『Beast of Reincarnation』は、『ポケットモンスター』シリーズで知られるゲームフリークが手掛ける完全新作のアクションRPGです。舞台となるのは崩壊後の日本で、人類は「汚れ」と呼ばれる災厄によって滅亡の危機へと追い込まれています。プレイヤーは主人公・エマとなり、相棒である巨大な犬「クー」と共に、この世界を救うための旅へと足を踏み出します。
戦闘ではエマが刀を使ってリアルタイムに戦う一方、クーにはコマンド形式で技を指示できるという、一風変わったシステムが採用されています。スピード感のあるアクションと、一瞬立ち止まって戦況を組み立てるコマンド要素が融合しており、一般的なアクションRPGともソウルライクとも少し異なるプレイフィールが味わえる作品です。
発売前からゲームフリークの新規IPとして注目を集めていた本作ですが、実際に遊んでみると第一印象とプレイ後の印象が大きく変わるタイトルでもありました。序盤だけを切り取ると不安を覚える場面も少なくない一方で、遊び続けるほど本作ならではの魅力が見えてきます。
今回は約10時間プレイした時点で感じた率直な感想をもとに、『Beast of Reincarnation』は本当に買う価値がある作品なのか、その評価を詳しくお伝えしていきます。
最初の印象は正直かなり厳しかった
『Beast of Reincarnation』を遊び始めて最初に感じたのは、「本当にこのまま面白くなるのだろうか」という不安でした。発売前からゲームフリークの完全新作として大きな期待を集めていたタイトルだっただけに、ゲーム開始直後のプレイフィールは少し意外だったと言えます。実際、筆者も最初の30分ほどは「今年遊んだゲームの中でもかなり厳しいスタートかもしれない」と感じたほどです。
その理由としてまず挙げたいのが、カメラワークです。本作は主人公エマの背後にカメラがかなり近い位置で配置されており、いわゆるTPSに近い視点でゲームが進行します。しかし、この距離感が想像以上に近く、とくに敵が複数現れる場面では周囲の状況を把握しづらくなってしまいます。設定からカメラ距離を変更することもできないため、プレイ開始直後は視界の狭さが常に気になりました。
さらに、プロローグを終えたあとのステージ構成も、序盤の印象をあまり良くしていません。広めのフィールドを探索するのかと思えば、すぐに閉鎖的な地下ダンジョンへ移動する流れになり、まだゲームシステムに慣れていない段階で視認性の悪さと閉塞感が重なります。その結果、本来であれば世界観へ没入するタイミングにもかかわらず、プレイヤーの意識は「遊びにくさ」のほうへ向いてしまう場面が少なくありませんでした。
その後に待ち受ける最初の大型ボス戦も、残念ながら不安を払拭する内容とは言えません。巨大な鹿型のボスとの戦いでは、カメラが近すぎる影響でボスの全体像を捉えにくく、攻撃を見極めながら戦うというより、画面いっぱいに映るボスの動きへ必死に対応するような感覚になります。特にボスが首を大きく振りながら連続攻撃を仕掛けてくる場面では、何が起きているのか把握しづらく、純粋な難しさというよりもカメラワークとの戦いになってしまう印象を受けました。
もちろん、序盤の印象だけでゲーム全体を評価するのは早計です。ただ、本作に関して言えば、この最初の数十分で「合わない」と判断してしまうプレイヤーがいても不思議ではありません。それほどまでに導入部分の出来は好みが分かれやすく、作品の本来の魅力へたどり着く前に離脱してしまう人が出てきそうな構成になっています。
とはいえ、この評価はプレイを続けることで大きく変わりました。実際、数時間遊んだ頃には序盤で抱いていた不安が少しずつ薄れ始め、本作ならではの面白さが見えてきます。ここから先は、その評価を大きく覆した最大の理由でもあるアクションについて詳しく紹介していきます。
10時間遊んで評価が変わった最大の理由はアクション
そんな序盤の印象を大きく覆したのが、本作のアクションでした。正直なところ、遊び始めて間もない頃はカメラワークやゲーム進行の影響もあり、「アクション自体も今ひとつなのではないか」と感じていました。しかし、操作に慣れ、戦闘システムを理解し始めたあたりから印象は一変します。気が付けば敵との戦闘そのものが楽しくなっており、「もう少し先まで遊んでみたい」と自然に思えるようになっていました。
本作の戦闘は、ソウルライク作品の影響を受けつつも、そのまま踏襲したものではありません。スタミナ管理を意識しながら慎重に立ち回るというよりは、敵の攻撃を見極めてパリィを成功させ、その隙へ一気に反撃を叩き込むことを重視した設計になっています。この感覚はどちらかと言えば『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』に近く、防御と攻撃が自然につながるテンポの良さが特徴です。
