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FF7リバースは爆死したんじゃなかったの?スクエニ最新決算を見たら予想外すぎる結果になっていた

FF7リバースは爆死したんじゃなかったの?スクエニ最新決算を見たら予想外すぎる結果になっていた

ここ数年のスクエニに対して、皆さんはどんな印象を持っているでしょうか。

少なくとも私は、以前ほど盤石ではないという印象を持っていました。大型タイトルを発売しても期待されたほど売上が伸びなかったと言われたり、長い開発期間と膨らみ続ける開発費が問題視されたり、スマホゲームもサービス終了が相次いだりと、どちらかといえば明るい話よりも厳しい話を耳にする機会が増えていたからです。

その象徴のように扱われていたのが、2024年にPS5で発売された『FINAL FANTASY VII REBIRTH』でした。

ゲーム自体の評価は非常に高かった一方、国内パッケージ版の初週販売本数は26万2656本。前作『FF7 リメイク』が初週約70万本を記録していたこともあり、発売直後には「FF7なのに売れていない」「FFブランドそのものが弱くなったのでは?」といった声がかなり目立っていました。

私自身、FF7リバースは実際に遊んでかなり楽しめた作品だっただけに、この扱われ方には少し複雑なものがありました。もちろん、26万本という数字だけを過去作品と比べれば物足りなく見えるのも分かりますし、FF7という名前を背負った大作である以上、もっと売れると思っていた人が多かったのも無理はありません。

ところが、です。

2026年8月に発表されたスクウェア・エニックス・ホールディングスの最新決算を見ると、そんなイメージとはかなり違う数字が並んでいました。

2027年3月期第1四半期の売上高は784億2300万円で前年同期比32.3%増、営業利益は170億800万円で88.6%増。さらにゲームを中心とするデジタルエンタテインメント事業に限れば、売上高499億6000万円、営業利益155億8300万円という結果になっています。

つまり、「最近のスクエニはかなり厳しいのでは?」と思っていたところに、いきなりゲーム事業を中心とした大幅な増収増益が出てきたわけです。

しかも今回の決算で興味深いのは、単純に利益が増えたという話だけではありません。

あれだけ「売れていない」「爆死した」と言われていたFF7リバースが、Switch2やXbox、Windowsへのマルチプラットフォーム展開を経て、HDゲーム部門の増収を支えたタイトルとして名前を挙げられているのです。

となると、当然ひとつの疑問が出てきます。

FF7リバースって、本当に爆死していたのか?

今回はスクエニの最新決算を追いながら、ゲーム事業で何が起きているのか、そして発売当初の数字だけでは見えなかったFF7リバースの現在地について掘り下げていきます。

スクエニ最新決算、売上784億円・営業利益170億円という予想外の結果に

では、実際に今回発表されたスクエニの決算がどれほどのものだったのか、まずは全体の数字から見ていきます。

2027年3月期第1四半期の売上高は784億2300万円で、前年同期比32.3%増。営業利益についても170億800万円となり、こちらは前年同期比88.6%増を記録しています。さらに経常利益は187億600万円で前年同期比172.4%増となっており、売上が伸びただけではなく、利益面でもかなり大きな伸びを見せる結果となりました。

正直、この数字を見たときは「思っていたスクエニと全然違うな」というのが最初の感想でした。

というのも、ここ最近のスクエニを振り返ってみると、大型タイトルを投入している割には売上が伸びていないという話が出たり、開発期間の長期化や開発費の高騰が問題視されたりと、あまり景気のいい話ばかりではなかったからです。FFシリーズについても以前ほどの勢いがなくなったと言われる機会が増え、スマホゲームではサービス終了が続いたこともあって、「スクエニ、大丈夫なのか?」と感じていた人は少なくなかったと思います。

ところが蓋を開けてみれば、売上高は3割以上増え、営業利益は約9割増。しかも今回のように第1四半期で増収増益となったのは久しぶりのことで、少なくとも数字だけを見る限り、これまで漂っていた悲観的なイメージとはかなり違う結果が出ているわけです。

