『ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE』を10時間ほどプレイしてみて、かなり印象に残ったのが戦闘機を動かしたときの感触でした。
グラフィックが綺麗になったとか、新しいシステムが追加されたとか、分かりやすい進化はいくつもあります。ただ、実際に遊んでいると、それ以上に「戦闘機を飛ばしている」という感覚そのものが強くなっていることに気づきます。
基本的な操作は『ACE COMBAT 7』から大きく変わっていません。敵機を捉えてロックオンし、ミサイルを撃ち込みながら次の標的へ向かう。『7』を遊んでいる人なら、最初からそれほど戸惑わずに操作できると思います。
それなのに、飛ばしてみると感触はかなり違うんですよね。
特に分かりやすかったのが、機体を大きく旋回させたときです。スッと軽く向きが変わるのではなく、機体そのものの重さが乗っているような感覚があり、さらに風の抵抗を受けながら方向を変えていることまで伝わってきます。
『ACE COMBAT 7』にも機体ごとの違いはありましたが、今作では機体を傾けたり回転させたりする何気ない操作でも、そこにひとつ重みが加わった印象があります。かといって、リアルさを追求したフライトシミュレーターのように操作が難しくなったわけではありません。自分の思った方向へ気持ちよく飛べる『ACE COMBAT』らしさは、そのまま残されています。
だからこそ、敵機を追いかけているだけでも気持ちいい。
相手の背後へ回り込むために機体を傾け、高度を変えながらロックオンできる位置まで詰めていく。やっていること自体はシリーズではおなじみなのに、機体の重さや空気の抵抗が加わったことで、ひとつひとつの操作に「自分で飛ばしている」という手応えがあります。
この違いは、プレイ映像を見ているだけだと少し伝わりにくいかもしれません。映像ならグラフィックの進化はすぐ分かりますが、旋回したときの重さや風を受けている感触までは見えてこないからです。実際、10時間ほど遊んだ中でも、派手な新要素以上にこの部分が強く印象に残りました。
しかも、この飛行感覚が戦闘の気持ちよさだけで終わっていないのも『ACE COMBAT 8』の面白いところです。
仲間の声を聞きながら戦闘機を飛ばし、目の前では敵味方が入り乱れて戦い、その状況に合わせて音楽まで重なってくる。そこで機体を動かしているのは自分なので、ムービーを眺めているときとは違った形で戦場へ入り込んでいけます。
「空を飛ぶのが気持ちいい」というシリーズの根っこの部分を変えずに、その気持ちよさを一段深いところまで持っていった。
10時間プレイした段階で『ACE COMBAT 8』に感じている大きな変化は、まさにそこでした。
機体の重さと風の抵抗が「本当に戦闘機を操っている感覚」を生み出す
『ACE COMBAT 8』の飛行感覚がこれまで以上に印象へ残るのは、単純に機体の動きを重たくしたからではありません。実際に操作していると、機体の重量だけでなく、その機体が空気の中を飛んでいることまで意識させるような感触があります。
特に違いを感じやすいのが、敵機を追いながら大きく旋回するときです。
機体を傾けて旋回へ入ると、そのまま狙った方向へスッと曲がるのではなく、重さを抱えた機体が風を受けながら向きを変えていくような感覚があるんですよね。さらにロールさせたときにも独特の重みがあり、ひとつひとつの動きから「今、自分は空中にある物体を動かしているんだ」と感じられます。
ここで面白いのが、リアルさを増したからといって、操作まで難しくなっているわけではないところです。
敵機が横を抜けていけばすぐに機首を向けられますし、急旋回しながら相手の背後へ回り込むような『ACE COMBAT』らしい動きもしっかり楽しめます。思い通りに飛ばせる気持ちよさを残しながら、その動きに機体の重量や空気の存在を感じさせる感触が加わっているので、操作していて窮屈さを感じるよりも、むしろ飛ばすこと自体が以前より楽しくなった印象でした。