しかも、本作はパリィの判定が比較的広めに設定されています。難易度ノーマルでプレイした限りでは、タイミングが極端にシビアという印象はなく、高難度アクションに慣れていないプレイヤーでも十分挑戦しやすいバランスでした。もちろん適当にボタンを押して勝てるほど甘くはありませんが、「しっかり敵を見て反応すれば成功する」という納得感があるため、失敗しても理不尽さを感じにくく、自然と再挑戦したくなります。
さらに、本作ならではの個性を生み出しているのが、相棒であるクーの存在です。クーは通常時こそ自動で敵を攻撃してくれますが、専用ボタンを押すと時間が止まり、コマンド形式でスキルを選択できる仕組みになっています。リアルタイムアクションの最中に一瞬だけ戦況を整理し、最適なスキルを選んで再び戦闘へ戻る流れは非常にテンポが良く、リアルタイムアクションとコマンドバトルの長所をうまく組み合わせたシステムだと感じました。
また、このコマンド要素が単なる補助機能で終わっていない点も評価したいポイントです。クーのスキルを発動するためのゲージは、敵の攻撃をパリィすることで溜まっていくため、「まずは防御を成功させ、そこから強力なスキルへつなげる」という一連の流れが自然に生まれます。その結果、プレイヤーはエマだけを操作している感覚ではなく、一人と一匹で連携しながら戦っている実感を味わえます。
遊び始めた頃は、正直ここまで戦闘が面白くなるとは思っていませんでした。しかし、数時間プレイした時点では本作最大の魅力は間違いなくアクションにあると言い切れます。ゲームフリークと聞くと『ポケットモンスター』のイメージが強いものの、本作では新規IPだからこそ挑戦できた戦闘システムがしっかり形になっており、その手触りの良さは数多くのアクションRPGと比べても十分高い完成度に仕上がっています。だからこそ、序盤だけで判断してしまうのは少しもったいない作品だと感じました。
探索は遊びやすさを重視した設計
アクションの完成度に加えて、プレイを続けるうちに評価が上がったのが探索の快適さです。崩壊後の日本を舞台にした作品ということもあり、マップは荒廃した自然や崩れた建造物が入り組んだ複雑な地形になっています。一見すると迷いやすそうにも見えますが、実際に歩き回ってみるとストレスを感じる場面は少なく、探索そのものを楽しめるよう丁寧に設計されていることが分かります。
その理由の一つが、移動の快適さです。本作にはスタミナの概念が存在しないため、ダッシュを制限なく続けられます。アクションRPGでは探索中にスタミナ切れを気にしながら移動する作品も少なくありませんが、本作ではその心配がありません。気になる場所を見つけたら、そのまま走って向かえるため、探索のテンポが非常に軽快です。
さらに、立体的な移動手段も本作ならではの魅力と言えます。ジャンプを利用して植物を伸ばし高所へ移動したり、特殊なアクションで崖を駆け上がったりと、地形を活用したアクションが随所に盛り込まれています。そのため、単に平坦な道を進むだけではなく、「あそこにも行けそうだ」「上から回り込めるのではないか」と自然に周囲へ目が向くようになり、探索する楽しさが生まれています。
もちろん、マップ自体は入り組んでいます。しかし、不思議なことに実際に歩いてみると迷う印象はほとんどありません。レベルデザインがしっかり考えられているため、複雑な地形でありながら進行ルートは自然と把握でき、目的地まで無理なくたどり着けます。多少の見えない壁こそ存在するものの、それ以上に「どう進めばいいのか分からない」というストレスが少なく、探索に集中できる作りになっていました。
一方で、探索によって得られる報酬については、やや控えめな印象も受けます。フィールドにはユニークボスなども配置されていますが、探索だけで劇的にキャラクターが強くなるような作品ではありません。そのため、「隅々まで歩き回れば強力な装備が手に入る」といった達成感を期待すると、少し物足りなさを感じる人もいるかもしれません。
ただ、この点は育成システム全体で見ると納得できる設計でもあります。本作では通常のレベルアップに加え、探索や戦闘を通じて獲得したポイントでスキルを習得できる仕組みが用意されています。つまり、探索そのものがプレイヤーの成長へしっかり結び付いており、「寄り道をした時間が無駄にならない」という循環が成立しているわけです。派手な報酬こそ少ないものの、着実にキャラクターが強くなっていく実感は得られるため、探索する意味は十分に感じられました。