さらに興味深いのが、今回のタイミングでは『ドラゴンクエストXII』のような超大型タイトルが発売され、その売上によって一気に数字が跳ね上がったわけではないという点です。

たとえば、ドラクエ12やFFの完全新作が発売された直後であれば、「大型タイトルが当たったから業績が伸びたんだな」と理解できます。それなら特別不思議な話でもありませんが、今回はそうではありません。

それでもスクエニ全体で大幅な増収増益を達成している。

となると、いったい何がこれだけ数字を押し上げたのかが気になってきますよね。

そこで事業別の数字まで追っていくと、今回の決算がさらに面白くなってきます。実はスクエニ全体の好調を引っ張っていた中心には、出版やアミューズメントではなく、私たちゲーマーにとって最も馴染みのある「ゲーム事業」がありました。

一番伸びていたのはゲーム部門、営業利益155億円という数字のインパクト

では、スクエニ全体の業績をここまで押し上げたのは何だったのか。事業別の数字を見ていくと、その答えはかなり分かりやすいものでした。

今回とくに大きく伸びているのが、家庭用ゲームやスマホゲーム、MMOなどを含むデジタルエンタテインメント事業です。

売上高は499億6000万円で前年同期比51.8%増、営業利益に至っては155億8300万円で91.8%増。先ほど触れたスクエニ全体の営業利益が170億800万円ですから、その大部分をゲーム部門だけで稼いでいることになります。

これだけでも十分インパクトのある数字ですが、家庭用ゲームを中心とするHDゲームまで絞ってみると、今回何が起きていたのかがさらに見えやすくなります。

HDゲームの売上高は177億円となり、前年同期から88億円増加。営業利益についても61億円で、こちらは前年同期から51億円増えています。単純にゲーム部門全体が少しずつ底上げされたというより、家庭用ゲームの伸びがかなり強く効いていることが分かる数字です。

そして、ここからが今回の決算で個人的に一番面白いところでした。

HDゲームが増収増益となった理由として挙げられているタイトルのひとつが、Nintendo Switch 2、Xbox、Windowsへと展開された『FF7リバース』だったからです。ほかにも『冒険家エリオットの千年物語』などの新作や、過去に発売されたカタログタイトルの販売増加が業績に貢献しています。

ここで、冒頭の話につながってきます。

FF7リバースといえば、PS5版発売当初は国内パッケージ初週26万2656本という数字ばかりが注目され、「FF7でこの売上は厳しい」「リメイク三部作は失速している」とまで言われたタイトルです。

それが約2年後、プラットフォームを広げたことでスクエニのHDゲーム事業を押し上げるタイトルのひとつとして名前が出てくる。発売当初の空気を覚えている人ほど、「あれ、思っていた話と違うぞ」と感じる部分ではないかと思います。

もちろん、ここだけを切り取って「FF7リバースだけでスクエニの業績がここまで伸びた」と考えるのは違います。今回の増収には新作だけでなくカタログタイトルの販売増加など複数の要因があり、ゲーム部門全体の好調を一作品だけの成果として扱うことはできません。

ただ、それを踏まえても、発売当初に“爆死”とまで言われたFF7リバースが、その後のマルチプラットフォーム展開を経て増収要因として挙げられている事実は無視できないところです。

では、そもそもなぜFF7リバースは、ここまで「売れなかったゲーム」というイメージを持たれてしまったのか。

次は発売当時まで少し時間を戻して、あの「初週26万本」という数字を改めて見ていきます。

FF7リバースは「爆死」と言われていたが、本当に売れていなかったのか

ここまで決算の数字を見てくると、やはり気になってくるのが『FF7リバース』の存在です。

そもそもFF7リバースが「爆死した」「思ったほど売れなかった」と言われるようになった大きなきっかけは、2024年2月の発売直後に発表された国内パッケージ版の販売本数でした。

