家庭用ゲーム機を買おうと思ったとき、以前よりも「ちょっと気軽には手を出しにくくなったな」と感じる人は多いのではないでしょうか。数万円という価格そのものはもちろんですが、本体と一緒にゲームソフトや周辺機器までそろえるとなれば、まとまった出費を覚悟する必要があります。
ただ、昔からゲーム機がこれほど高かったのかというと、実はそうではありません。たとえば1983年に発売されたファミリーコンピュータは14,800円で、1989年に登場したゲームボーイも発売時は12,800円。そのゲームボーイは後に9,800円、さらに8,000円まで値下げされており、1万円札を出してお釣りが返ってくる価格で本体を購入できた時期もありました。
さらに驚くのがゲームボーイポケットで、発売当初の6,800円から何度も価格が引き下げられ、最終的には3,800円まで下がっています。今の感覚ならゲームソフト1本どころか、ちょっとした周辺機器より安いくらいですから、「ゲーム機本体がその価格で買えたのか」と驚いてしまいます。
もちろん、当時と現在ではゲーム機に求められる性能も機能もまったく違うので、単純に「昔は安かったのに、メーカーが値上げした」と考えるのは少し乱暴です。それでも興味深いのは、かつての家庭用ゲーム機には**「発売から時間が経てば安くなる」**という流れが確かに存在していたこと。ところが現在では、その当たり前だった価格の動きまで変わりつつあります。
では、数千円から1万円台でも購入できた家庭用ゲーム機が、どうして数万円を支払うことが当たり前の製品へ変わっていったのか。まずはファミコンやゲームボーイが販売されていた時代まで遡って、ゲーム機の価格がどのように変化してきたのかを見ていきます。
ファミコンは14,800円、ゲームボーイは1万円以下まで値下げされた時代
今のゲーム機に慣れていると、本体が1万円前後で買える時代があったこと自体、かなり遠い話に感じます。ただ、家庭用ゲーム機が広く普及していった1980年代から1990年代にかけては、「子どもでもお小遣いやお年玉を貯めれば手が届く」という価格帯のハードが実際に存在していました。
その代表格が、1983年に14,800円で発売されたファミリーコンピュータです。当時はまだ消費税が導入されていなかったため、店頭で定価通りに購入するなら14,800円。現在のゲーム機と性能や機能がまったく違うとはいえ、家庭に普及していく娯楽機器としては、かなり思い切った価格設定だったことが分かります。
さらに価格の安さが際立っていたのが、1989年に発売されたゲームボーイでした。発売時こそ12,800円だったものの、その後は9,800円、8,000円と段階的に値下げされています。つまり、一時期は新品のゲーム機本体を買っても1万円札からお釣りが返ってきたわけです。
しかも、この頃の任天堂の携帯ゲーム機はそれで終わりません。小型化されたゲームボーイポケットは6,800円で登場したあと、最終的には3,800円まで価格が下がりました。ゲームボーイカラーについても8,900円で発売され、翌年には6,800円まで値下げされています。今なら「本体ではなく周辺機器の価格では?」と思ってしまいそうですが、これでゲーム機そのものを購入できたのです。
こうして振り返ると、昔のゲーム機には単に発売価格が安いだけではなく、時間が経つにつれてさらに買いやすくなるという特徴がありました。新型が欲しくても発売日に無理して買う必要はなく、少し待っていれば値下げされる。そんな期待を持てる時代だったとも言えます。
ただし、ここで「昔は何もかも安くて良かった」とまとめてしまうと、当時のゲーム事情を正しく捉えられません。実は据え置き機へ目を向けると2万円を超えるハードもありましたし、何より驚かされるのがゲームソフトの価格です。**本体は今より安いのに、ソフトについては現在と比べてもかなり高い。**そんな少し不思議な時代が、スーパーファミコンの頃にはすでに訪れていました。
実はスーパーファミコン時代もゲームは決して安くなかった
ゲームボーイが1万円以下で買えたと聞くと、「昔はゲームそのものにお金がかからなかった」と思いたくなります。しかし、据え置き型のゲーム機やソフトまで視野を広げてみると、話はそれほど単純ではありません。むしろ1990年代には、本体以上にゲームソフトの価格が重く感じられる時代がありました。
1990年に発売されたスーパーファミコンの価格は25,000円。ファミコンの14,800円と比べれば1万円以上高くなっており、当時としても決して気軽に買える金額ではありません。それでも現在の家庭用ゲーム機と比べれば本体価格はまだ抑えられているのですが、問題はここからです。
