久しぶりに故郷へ帰ってきた主人公を待っていたのは、昔からよく知る幼なじみとの再会でした。
『ムチなじみ3』は、そんな「しばらく離れていた相手と再び顔を合わせる」という場面から始まり、主人公と幼なじみたちの距離が再び縮まっていく様子を描いた成人向け作品です。シリーズ3作目ということもあり、まったく知らない者同士が出会うのではなく、すでに積み重ねてきた関係の続きから物語が始まるところが大きな特徴になっています。
主人公が故郷へ戻ることになったのは、親孝行をするよう命じられたことがきっかけでした。ところが、久しぶりに実家へ戻ってみると、そこへやって来たのが幼なじみの「ひな」。以前から知っている相手だからこその気安さがあり、久々の再会にもかかわらず、二人のやり取りには昔から続いてきた距離の近さが感じられます。
そして本作では、もう一人の幼なじみ「エナ」も含めた3人の関係が再び動き始めます。
ここが面白いところで、単に「故郷へ帰ったら懐かしい友人に会った」という話ではありません。離れていた時間がある一方、顔を合わせれば以前の空気が戻ってくる。そんな幼なじみならではの関係を土台にしながら、再会した3人の日常が少しずつ以前とは違うものへ変わっていきます。
序盤を読んだ段階では、まだ「久しぶりに集まった3人」という印象が強いものの、この帰省はあくまで物語の始まりにすぎません。
主人公が帰ってきたことで、止まっていた3人の時間がもう一度動き出す。
『ムチなじみ3』がどんな作品なのかを最初に押さえるなら、この部分が一番分かりやすいと思います。そして、この再会をきっかけに3人の距離がどこまで変わっていくのか。その答えが気になってくるところで、物語はさらに先へと進んでいきます。
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久しぶりに戻った故郷――変わらないようで変わっていた日常
幼なじみとの再会から始まった『ムチなじみ3』ですが、物語を追っていくと印象に残るのは、久しぶりに会ったはずなのに妙によそよそしくならない3人の関係です。
主人公が故郷へ戻ったところへ、まず姿を見せるのが「ひな」。久々の再会という状況ではあるものの、ひなは遠慮がちな態度を取るわけでもなく、主人公との間には以前から続いてきた気安さがあります。主人公の側もそんな彼女を特別扱いするというより、昔から知っている相手として自然に受け入れているため、この距離感から二人が長い付き合いであることが伝わってきます。
だからこそ、本作の「久しぶりの帰省」という設定が効いてきます。
離れていた期間があるからといって、それまで築いてきた関係まで消えてしまったわけではありません。顔を合わせれば昔のように話せるし、同じ場所で過ごしているうちに、離れていた時間が少しずつ埋まっていく。久々に地元へ帰ったとき、昔からの友人と会えば意外なほど簡単に当時の空気へ戻れることがありますが、それに近い感覚です。
ただし、すべてが昔のままというわけでもありません。
主人公が故郷を離れている間にも時間は流れており、ひなたちにもそれぞれの日常があります。そのため、懐かしい関係へ単純に戻っていくというより、昔から続いている距離の近さを残したまま、今の3人として新しい関係を作っていくところに、この続編ならではの面白さがあります。
さらに物語は帰省中の出来事だけで完結せず、時間の経過とともに学校での日常へも広がっていきます。序盤とは舞台や状況が変わっても3人のつながりは続いており、「久しぶりに再会しました」で終わる作品ではないことが分かります。
最初は懐かしい幼なじみとの再会だったはずが、一緒に過ごす時間が増えるにつれて、3人にとってそれが再び当たり前の日常になっていく。
では、一度離れていた3人が再び近くで過ごすようになったとき、その関係は以前と同じ場所へ戻るのか、それともまったく別の形へ変わっていくのか。
『ムチなじみ3』は、その変化を追いかけていくところにも続編としての見どころがあります。
ひな・エナと主人公、3人だから生まれる独特の距離感
故郷へ戻った主人公と幼なじみの再会。その先で『ムチなじみ3』の物語を支えているのが、主人公を中心とした「ひな」と「エナ」、この3人ならではの関係です。
ひなは主人公と昔から付き合いのある幼なじみで、久しぶりに会っても遠慮が先に立つタイプではありません。思ったことを表情や態度に出しやすく、主人公との会話にも長い付き合いだからこその近さが見えてきます。一方のエナも前作から登場している人物であり、この二人と主人公の関係がすでに出来上がった状態から始まるのが、本作を読み進めやすくしている部分でもあります。
というのも、3人の間には「これから仲良くなっていく」という段階がほとんどありません。
お互いの性格を知っていますし、少しくらい踏み込んだやり取りをしても関係そのものが揺らがない。誰か一人だけが主人公と距離を縮めていくというより、最初から3人でいることが自然な関係として描かれているため、物語にも独特の気安さがあります。
そして、この関係が帰省中だけの一時的なものではないところもポイントです。