初週販売本数は26万2656本。

普通のゲームであれば十分にヒットと呼べそうな数字ですが、何しろ相手は『FINAL FANTASY VII』です。しかも単なる新作ではなく、世界的な知名度を持つFF7を現代の技術で作り直すリメイク三部作の第2作ということもあり、期待されていたハードルそのものがかなり高かったんですよね。

実際、2020年に発売された前作『FF7 リメイク』は国内パッケージ版だけで初週約70万本を販売していました。さらに『FF16』も国内初週で約33万本だったため、それらと並べてしまうとFF7リバースの26万本が少なく見えてしまうのも無理はありません。

前作から半分以下になっているとなれば、「三部作にしたことでユーザーが離れたのではないか」「PS5だけで発売したことが失敗だったのではないか」と考える人が出てくるのも自然ですし、そこから「FFブランドそのものが弱くなった」という話にまで広がっていったのも、当時の数字だけを見れば理解できる部分はあります。

ただ、ここにはかなり大きな落とし穴があります。

26万2656本という数字は、あくまで日本国内におけるPS5版の初週パッケージ販売本数であって、FF7リバースというゲームの世界累計販売本数ではありません。ダウンロード版はもちろん海外市場も含まれていないため、この数字だけを使って作品全体の成否を判断するには、最初から見えていない売上がかなり存在していたことになります。

そして発売から時間が経った現在、この部分が当初考えられていた以上に重要だった可能性が出てきました。

FF7リバースはPS5版だけで終わらず、その後Nintendo Switch 2、Xbox、Windowsへと販売先を広げています。さらに開発に携わる浜口氏からも、FF7リメイクシリーズについて想定以上の売上を記録しているという趣旨の発言が出ており、少なくとも開発側が「想定を大きく下回った失敗作」と捉えている状況ではなさそうです。

もちろん、ここで注意したいのは、FF7リバースの正確な世界累計販売本数が明らかになったわけではないということです。具体的な本数が公表されていない以上、「実は○百万本売れていた」と断定することはできません。

それでも、今回の決算ではマルチプラットフォーム展開されたFF7リバースがHDゲーム部門の増収要因として実際に名前を挙げられています。

発売当初には26万本という数字から「爆死」とまで言われていた作品が、時間を置いて販売先を広げた結果、今度はスクエニの増収を支える側として出てくる。こうして振り返ってみると、FF7リバースの売上をめぐる評価は、発売直後に考えられていたほど単純な話ではなかったのかもしれません。

そして、この話をさらに掘り下げていくと、FF7リバースだけではなく、現在のゲーム市場そのものを考えるうえで無視できない変化が見えてきます。

それが、パッケージ版とダウンロード版の販売比率です。

PS5版26万本だけでは分からない、パッケージ販売本数でゲームを語れなくなった理由

先ほど触れたように、FF7リバースが「売れていない」と言われる大きな根拠になったのが、PS5版の国内初週26万2656本という数字でした。

ただ、ここで改めて考えたいのが、今のゲーム市場においてパッケージ版の販売本数がどこまで全体を映しているのか、という点です。

スクエニが公開している販売データを見ると、この数年でパッケージ版とダウンロード版の比率にはかなり大きな差が生まれています。2026年3月期では、日本国内に限るとダウンロード版がパッケージ版の約8倍、全世界で見ても約6倍という比率になっていました。

さらに2027年3月期になるとその差は一段と広がり、全体ではダウンロード版がパッケージ版の約9倍にまで達しています。

ここまで比率が変わっているとなると、パッケージ版だけを見て「このゲームは売れた」「これは爆死した」と判断すること自体が、かなり難しくなってきます。

もちろん、だからといってFF7リバースの初週26万本に、そのまま6倍や9倍を掛ければ本当の販売本数が分かるという話ではありません。この比率はスクエニが販売したタイトル全体から出ている数字なので、FF7リバース単体にも同じ割合が当てはまるとは限らないからです。

それでも、発売当初に見えていた26万本がFF7リバース全体の売上のごく一部分だった、という点は意識しておく必要があります。

とくにFFシリーズのように海外での販売規模が大きいタイトルの場合、日本のパッケージ市場だけを切り取ると実態とのズレはさらに大きくなります。そこへ現在はPC市場も加わり、FF7リバースの場合はPS5だけでなくNintendo Switch 2やXboxにも販売先を広げました。