また、ステージを進めるにつれて景観にも変化が生まれます。序盤は森林地帯が中心ということもあり、やや単調な印象を受けましたが、新たなエリアへ足を踏み入れるたびに崩壊した世界の姿が少しずつ見えてきます。遊び始めた頃は世界観の魅力が伝わりにくかったものの、探索を重ねるにつれて舞台そのものへの興味も深まり、「この先にはどんな景色が待っているのか」と自然に先へ進みたくなる作りになっていました。序盤だけでは見えなかった本作の魅力は、この探索パートにも確かに詰め込まれていると感じます。
崩壊後の日本とキャラクター描写が魅力
アクションや探索の面白さに加え、本作を遊び続けたくなる理由として挙げたいのが、キャラクター同士のやり取りです。ソウルライク作品では世界観や設定をフレーバーテキストから読み解いていく作品が多い一方、『Beast of Reincarnation』は会話を通じてキャラクターの魅力を丁寧に描くことへ力を入れています。そのため、物語が進むほど仲間たちへの愛着が増し、「次はどんな会話が見られるのだろう」と思わせてくれる作品になっています。
その中心にいるのが、主人公のエマです。エマは感情を失っているという特殊な設定を持っており、一般的なRPGの主人公のように感情豊かに振る舞うタイプではありません。しかし、その設定があるからこそ、周囲のキャラクターたちが自然と彼女へ寄り添い、少しずつ距離を縮めていく姿が印象的に描かれています。プレイヤー自身もエマと同じ目線で仲間たちと接していくため、会話一つひとつに意味を感じやすく、物語への没入感も高まっていきます。
とりわけ印象に残るのが、拠点で過ごす時間です。本作ではキャンピングカーのような移動拠点が用意されており、冒険の合間に戻ることで仲間たちとの会話を楽しめます。相棒のクーはもちろん、ブラッドや神楽といった仲間たちが、その時々の状況に応じた会話をしてくれるため、「ストーリーが進んだから一度拠点へ戻ってみよう」と思えるほど、この空間そのものが心地よい居場所になっています。
また、探索中に集めた素材を使って神楽が料理を作ってくれるなど、ゲームプレイとキャラクターイベントが自然につながっている点も好印象でした。ただ会話イベントを見るだけではなく、探索という行動が拠点での交流へ結び付いているため、世界を旅している実感がより強く伝わってきます。この積み重ねによって仲間との距離が少しずつ縮まり、戦闘や探索とは異なる楽しさが生まれているように感じました。
さらに、エマにしか見えない存在である「バイオレット」も、本作の雰囲気を和らげる重要なキャラクターです。崩壊後の世界という重苦しい舞台でありながら、ときおり冗談を交えた軽妙なやり取りを見せてくれるため、物語全体が必要以上に暗くなりすぎません。こうした細かな会話の積み重ねが作品全体の空気を柔らかくし、シリアスな世界観とのバランスをうまく保っています。
一方で、序盤だけを見るとキャラクターの表情が少し硬く感じられる場面もありました。しかし、物語を進めてエマという人物の背景や世界設定を理解すると、その演出にもきちんと意味があることが見えてきます。派手に感情を表現するのではなく、ほんのわずかな表情や仕草の変化で心情を描こうとしているため、プレイ時間を重ねるほどキャラクターたちの魅力が深まっていく印象を受けました。
こうして振り返ると、『Beast of Reincarnation』はアクションRPGでありながら、人と人との関係性を大切に描いている作品でもあります。序盤では戦闘システムばかりに目が向きがちですが、実際にはキャラクターとの交流こそが長時間プレイしたくなる大きな原動力になっており、この点も本作の評価が時間とともに上がっていった理由の一つだと感じました。
気になったポイント
ここまで良い点を中心に紹介してきましたが、もちろん気になる部分もあります。実際、10時間プレイした時点では「ここが改善されれば、さらに評価が上がりそうだ」と感じるポイントがいくつか見えてきました。どれもゲーム全体を大きく損なう欠点ではありませんが、人によっては購入前に知っておきたい要素でもあるため、率直にお伝えしていきます。
まず最も気になったのは、やはりカメラワークです。序盤で感じた違和感はプレイを重ねるうちにある程度慣れてきましたが、それでも完全に気にならなくなったわけではありません。特に大型ボスとの戦闘では、敵との距離が近すぎる影響で画面全体が慌ただしくなり、攻撃モーションを見切るというより、画面内の情報を整理することへ意識を割かなければならない場面があります。アクションそのものの出来が良いだけに、このカメラワークが戦闘の爽快感を少し削いでしまっている印象を受けました。
もう少しカメラを後方へ引ける設定が用意されていれば、戦況を把握しやすくなり、ボス戦の見応えも大きく変わったはずです。実際、本作の戦闘は敵の動きを見極めてパリィを成功させることが重要になるため、視界の狭さはゲームデザインとも相性があまり良いとは言えません。この一点だけでも、アップデートによる改善を期待したいと感じました。