スーパーファミコンでは、ローンチタイトルの『スーパーマリオワールド』でも定価8,000円。さらに資料では『聖剣伝説2』が9,800円、『ファイナルファンタジーIV』に至っては11,400円と、ソフト1本で1万円を超える例まで挙げられています。現在でも9,000円前後の新作を見て「高くなったな」と感じることがありますが、ソフトの定価だけを見るなら、30年以上前にすでに現在と同等、あるいはそれ以上の価格帯へ到達していたわけです。
もちろん、定価がそのまま実際の購入価格だったとは限りません。当時は発売直後から定価より安く販売されるケースもあったため、「みんなが毎回1万円近く払っていた」と考えるのも違います。それでも、本体が25,000円なのに対してソフト数本を買えば本体価格に迫ってしまうことを考えると、ゲームを何本も遊びたい人にとって負担が軽かったとは言いにくいところです。
このあたりが、昔と現在の価格を比較するときに面白い部分でもあります。「昔のゲーム機は安かった」は確かでも、「昔のゲームは何でも安かった」わけではない。 本体とソフトでは価格の動き方が違っており、特にスーパーファミコン時代は、その違いがかなりはっきり表れていました。
そして本体価格については、もう一つ現在とは大きく異なる特徴があります。スーパーファミコンは発売時の25,000円から、後には1万円を切るところまで価格が下がりました。さらにNINTENDO64やゲームキューブでも発売後の値下げが行われており、当時は「欲しいけれど高いなら、しばらく待つ」という選択にも今以上の意味があったのです。
昔のゲーム機は「発売後に安くなる」のが珍しくなかった
スーパーファミコンの価格推移を見ると、現在との違いがより分かりやすくなります。発売時は25,000円だった本体が、1996年には9,800円まで値下げされました。発売から時間が経っていたとはいえ、当初の半額を大きく下回る価格ですから、今の感覚で考えるとなかなか大胆な値下げです。
しかも、こうした動きはスーパーファミコンだけの特殊な例ではありません。1996年に25,000円で発売されたNINTENDO64も翌年には16,800円、その翌年の1998年には14,000円まで下がっています。発売直後に飛びつかず数年待つだけで1万円以上安くなるわけですから、「ゲーム機は時間が経てば安くなる」という感覚を持っていた人がいても不思議ではありません。
携帯ゲーム機でも同じような動きがあり、ゲームボーイアドバンスは9,800円から8,800円へ値下げされています。さらに2001年に25,000円で発売されたゲームキューブも、その後19,800円、14,000円と段階的に価格が引き下げられました。こうして並べてみると、当時は新しいハードが発売されたときの価格が、そのままずっと維持されるとは限らなかったことが分かります。
もちろん、メーカーが理由もなく安くしていたわけではありません。競合するゲーム機とのシェア争いもありましたし、発売から時間が経てば同じハードを以前より低いコストで生産できるようになるという事情もありました。売れる台数が増えれば生産設備への初期投資も回収しやすくなり、チップの小型化や部品の統合によって製造コストを抑えられる。そうした積み重ねが、本体価格を下げる余地につながっていたわけです。
だからこそ、この頃は「発売日に買うか、値下げを待つか」という選び方にも現実味がありました。どうしても遊びたいタイトルがあるなら発売直後に買い、そこまで急いでいなければ価格が下がるまで待つ。後から買うユーザーほど金銭的には得をしやすいという、分かりやすい構図が成り立っていたのです。
ただ、この流れもずっと続いたわけではありません。2000年代に入ると、任天堂のゲーム機でも発売後に何度も値下げするケースは徐々に減っていきます。そして同じ頃、1万円前後で買えることも珍しくなかった携帯ゲーム機の価格にも、少しずつ変化が表れ始めました。
DS・Wiiの時代から「ゲーム機1万円台」の常識が少しずつ崩れていく
発売後に価格が下がることも珍しくなかったゲーム機ですが、2000年代に入ると、その流れにも少しずつ変化が見え始めます。特に分かりやすいのが携帯ゲーム機で、それまでのゲームボーイシリーズでは1万円前後がひとつの基準になっていたのに対し、DS世代になると徐々に2万円が見えてくるようになりました。
2004年に発売されたニンテンドーDSは15,000円で、その翌年に登場したゲームボーイミクロは12,000円。さらにニンテンドーDS Liteは16,800円で発売されています。このあたりまではまだ1万円台に収まっているものの、それ以前のようにメーカー側が発売後に何度も価格を引き下げていく動きは見られなくなっていきます。