つまり、2024年の発売直後に私たちが見ていた「国内PS5パッケージ版26万本」という数字と、現在のFF7リバースが商売として持っている規模は、そもそも比べる対象がかなり違っているんですよね。

実際、FF7リメイクシリーズについては、PC市場の強さが販売数字にも表れているという趣旨の話が開発側から出ています。とくに中国やシンガポール、マレーシアなどを含む地域ではPC市場が強く、英語圏に匹敵するほどの規模があるとされています。

こうして考えてみると、FF7リバースをめぐって発売当初に起きていたことは、作品そのものが売れていなかったというより、私たちが目にしやすかった販売本数と、実際の市場全体との間に大きなズレがあったと考えたほうが自然なのかもしれません。

昔であれば、ゲームショップで何本売れたのかを追っていけば、そのタイトルの勢いをある程度つかめました。しかし、ダウンロード販売がここまで大きくなり、さらに家庭用ゲーム機とPCをまたいで世界同時に売る時代になると、国内パッケージ版だけを見ても全体像はほとんど見えてきません。

FF7リバースは、まさにその変化を分かりやすく見せてくれたタイトルだったように思います。

そしてスクエニ自身も、こうした市場の変化に合わせるように販売戦略を変えています。FF7リバースがPS5だけに留まらず、Nintendo Switch 2、Xbox、Windowsへと一気に広がったことを考えると、今回の好決算はその方針が少しずつ数字として表れ始めた結果とも考えられます。

Switch2・Xbox・PCへのマルチ展開が成功、スクエニ自身もFF7リバースを増収要因に挙げる

ここまで見てきたように、FF7リバースは発売当初の国内パッケージ販売本数だけでは、その後を含めた売れ行きを判断しにくいタイトルになっています。

そして、もうひとつ見逃せないのが、スクエニが進めたマルチプラットフォーム展開です。

FF7リバースは2024年にPS5向けとして発売されましたが、その後はPS5だけに留まらず、2026年6月にNintendo Switch 2、Xbox、Windowsへと展開されました。つまり、発売から時間を置いて販売できる市場そのものを一気に広げたわけです。

そして今回の決算を見る限り、この動きはきちんと数字にも表れているようです。

HDゲーム部門が増収増益となった要因として、Nintendo Switch 2、Xbox、Windows向けのFF7リバースが挙げられており、新作タイトルやカタログタイトルの販売増加とともに業績へ貢献しています。少なくとも「ほかのハードに出してみたものの、ほとんど結果につながらなかった」という状況ではありません。

ここは、発売当時を知っているとかなり印象が変わるところなんですよね。

2024年当時はPS5独占だったことから、「遊びたいけれどPS5を持っていない」という人は当然購入できませんでした。FF7という作品自体には興味があっても、その一本のためにハードまで購入するとなれば話は別ですし、三部作の第2作という立ち位置まで考えると、新規ユーザーが途中から入りにくいという問題もあります。

そう考えると、FF7リバースが発売直後だけで爆発的に売れるタイプの作品ではなく、対応ハードを増やしながら長期間かけて販売本数を積み上げていくタイトルになったのは、そこまで不思議なことでもありません。

とくに重要なのがPCです。

FF7リメイクシリーズについては、地域による差だけではなくPC市場そのものの強さが販売数字に表れているという趣旨の話も出ています。中国やシンガポール、マレーシアなどを含む地域ではPC市場が強く、英語圏に匹敵するほどの規模があるとされており、PS5だけで販売していた時期には届かなかったユーザーへアクセスできるようになった意味はかなり大きかったはずです。

もちろん、今回の決算だけを見て「Switch2版が○万本、Xbox版が○万本、PC版が○万本売れた」といった内訳までは分かりません。スクエニからFF7リバース単体の最新累計販売本数も公表されていないため、そこは推測と事実を分けて考える必要があります。