また、現時点では敵のバリエーションにも少し不安が残ります。プレイした範囲では敵の種類自体は用意されているものの、戦い方には似たようなパターンが見受けられました。ボス戦も基本的には攻撃パターンを覚え、それに対してパリィを合わせていく流れになるため、後半まで似た構成が続くようであれば、やや単調さを感じるプレイヤーも出てくるかもしれません。もちろん、まだクリア前という段階なので断定はできませんが、終盤で新たなギミックや敵がどれだけ登場するかは、本作全体の評価を左右する重要なポイントになりそうです。
一方で、こうした課題を開発側も認識している点は安心材料と言えます。実は、本作では発売後まもなくアップデート内容が公開されており、その中にはカメラワークの調整も含まれていました。さらに文字サイズの改善や、デフォルトの表示モード変更、ストーリー進行テンポの改善なども予定されており、プレイヤーから寄せられた意見を素早く反映しようとする姿勢が見て取れます。
特にカメラワークは、本作における最大の弱点と言っても過言ではありません。その部分へ発売直後から手を入れる方針が示されたことは、今後購入を検討している人にとっても明るい材料ではないでしょうか。逆に言えば、それほど改善の余地が明確な作品でもあり、アップデートを重ねることで評価がさらに伸びていく可能性は十分あると感じています。
だからこそ、現時点での『Beast of Reincarnation』は「粗削りだが光るものが多い作品」という表現が最も近い印象です。序盤の導入やカメラワークには改善してほしい点が残る一方、それらを乗り越えた先にはアクションや探索、キャラクター描写といった魅力がしっかり待っています。完成度だけを見れば満点とは言えませんが、「もう少し良くなれば名作になり得る」という期待を抱かせてくれる一本でした。
現時点での評価まとめ
約10時間プレイした現時点で結論をお伝えすると、『Beast of Reincarnation』は期待外れの作品ではありません。むしろ、序盤の印象だけで評価を下してしまうには惜しすぎる一本だと感じています。ゲーム開始直後こそカメラワークや導入のテンポに不安を覚えましたが、その壁を越えた先には、しっかりと作り込まれたアクションや探索、そしてキャラクターとの交流が待っていました。
特に印象的だったのは、プレイ時間に比例して評価が上がっていく構成です。最近のゲームは、序盤から派手な演出やインパクトを前面に押し出し、最初の数時間でプレイヤーを惹きつけようとする作品が少なくありません。しかし本作はその逆で、遊び続けることで少しずつ魅力が積み重なり、「気付けば夢中になっていた」と感じさせるタイプの作品でした。この感覚は、近年では意外と貴重なのではないかと思います。
もちろん、現時点で手放しに絶賛できる完成度とは言えません。カメラワークの改善や敵バリエーションの充実など、今後さらにブラッシュアップされることを期待したい部分は確かにあります。ただ、それらは作品の土台がしっかりしているからこそ見えてくる課題でもあります。アクションの手触りや探索設計、世界観の作り込みといった根幹部分は十分魅力的であり、「素材は非常に良い」という印象を強く受けました。
また、発売直後から改善アップデートが予定されている点も見逃せません。プレイヤーから寄せられた意見へ迅速に対応しようとする姿勢を見る限り、本作は今後さらに遊びやすくなっていく可能性があります。そう考えると、現在の評価だけでなく、数か月後にはまた違った印象を持つプレイヤーも増えているかもしれません。
現時点でおすすめしたいのは、パリィ主体のアクションゲームが好きな人や、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』のような緊張感ある戦闘を楽しめる人です。加えて、キャラクターとの交流や崩壊した世界をじっくり探索する作品が好きな人であれば、本作の魅力を十分味わえるはずです。一方で、序盤から強い爽快感や派手な展開を求める人は、最初の数時間で少し戸惑う可能性があるため、その点だけは理解した上でプレイすることをおすすめします。
少なくとも筆者自身は、プレイ開始から30分ほどで抱いた不安と、10時間遊んだあとの印象がここまで変わるとは思っていませんでした。だからこそ、『Beast of Reincarnation』は「序盤だけで判断してはいけないゲーム」の代表例と言えるでしょう。クリア後には評価がさらに変わる可能性も十分残されているため、最終的なレビューについては、エンディングまで遊び切った段階で改めてお伝えしたいと思います。
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