物語が進んで時間が経過すると、舞台は学校での日常へ移っていきます。そこでも3人の関係は続いており、ひなとエナが一緒に行動する場面も描かれています。つまり、今回の再会を境に昔の関係を少しだけ懐かしんで終わるのではなく、3人で過ごす時間そのものが再び日常へ組み込まれていくわけです。
ここまで来ると、最初に描かれた「久しぶりの帰省」の見え方も少し変わってきます。
主人公にとっては何気ない帰省だったとしても、ひなとエナに再会したことで、それまで離れていた3人の生活がもう一度つながっていく。その変化を大げさな出来事として描くのではなく、昔から知っている者同士の自然なやり取りの延長として見せているからこそ、3人の距離感にも説得力があります。
だからこそ気になってくるのが、ここまで距離の近い3人が、この先どんな日常を作っていくのかという部分です。
ひなだけでも、エナだけでも成立しない。主人公を含めた3人がそろっているからこそ生まれる空気があり、その関係が再会後にどう変わっていくのかを追えるところに、『ムチなじみ3』ならではの面白さがあります。
再会だけでは終わらない『ムチなじみ3』の面白さ
ここまで3人の関係を追ってくると、『ムチなじみ3』が単純に「幼なじみと久しぶりに再会する作品」ではないことも見えてきます。
物語の入口こそ主人公の帰省ですが、それをきっかけに戻ってきた3人の時間は、その場限りでは終わりません。しばらく離れていた主人公がひなやエナと再び一緒に過ごすようになり、やがて学校での日常へと舞台が移っても、その関係はそのまま続いていきます。
この流れがあるからこそ、本作では「再会した瞬間」よりも、再会したあとに3人がどうなっていくのかが気になってきます。
もともと気心の知れた幼なじみなので、主人公とひなたちの間には最初から一定の近さがあります。それでも、一度離れていた時間を経て再び同じ日常を過ごし始めれば、以前とまったく同じ関係に戻るとは限りません。むしろ、昔から知っている相手だからこそ、少しずつ変わっていく距離感が際立って見えてきます。
さらに面白いのは、ひなとエナのどちらか一人に物語を絞るのではなく、最後まで「3人」というまとまりが強く意識されているところです。
主人公がひなと再会するところから始まり、エナも加わり、時間が経って環境が変わっても3人のつながりは続いていく。終盤まで読み進めると、序盤ではまだ「久しぶりに会った幼なじみたち」だった3人が、以前よりもずっと近い関係へ変化していることが分かります。
ただ、その変化を最初から最後まで順番に知ってしまうと、この作品を読む楽しみはかなり薄れてしまいます。
帰省した主人公をひなが訪ねてきたところから、いったい何があって3人はそこまで距離を縮めていくのか。そして、一度離れていた幼なじみたちは最終的にどんな関係へたどり着くのか。
**最初と最後では、同じ3人を見ているはずなのに関係の見え方がかなり変わっている。**その間に何があったのかを追っていくことこそ、『ムチなじみ3』を最後まで読む面白さの一つになっています。
『ムチなじみ3』はこんな人に向いている
ここまで紹介してきた通り、『ムチなじみ3』は幼なじみとの再会をきっかけに、主人公・ひな・エナの3人が再び同じ時間を過ごしていく作品です。
そのため、まず相性が良いのは、初対面から少しずつ仲良くなる物語より、すでに信頼関係があるキャラクター同士のやり取りを楽しみたい人だと思います。久しぶりに顔を合わせても簡単には崩れない関係があり、そこから以前とは違った距離へ変化していくため、「幼なじみ」という設定が物語の中できちんと生かされています。
また、一人のキャラクターだけを中心に追いかけるというより、主人公・ひな・エナという3人の組み合わせそのものに惹かれる人にも向いています。
誰か一人が加わったときだけ空気が変わるのではなく、3人で一緒に過ごしている状態が自然に描かれているのが本作の特徴です。物語が進んで学校での日常へ移ってからも、この関係は続いていくため、帰省中の出来事だけを切り取った短いエピソードとは少し感触が違います。
そして、成人向け作品であっても、キャラクター同士の関係やそこへ至る流れも含めて楽しみたい人とは、特に相性が良さそうです。
本作の場合、主人公が帰省するところから始まり、ひなとの再会、エナを含めた3人の日常へとつながっていくので、物語を追うほど序盤とは関係の見え方も変わってきます。最初から最後まで同じ状況を繰り返すのではなく、時間の経過とともに3人の関係が進んでいく構成になっています。
逆に、前作までの経緯をまったく知らない状態だと、最初から距離の近い3人を見て「なぜここまで仲が良いのか」と感じる部分はあるかもしれません。ただ、本作の冒頭ではこれまでの関係について簡単に触れられているため、大まかな状況をつかんでから読み進めることはできます。
幼なじみとの再会が好きで、その後の関係が少しずつ変わっていく過程まで見届けたい。
そんな作品を探しているなら、『ムチなじみ3』はかなり分かりやすく候補に入る一本です。特に、ひなとエナを含めた3人の空気感が自分に合うかどうかで、本作への印象も大きく変わってくると思います。
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