それでも、ひとつ確かなのは、マルチプラットフォーム化されたFF7リバースが実際に増収要因として挙げられていることです。

そうなると、「FF7リバースは爆死した」という発売当初の評価も、少し見方を変える必要が出てきます。

PS5で発売した最初の一週間だけを切り取れば、確かに過去のFFと比べて寂しい数字に見えました。ただ、その後もPCへ、Switch2へ、Xboxへと販売先を広げ、長期的に売上を積み上げているのであれば、発売直後の数字だけで成否を決めてしまうのはさすがに早かったと言えそうです。

そして、この流れはFF7リバースだけの話ではありません。

むしろ今回の決算を見ていると、スクエニがここ数年進めてきた「特定のハードだけに頼らず、より多くのユーザーへゲームを届ける」という方向性そのものが、ようやく数字として見え始めたようにも感じます。

そう考えると、次に気になるのはひとつです。

スクエニが進めている“脱・PS独占”という方針は、本当に正しかったのか。

今回の決算は、その答えを考えるうえでもかなり興味深い材料になっています。

スクエニが進めてきた「脱・PS独占」は正しかったのかもしれない

FF7リバースがマルチプラットフォーム展開によって再び売上を伸ばしていると考えると、もうひとつ触れておきたいのが、スクエニの販売戦略そのものです。

かつてのスクエニ、とくにFFシリーズではPlayStationを中心とした展開が当たり前になっていました。FF7リバースも2024年の発売時点ではPS5向けだったため、作品に興味を持っていたとしても、PS5を所有していなければ遊べない状況だったわけです。

もちろん、特定のハードに絞って開発すること自体が悪いわけではありません。対応機種を限定すれば最適化しやすくなりますし、ハードの性能を活かしたゲーム作りにも集中できます。FF7リバースほど規模の大きな作品なら、開発面で得られるメリットも少なくなかったはずです。

ただ、売上という視点に切り替えると話は変わってきます。

FF7リバースは前作を遊んでいることがほぼ前提となる三部作の第2作で、そこへ「PS5を持っている」という条件まで加わります。ただでさえ続編は新規ユーザーが入りにくいのに、購入できるユーザーまで限定されていたとなれば、初動が前作より落ちるのはある意味で自然な流れだったとも考えられます。

だからこそ、その後にNintendo Switch 2、Xbox、Windowsまで展開した意味は大きかったのだと思います。

PS5を持っていなかった人はSwitch2やXboxで遊べるようになり、家庭用ゲーム機をあまり使わない人にはPCという選択肢が生まれる。それまで「FF7リバースを遊びたいけれど、対応ハードを持っていない」という理由で購入に至らなかったユーザーを、ようやく拾えるようになったわけです。

そして、その結果が今回の決算にも表れています。

HDゲーム部門の増収増益について、FF7リバースのNintendo Switch 2、Xbox、Windows向け展開が要因のひとつとして挙げられています。もちろんFF7リバースだけで業績が伸びたわけではありませんが、マルチプラットフォーム化したタイトルが売上に貢献したという事実は、今後のスクエニを考えるうえでもかなり重要です。

さらにPC市場の存在も無視できません。

FF7リメイクシリーズではPC市場の強さが販売数字にも表れているとされ、中国やシンガポール、マレーシアなどを含む地域では英語圏に匹敵するほどPC市場が強いという話も出ています。そうなると、世界的に知名度のあるFFをPlayStationだけで販売し続けることは、それだけ大きな市場を取りこぼすことにもつながります。

そう考えると、スクエニが販売先を広げる方向へ舵を切ったことには、かなり納得感があります。

とくに今のAAAタイトルは開発規模が大きくなり、一本完成させるまでに莫大な時間とコストがかかります。それなら、完成したゲームをひとつのハードだけで売るより、可能な限り多くのプラットフォームへ届け、数年間かけて開発費を回収していくほうが合理的です。

