索の場所だけ調べておく。そこで新しい洞窟を見つけたら少し潜ってみる。そんな遊び方ができるようになると、携帯モードは単なる付加機能ではなく、『エルデンリング』との付き合い方そのものを変えてくれます。
また、Switch2版から初めて遊ぶ人については、30fpsだからという理由だけで避ける必要はないと思います。難易度の高さや目的地の分かりにくさなど、そもそも『エルデンリング』自体が万人向けのゲームではありませんが、そこを乗り越えて探索の面白さにハマれれば、生活の時間をかなり持っていかれるだけの中毒性があります。
逆に少し悩ましいのが、すでにPS5版などをクリアしている人です。
追加された素性や武器は面白いものの、それだけを目的にもう一度買うとなると、人によっては決め手に欠けるかもしれません。ただ、「今度は携帯モード中心でもう一周したい」「以前とは違う素性や武器を使って最初から探索したい」という気持ちがあるなら話は別です。新要素そのものよりも、携帯できる『エルデンリング』に価値を感じられるかどうかで判断するのが一番分かりやすいと思います。
結局、Switch2版の凄さは、PS5版より優れた映像を実現したことではありません。むしろ、PS5版と比べれば不利な条件がある中で、あれだけ複雑で巨大な『エルデンリング』を「普通に最後まで遊べる」ところまで持ってきたことにあります。
発売前に想像していたような、携帯できる代わりに何かを大きく我慢する移植ではありませんでした。細かな弱点まで含めれば改善してほしいところは残っていますが、それ以上に、ベッドやソファで何気なくSwitch2を手に取り、そのまま狭間の地を何時間も探索できてしまうことのほうが印象に残ります。
画質と60fpsを最優先するならPS5版、多少の差を受け入れてでも場所に縛られず遊びたいならSwitch2版。どちらが上かというより、自分が『エルデンリング』をどう遊びたいのかによって、選ぶべきバージョンが変わる。クリアまで遊んだ今は、それがSwitch2版に対する一番しっくりくる結論です。
ゲーム以外の作品レビューも読みたい方へ
ここまでSwitch2版『エルデンリング』について、実際に最後まで遊んだからこそ見えてきた良さや、PS5版と比べて気になった部分まで掘り下げてきました。
ゲームに限らず、作品というものは実際に最後まで触れてみないと分からない部分が少なくありません。最初の印象は良かったのに途中から評価が変わることもあれば、逆に序盤では気付かなかった魅力が、最後まで触れることで見えてくる場合もあります。
そうした「実際に作品を確認したうえで、その内容を掘り下げる」というレビューに興味がある方に向けて、別サイトではゲーム以外の二次元作品についても紹介しています。
アダルトナラティブ研究所では、成人向けの二次元作品を対象に、実際に本編を確認したうえで、作品ごとの特徴や見どころをレビューしています。取り扱う内容の性質上、こちらは18歳以上の方のみを対象としたサイトです。
ゲームとは異なるジャンルになりますので、興味のある方だけご覧ください。
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