『ACE COMBAT 7』を遊んでいると、この違いは余計に分かりやすいかもしれません。
『7』でも機体によって動き方には違いがありましたが、個人的には全体として軽快に動かせる印象が強く、言い方を変えれば、戦闘機そのものの重量を意識する場面はそれほど多くありませんでした。対して『8』では、旋回やロールといった普段から何度も繰り返す操作の中で、その機体を動かしている手応えが以前より強く返ってきます。
しかも、この変化があるからこそ、敵機を追い詰めてミサイルを撃ち込むまでの一連の動きも気持ちいいんです。
敵を見つけたら機体を傾け、相手の動きを追いながら少しずつ射線へ収めていく。ロックオンできる位置まで持っていき、タイミングを見てミサイルを放つという基本的な戦闘は変わっていないのに、その途中にある「飛ばす」という行為の手応えが増したことで、撃墜するまでの過程そのものが楽しく感じられました。
おそらく、この部分はスクリーンショットやプレイ動画だけを見ても伝わりにくいところです。グラフィックなら一目で比較できますが、機体を傾けた瞬間に感じる重さや、旋回するときに風を受けているような感触は、実際に操作して初めて分かります。
だからこそ『ACE COMBAT 8』を触ったとき、見た目が豪華になったという以上に、**「戦闘機を操って空を飛ぶゲームとして、感触そのものが変わった」**という印象が強く残りました。
特殊兵装2種類と僚機への指示でミッションそのものが面白くなった
飛ばしているだけでも気持ちいい『ACE COMBAT 8』ですが、10時間ほど遊んでみると、操作感だけでなく戦闘の組み立て方にもかなり手が入っていることが分かりました。
その中でも大きいのが、特殊兵装を2種類装備してミッションへ出撃できるようになったことです。
『ACE COMBAT』の特殊兵装には、空中の敵を狙いやすいものもあれば、地上目標への攻撃に向いているものもあります。これまでは何を持っていくかによって得意な状況がある程度決まっていましたが、『8』では2種類を持ち込めるため、戦況に合わせて対応しやすくなっています。
単純に「武器がひとつ増えて便利になった」と考えると小さな変更にも見えるのですが、実際に遊んでみると、この恩恵はかなり大きいんですよね。
たとえば空中戦を意識した特殊兵装を選んだ状態でも、もう一方に対地攻撃へ対応できるものを用意しておけば、地上目標が現れたときに無理なく切り替えられます。逆に対地攻撃を優先して出撃したとしても、空から敵機が迫ってきたときの選択肢を残しておけるので、ひとつのミッションの中で戦い方を切り替えやすくなりました。
しかも、特殊兵装を2種類持てることを前提としてミッション側にも幅を持たせているため、プレイヤーだけが一方的に強くなったような感覚はありません。空と地上の両方へ意識を向ける場面を作りやすくなり、その結果として戦闘の展開そのものに変化をつけられるようになっています。
もうひとつ印象に残ったのが、僚機へ指示を出せるようになったことでした。
これまでのように自分が次々と敵を撃墜していくだけではなく、状況に応じて仲間の力も借りながら戦えるので、同じ空を複数の機体で飛んでいる感覚が以前より強くなっています。ミッションによっては、この僚機への指示をうまく使いながら戦う場面もあり、単なる雰囲気作りだけで終わっていないのも良かったところです。
これは物語の見せ方とも相性が良くて、無線から仲間の声が聞こえているだけではなく、その仲間が実際に自分と同じ戦場で動いていることを意識しやすくなりました。
一人ですべてを片付けるエースとしての気持ちよさは残しながら、その周囲には一緒に戦っている仲間がいる。特殊兵装の使い分けも含めて、戦況を見ながら次の行動を考える場面が増えたことで、空中戦の忙しさがそのまま面白さにつながっています。
新しいシステムを大量に追加して別のゲームへ変えるのではなく、『ACE COMBAT』で元々気持ちよかった部分を残しながら、戦場で取れる選択肢を増やしている。
10時間ほど遊んだ範囲では、この調整がミッションごとの変化を作るうえでかなり効いていると感じました。