FF7リバースの動きを見ていると、まさにその売り方へ変わりつつあるように感じます。

2024年のPS5版発売時点だけを見れば、「前作より大幅に売上が落ちた」という印象が強かった。しかし、その後にPCへ広がり、さらにSwitch2とXboxにも展開したことで、発売から2年以上が経過しても売上を積み上げている。そして今回、スクエニ自身の決算でも増収要因として名前が出てきました。

となれば、FF7リバースは発売初週で一気に回収するタイトルというより、複数のハードへ展開しながら長期間売り続けることで価値を最大化するタイトルになった、と考えたほうが実態には近そうです。

少なくとも今回の決算を見る限り、スクエニが進めているマルチプラットフォーム戦略は、ひとつの方向性として成果が見え始めているように思います。

ただ、ここまで来るとやはり知りたくなるのが、「じゃあFF7リバースって、結局どれくらい売れたの?」という部分です。

残念ながら正確な累計販売本数は公表されていませんが、今回明らかになったパッケージ版とダウンロード版の比率を手掛かりにすると、発売当初に見えていた26万本よりはるかに大きな市場で売れている可能性が見えてきます。

FF7リバースは結局何本売れた?決算資料から販売規模を考察する

ここまで来ると、やはり一番知りたいのは「FF7リバースは結局何本売れたのか」という部分ですよね。

ただ、先に結論から言ってしまうと、現時点でFF7リバースの正確な世界累計販売本数は公表されていません。そのため、ここから先は確定した販売本数ではなく、公開されている数字から「どのくらいの規模まで伸びている可能性があるのか」を考える話になります。

その手掛かりになるのが、先ほども触れたパッケージ版とダウンロード版の販売比率です。

2026年3月期では全体でダウンロード版がパッケージ版の約6倍、2027年3月期ではさらに差が広がり、約9倍という比率になっています。FF7リバース単体の比率ではないので、そのまま当てはめることはできませんが、現在のスクエニ作品がパッケージ版よりも圧倒的にダウンロード版中心で売れていることは分かります。

仮に、かなり単純化して2026年3月期の「約6倍」という比率をFF7リバースにも当てはめてみます。

国内PS5版の初週パッケージ販売本数26万2656本を基準にすると、その6倍で約156万本、5倍として考えても約130万本です。もちろん、これはFF7リバースの実売本数を示しているわけではなく、あくまで「もし同じような比率だったら」という仮定に過ぎません。

ただ、この計算で重要なのは「FF7リバースは156万本売れた」と推測することではないと思っています。

むしろ注目したいのは、発売当時に私たちが見ていた26万本という数字だけでは、ダウンロード販売を含めた規模をほとんど捉えられていなかった可能性があることです。

しかも、これは国内PS5版の初週という極めて限定された数字です。

実際のFF7リバースには海外販売があり、その後も長期間にわたって販売されています。さらに現在はPCに加えてNintendo Switch 2、Xboxへと市場が広がっているため、それらをすべて合わせれば、発売直後に見えていた数字とは相当違った景色になっていても不思議ではありません。

一方で、海外ではさらに強気な推測も出ています。

PS5とPCだけで470万~500万本、そこへSwitch2版の80万~120万本、Xbox版の30万~50万本を加え、累計620万~700万本ほどに到達しているのではないか、という見方です。

ただし、この数字については慎重に見たほうがいいと思います。

細かな根拠まで明らかになっているわけではありませんし、スクエニが公式に「700万本売れました」と発表した数字でもありません。SNS上の推測と公式販売本数を同じものとして扱ってしまうと、今度は逆方向に実態を見誤ることになります。

そのため、現段階で言えるのは「FF7リバースが何百万本売れた」と断定することではなく、発売当初に広がった“国内初週26万本=爆死”という評価だけでは説明できない状況になっている、というところまでです。

開発側からはFF7リメイクシリーズが想定以上の売上を記録しているという趣旨の発言があり、今回の決算でもFF7リバースは増収要因として名前が挙がっています。これらを合わせて考えると、少なくともスクエニ側の想定から大きく外れた失敗作だった、と見るのはかなり難しくなってきました。