そして2008年に登場したニンテンドーDSiでは18,900円、翌2009年のニンテンドーDSi LLになると20,000円まで上昇しました。ここで興味深いのは、当時の据え置き型ゲーム機であるWiiも値下げ後は20,000円で販売されていたことです。かつては「据え置き機は高く、携帯機は安い」という分かりやすい価格差がありましたが、この頃になると両者がほぼ同じ金額で並ぶようになります。
もちろん、単純に携帯ゲーム機だけが高くなったわけではありません。DSでは2画面やタッチ操作が採用され、その後も画面サイズの大型化など、ゲームボーイ時代とは違った機能が盛り込まれていきました。携帯してゲームができれば十分だった機械から、より多くの機能を備えたハードへ変化していくにつれて、価格帯も少しずつ上へ移っていったと見ることができます。
その流れをさらに進めたのが、2011年に発売されたニンテンドー3DSです。発売価格は25,000円となり、ついに携帯ゲーム機でありながら、それまでの任天堂の据え置き機と並ぶ価格帯に到達しました。ただし3DSについては、その価格が市場に受け入れられなかったこともあり、発売から約半年後には15,000円へと一気に1万円値下げされています。初期に購入したユーザーに対しては、ファミコンやゲームボーイアドバンスの対象タイトルを提供する「アンバサダー・プログラム」も実施されました。
ここまでの価格推移を見ると、ゲーム機が高くなっていく兆候はSwitchの登場よりずっと前からあったことが分かります。それでも3DSでは、25,000円という価格で販売が伸びなければ15,000円まで下げるという選択が取られました。まだこの頃までは「高すぎて売れないなら、本体価格を下げて普及させる」という考え方が強く残っていたとも言えます。
ところが、その後の家庭用ゲーム機は据え置き型と携帯型という区分そのものが曖昧になっていきます。その大きな転換点になったのが、2017年に登場したNintendo Switchでした。
Switchで据え置き機と携帯機の境界そのものが消えた
3DSまでの時代は価格差が小さくなっていたとはいえ、「テレビにつないで遊ぶ据え置き機」と「持ち歩いて遊ぶ携帯機」は別々のゲーム機として存在していました。ところが2017年にNintendo Switchが登場すると、この区分そのものが大きく変わります。
Nintendo Switchの発売価格は29,980円。テレビにつないで据え置き機として遊べる一方、本体をドックから取り外せば、そのまま携帯ゲーム機として持ち出せる仕組みが採用されました。つまり、これまで別々のハードが担っていた役割を1台にまとめたことで、「携帯機なのに約3万円」と見るのか、「据え置き機としても使えて約3万円」と考えるのかによって、価格に対する印象まで変わってきます。
ここは、昔のゲーム機と現在のゲーム機を価格だけで比較するときに見落としやすいところです。ゲームボーイが1万円以下で買えたからといって、その金額とSwitchの29,980円をそのまま並べて「約3倍になった」と考えてしまうと、ゲーム機そのものが変化してきた過程が抜け落ちてしまいます。
実際、Switchではその後も用途に合わせたモデルが展開され、携帯モードに特化したNintendo Switch Liteや、有機ELディスプレイを採用した上位モデルも登場しました。有機ELモデルは37,980円となり、同じSwitchというシリーズの中でも、機能や遊び方によって異なる価格帯から選ぶ形へ変わっていきます。
こうして考えると、家庭用ゲーム機の価格が上がってきた背景には、単純な値上げだけではなく、1台のゲーム機が担う役割そのものが増えてきたという変化もあります。かつてなら据え置き機と携帯機をそれぞれ購入していたところを、Switchでは1台で両方の遊び方を実現する。少なくとも価格を比較するときには、この違いを無視することはできません。
とはいえ、それだけですべて説明できるわけでもありません。機能が増えて高くなったという話だけなら、発売から何年も経ち、製造技術がこなれてくれば価格を下げられそうにも思えます。実際、過去のゲーム機ではそれが何度も起きていました。
ところが現在は、「時間が経てば作るコストが下がり、ゲーム機も安くなる」という前提そのものが以前ほど通用しなくなっています。 家庭用ゲーム機の価格がここまで上がった理由を考えるうえでは、むしろこの変化の方が大きなポイントになってきます。
なぜ今の家庭用ゲーム機は昔のように安くならないのか