今作の本当の魅力は戦闘・物語・音楽が一つになった瞬間にある
特殊兵装や僚機への指示によって戦い方の幅が広がった一方で、10時間ほど遊んで特に印象へ残ったのは、個々のシステムとは少し違う部分でした。
戦闘そのものが面白いのはもちろんですが、『ACE COMBAT 8』には、自分が操作している戦闘と物語がうまく重なった瞬間、一気にその世界へ引き込まれるような感覚があります。
ストーリーは基本的にプレイヤーの一人称視点で進み、戦闘中にも仲間たちの会話が飛び交います。ムービーを見て物語を理解してからミッションを攻略するというより、戦闘機を操っている時間そのものが物語の一部になっているんですよね。
特に強く印象へ残ったのが、あるミッションで仲間と一緒に戦っていたときでした。
戦場では敵味方の戦闘機が入り乱れ、その中で音楽が流れ、無線から仲間たちの声が聞こえてくる。そして戦いが続く中で味方が撃墜され、残された仲間たちの感情も揺れていくのですが、プレイヤーはそこで立ち止まっているわけにはいきません。
目の前にはまだ敵がいて、自分は戦闘機を操り続けなければならない。
仲間の声を聞きながら敵機を追い、機体を旋回させて照準へ収め、ミサイルを撃つ。その一連の操作を自分で続けているからこそ、戦場で起きている出来事が単なるイベントではなく、自分が参加している出来事として入ってきます。
ここが『ACE COMBAT 8』の面白いところで、決して分かりやすく泣かせようとする場面だけで感情を動かしているわけではありません。
仲間との会話があり、音楽が流れ、その目の前では戦闘が続いている。さらに自分自身も機体を動かして、その戦闘へ参加している。それぞれ単独では珍しくない要素なのに、すべてが同じタイミングで噛み合ったとき、急に戦場との距離が近くなるんです。
最初に触れた機体の重さや風の抵抗も、こういう場面になると単なる操作感の進化ではなくなってきます。
自分で機体を飛ばしている感触が強くなったからこそ、無線から聞こえる仲間の声にも現実味が出てくるし、その中で敵機を追い続けなければならない状況にも緊張感が生まれる。ゲーム側から「ここは感動する場面です」と強く押されるのではなく、プレイしているうちに自然と感情が乗ってくる作りになっています。
実際、このミッションでは自分でも少し驚くくらい感情を持っていかれました。ストーリーだけを切り取って見たからではなく、物語を聞きながら自分の手で戦い続けた時間まで含めて、一つの体験になっていたからだと思います。
『ACE COMBAT 8』の没入感という言葉が一番しっくりくるのは、こうした瞬間なのかもしれません。
キャラクター同士の会話が増えたことで一本の物語として入り込みやすい
戦闘と物語が自然に重なって感じられるのは、今回のストーリーがプレイヤーを置いていかない作りになっていることも大きいと思います。
『ACE COMBAT 8』では、中央ユージア連合、通称FCUが侵攻を受けて国土の大半を失ったところから物語が始まります。プレイヤーはFCUにとって希望の象徴でもある「シーヴの翼」の名を背負い、仲間たちとジョーカー隊を結成。奪われた祖国を取り戻すため、戦いへ身を投じていくことになります。
こうして設定だけを見ると、国家間の戦争を扱ったかなり大きな物語です。ただ、実際にプレイしていると政治情勢や設定を延々と説明される感覚はそれほどなく、むしろ印象に残るのは一緒に飛ぶキャラクターたちでした。
『ACE COMBAT 7』と比べても仲間同士の掛け合いが増えていて、ミッションから次のミッションへ進む流れにもつながりを感じやすくなっています。そのため、一つひとつの作戦を個別に攻略しているというより、ジョーカー隊として戦い続ける一つの物語を追っている感覚が強いんですよね。
会話の作り方も少し独特です。
何もかも丁寧に説明するような台詞ではなく、どこかドライだったり、少し間を残すような言い回しがあったりする。それでも冷たい印象にはならず、戦場という日常から離れた場所で生きている人たちだからこそ出てくる距離感のようなものが感じられます。