ここまでの価格推移を振り返ると、昔のゲーム機にはひとつの分かりやすい流れがありました。発売時はそれなりの価格でも、数年経てば本体が値下げされる。スーパーファミコンやNINTENDO64、ゲームキューブなどで実際に起きていたことですが、その背景には**「同じゲーム機を作り続けていれば、少しずつ製造コストを下げられる」**という事情がありました。
ゲーム機は発売するまでに、生産設備の準備などで大きな初期投資が必要になります。しかし、その後に何百万台、何千万台と生産できれば、最初にかかった費用をより多くの本体へ分散できます。それだけではなく、発売から時間が経つにつれてチップを小型化したり、複数の部品をまとめたりと、同じ性能を維持しながら安く作るための改良も進められました。
そう考えると、昔のゲーム機が発売後に値下げされていたのも不思議ではありません。最初は25,000円でなければ採算が合わなかったとしても、数年後にはもっと安く作れるようになる。それなら本体価格を下げ、新たなユーザーにも手に取ってもらうことで普及台数をさらに増やせます。「時間が経てばゲーム機は安くなる」という感覚は、こうした製造側の事情とも噛み合っていたわけです。
ところが現在では、この前提が以前ほど単純ではなくなりました。時間が経ったからといって、ゲーム機を構成する部品まで順調に安くなるとは限らず、場合によっては製造コストそのものが上昇することもあります。そうなるとメーカー側も、数年前と同じ本体を作っているからという理由だけで販売価格を下げることは難しくなります。
ここが、昔と今を比べるうえでかなり大きな違いです。昔は「時間」が値下げの味方になりやすかったのに対して、現在は待っているだけで製造コストが下がるとは言い切れない。 その結果、ゲーム機についても「発売日に買うと高いけれど、何年か待てば安くなる」という買い方が以前ほど成立しにくくなっています。
では、なぜ時間が経っても部品が安くならず、むしろゲーム機を作る側の負担が増えることまであるのか。そこにはゲーム業界だけでは完結しない、半導体やメモリをめぐる市場環境、そして日本では無視できない為替の変化も関わっています。
半導体・メモリ・円安…ゲーム機だけではどうにもならないコスト増
ゲーム機を安く作れるかどうかは、メーカーの努力だけで決まるものではありません。本体の中には半導体やメモリをはじめとした数多くの部品が使われており、それらをいくらで調達できるのかによって製造コストも変わります。つまり、ゲーム機の価格を考えるなら、その裏側にある部品市場まで見ていく必要があるわけです。
なかでも大きいのが、半導体を取り巻く環境の変化です。以前は時間が経って技術が古くなれば、同じような部品をより安く調達できることが、ゲーム機の値下げにつながっていました。ところが現在では、AIやスマートフォン、電気自動車など、ゲーム機以外にも半導体を必要とする製品や分野が広がっています。限られた部品をさまざまな業界が必要とするようになれば、「古くなった部品だから自然に安くなる」とは限らなくなってきます。
そして日本でゲーム機を購入する場合、もうひとつ無視できないのが円安です。海外からドル建てなどで調達する部品は、部品自体の価格が変わっていなくても、円の価値が下がれば日本円で支払う金額は増えてしまいます。性能が上がったわけでも、より豪華な部品へ変更したわけでもないのに、日本円で見たコストだけが膨らむこともあるのです。
ここまで来ると、「新しいゲーム機が高性能だから高い」という説明だけでは足りないことが見えてきます。もちろん性能向上や機能の追加も価格に関係していますが、それとは別に、同じものを作り続けるだけでもコストを維持できない可能性がある。これが、昔のゲーム機とはかなり違うところです。
以前なら量産や部品の小型化によって浮いたコストを値下げへ回せたとしても、その一方で半導体やメモリなどの調達負担が増え、さらに為替の影響まで重なれば、その余裕は小さくなります。メーカーからすれば「もっと普及させたいから安くしたい」と考えても、そもそも安く売れるだけの原価になっていなければ簡単には動けません。半導体や為替といった要因はゲーム会社だけでコントロールできるものでもないため、なおさら難しい問題になります。
こうして見ると、家庭用ゲーム機の価格を取り巻く状況はかなり変わりました。昔のように「新型は高いから数年待とう」と考えても、その数年間で製造コストが十分に下がるとは限りません。むしろ市場環境によってコストが上がるのであれば、待てば安く買えるという、かつてのゲーム機選びの常識そのものを見直す必要が出てきます。
「待てばゲーム機は安くなる」という常識はもう通用しない?