この「全部を言葉で説明しない」という作りが、戦闘中には特に効いてきます。
仲間が何を感じているのかを長い台詞で説明されなくても、無線越しの短いやり取りや声の変化を聞きながら戦っていると、その場で起きていることが少しずつ伝わってくる。そこへ自分が実際に操作している戦闘が重なるため、物語を外側から眺めるのではなく、同じ部隊にいる一人として受け取りやすくなっています。
ムービーシーンも、ただ映像を見せられるだけではありません。基本的にはプレイヤーの一人称視点で物語が描かれ、場面によっては自分でカメラを少し動かせるため、ここでも「主人公を外から眺める」という距離の取り方になりにくい作りです。
そして戦闘へ戻れば、先ほどまで話していた仲間たちの声が今度は無線から聞こえてくる。
このつながりがあるので、キャラクターが単なる作戦中の音声ではなく、「さっきまで同じ場所にいた仲間」として少しずつ身近になっていきます。だから誰かの身に何かが起きたときにも、それまで積み重ねてきた会話が効いてくるんですよね。
派手な空中戦が中心にありながら、気がつけばジョーカー隊の仲間たちにも意識が向いている。『ACE COMBAT 8』は戦闘の没入感だけでなく、その戦場を誰と飛んでいるのかまで感じさせることで、キャンペーン全体を一本の物語として追いやすくしているように感じました。
シリーズ経験が浅くても『ACE COMBAT 8』には入り込める
ここまで飛行感覚や戦闘システム、ストーリーについて触れてきましたが、『ACE COMBAT 8』を遊んでいて感じたのは、シリーズを長く追い続けてきた人だけに向けた作品ではないということでした。
自分自身、『ACE COMBAT』シリーズをすべて遊んできたわけではなく、しっかり触れた作品でいえば『ACE COMBAT 7』が中心です。それでも基本操作で迷うことはほとんどなく、むしろ10時間ほど遊んだ時点では、想像していた以上にキャンペーンへ入り込んでいました。
フライトシューティングと聞くと、戦闘機の知識が必要だったり、複雑な操作を覚えなければならなかったりと、少し難しそうな印象を持つ人もいると思います。
ただ、『ACE COMBAT 8』で求められるのは、本格的なフライトシミュレーターのように大量の操作を覚えることではありません。敵を捉えてロックオンし、ミサイルを撃つという基本的な流れは分かりやすく、機体も自分の入力に対して素直に動いてくれます。
その入りやすさを残したうえで、機体の重さや風の抵抗といった感触が加わっているから、操作に慣れてくるほど飛ぶこと自体が面白くなっていくんですよね。
もちろん、シリーズ経験者だからこそ気づける変化もあると思います。特殊兵装を2種類持ち込めるようになったことや僚機への指示、機体のカスタマイズなど、これまでの遊び方を知っているほど違いを感じやすい部分も用意されています。
一方で、それらを最初からすべて理解していなければ楽しめないわけではありません。
敵機とのドッグファイトでは相手の背後を取ろうと夢中になり、地上目標が現れれば攻撃方法を切り替える。そこへ仲間たちの無線が飛び交い、音楽やストーリーまで重なってくるので、「シリーズの知識があるから面白い」というより、まず目の前で起きている戦闘そのものに引っ張られていきます。
個人的には、この入りやすさがかなり大きかったです。
戦闘機に詳しくなくても、自分で機体を操って大空を飛び、敵を追いかける気持ちよさはすぐに味わえる。そのうえでキャンペーンを進めるほど仲間たちの存在が身近になり、気がつけば戦闘の結果だけでなく、その先の物語まで気になるようになっていました。
シリーズを知らないから楽しめない作品というより、『ACE COMBAT』に触れるきっかけとしても入りやすい作りになっている。
少なくとも10時間プレイした時点では、普段フライトシューティングをあまり遊ばない人にも、この空を自分で飛ばしてみてほしいと思える作品でした。
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