ここまで見てきた価格の変化を踏まえると、ゲーム機の「買い時」についても、昔と同じ感覚では考えにくくなっています。かつては発売直後の価格が高いと感じても、急いで遊びたいソフトがなければ少し待つという選択がありました。実際、NINTENDO64やゲームキューブのように、発売から時間が経つことで本体価格が大きく下がった例もあります。
ところが現在は、待ったからといって同じような値下げが起きるとは限りません。製造コストが下がりにくくなっている以上、メーカー側にも価格を引き下げる余地が生まれにくいからです。むしろ部品価格や為替などの条件が悪化すれば、時間の経過が必ずしも購入する側にとって有利に働かないという、これまでとは逆の状況まで考えられるようになりました。
では、これからゲーム機の値下げは一切期待できないのかというと、そこまで言い切ることもできません。製造方法の改善によって大幅なコスト削減が可能になったり、半導体やメモリなどの調達環境が変わったりすれば、価格を下げられる余地は出てきます。また、強力な競合ハードが登場し、利益を削ってでも普及台数を伸ばしたいという判断になれば、メーカー側の販売戦略が変わる可能性もあります。
ただ、ここで重要なのは「値下げされる可能性がある」ことと、「待っていれば値下げされる」ことはまったく違うという点です。昔は発売後の値下げが何度も行われていたため、待つこと自体がひとつの購入戦略になりました。しかし現在では、値下げにつながるだけの条件がそろわなければ価格を維持することもあり、状況によってはコスト増の影響を受けることさえあります。
そうなると、ゲーム機の買い時も少し考え方を変えた方がよさそうです。「今は高いから、とりあえず安くなるまで待つ」と価格だけを基準にするのではなく、そのゲーム機で今遊びたいタイトルがあるのか、現在の価格を払ってでも欲しいと思えるのか。結局は、そこまで含めて判断する必要があります。
数年待てば安くなることを前提に購入時期を決められた時代から、値下げそのものを当てにしにくい時代へ。家庭用ゲーム機が高くなったという話の裏側では、実はこうした**「いつ買うのが得なのか」という常識まで変わり始めている**のです。
それでも家庭用ゲーム機は「高すぎる」と言えるのか?
ここまで価格の歴史を振り返ってくると、現在の家庭用ゲーム機が昔より高くなっていること自体は間違いありません。ゲームボーイのように1万円以下で購入できるハードが存在した時代と比べれば、数万円を用意しなければ本体を買えない現在との金額差はかなり大きく、「ゲーム機も高くなったな」と感じるのは自然なことです。
ただ、その金額だけを切り取って「昔より何倍も高くなったから、今のゲーム機は高すぎる」と結論づけると、少し違った見え方もしてきます。昔の携帯ゲーム機は、基本的にゲームを遊ぶためのシンプルな機械でした。それに対して現在は、据え置きと携帯の両方で遊べるハードが登場し、ゲーム機そのものが担っている役割も変わっています。Switchが据え置き機と携帯機を融合する形で登場したことは、その変化を象徴する出来事だったと言えます。
さらに、価格が上がっている理由も「性能が良くなったから」の一言では片付けられません。以前なら発売後の量産や部品の統合などによって製造コストを下げ、それを本体の値下げにつなげることができました。しかし現在は、半導体やメモリを取り巻く市場環境が変わり、日本では円安の影響も受けます。メーカーが価格を維持したくても、その前提となるコスト自体が以前とは違っているわけです。
だからといって、購入する側が「それなら高くても仕方がない」と簡単に納得できるかは別の話です。家庭用ゲーム機は本体を買えば終わりではなく、そこから遊びたいソフトを購入し、必要に応じて周辺機器もそろえていきます。どれだけ高性能になったとしても、最初に支払う金額が大きくなれば、子どもへのプレゼントとして買ったり、興味を持った人が試しに手を出したりするハードルは当然上がります。
そう考えると、本当に変わったのは値札に書かれた数字だけではないのかもしれません。かつての家庭用ゲーム機には、「少し頑張れば自分でも買える」「今は高くても待てば安くなる」という身近な娯楽としての感覚がありました。それが現在では、価格や買うタイミングまで考えたうえで購入する、ひとつの高価なデジタル機器へと立ち位置を変えつつあります。
家庭用ゲーム機はなぜ高くなったのか。 その答えは、単純な値上げではなく、ゲーム機そのものの高機能化、製造コストを取り巻く環境、そして「時間が経てば安くなる」という価格構造まで変わったことにあります。昔のゲーム機が安すぎたのか、それとも現在が高すぎるのか。その感じ方は人によって違っても、少なくとも家庭用ゲーム機を取り巻く「価格の常識」が昔とは大きく変わったことだけは、確かに言えそうです。
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