それに、FF7リバースにはもうひとつ特殊な事情があります。

本作はFF7リメイク三部作の真ん中にあたる作品なので、単体で完結するFFナンバリング作品より購入者が絞られやすい立場にあります。前作を遊んでいない人がいきなりリバースから入るケースは多くないはずですし、完結作を待って三部作をまとめて遊ぼうと考えている人もいるはずです。

そうした条件まで考えると、発売直後に爆発的な数字を出すことだけが、この作品の成功を測る基準ではないように感じます。

むしろFF7リバースの場合、三部作の完結へ向けてシリーズ全体でどこまで販売本数を積み上げられるのか、そちらを見る必要がありそうです。

発売当初には「26万本しか売れなかった」と騒がれたFF7リバース。しかし2年以上が経過した現在、その数字だけを見ていた頃とはかなり状況が変わってきました。

そしてスクエニ全体に目を戻すと、今回の好決算だけで何もかも解決したわけではありません。家庭用ゲームが伸びている一方、長年課題になってきたスマホゲームでは、また別の問題が見えています。

好決算でも安心はできない、スクエニに残されたスマホゲームという課題

ここまでの内容だけを見ると、「スクエニ、かなり復調しているじゃないか」と感じるかもしれません。

実際、今回の決算ではゲーム部門が大きく伸びていますし、FF7リバースのマルチプラットフォーム展開も増収要因として挙げられています。ここ最近のスクエニに対して漂っていた重苦しい雰囲気を考えれば、かなり明るい結果が出てきたのは間違いありません。

ただ、これでスクエニが抱えていた問題がすべて解決したのかというと、さすがにそこまでは言えないと思います。

そのひとつが、以前から何度も課題として挙げられてきたスマホゲームです。

今回の決算では、スマートデバイス・PCブラウザ向けの事業についても増収増益となっており、新作タイトルが売上に貢献したとされています。家庭用ゲームだけが好調だったわけではなく、少なくとも今回の数字だけを見るならスマホ・ブラウザ分野についても悪い結果ではありません。

問題は、その好調をどこまで長く維持できるのかという部分です。

スクエニのスマホゲームといえば、新作がサービスを開始しても数年、場合によってはそれより短い期間で終了してしまうケースが続き、「スクエニのソシャゲはいつ終わるか分からない」というイメージを持っている人もいると思います。

今回も気になる動きとして、『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』のサービス終了が挙げられています。

FF7を題材にしたタイトルでありながら、2026年7月8日にサービス終了が告知され、10月7日をもって終了する予定となっています。サービス期間は約3年となり、FF7という強力なIPを使ったタイトルでも、長期間にわたってユーザーを維持し続けることは簡単ではなかったことが分かります。

ここは家庭用ゲームとの違いがかなり大きいところです。

たとえばFF7リバースであれば、2024年にPS5で発売したあともPC、Switch2、Xboxへと展開し、時間をかけながら販売本数を積み上げられます。数年前に発売されたタイトルでもセールやシリーズ新作の発売をきっかけに再び売れる可能性があり、実際に今回の決算でもカタログタイトルの販売増加が業績を押し上げています。

一方、運営型のスマホゲームはサービスを続ける限り開発や運営にコストがかかり、ユーザーが減れば終了という判断も避けられません。終了してしまえば、それまで遊んできたユーザーの体験そのものが失われる場合もあるため、短期間でのサービス終了が繰り返されるほど、次のタイトルに対して課金をためらう人が増えてしまうという難しさもあります。

新作を出して売上を作ることと、そのタイトルを長く育てていくことは別の話なんですよね。

だからこそ、個人的には今回大きく伸びたHDゲームのほうに期待したくなります。

FF7リバースのような大作を複数のプラットフォームへ展開しながら長期間販売し、過去作品についてもカタログタイトルとして積み上げていく。今回の決算を見る限り、少なくともその形は結果につながり始めています。

もちろん、一度の好決算だけで「スクエニ復活」と結論づけるのはまだ早いです。

それでも、以前のように大型タイトルを発売した直後の売上だけで一喜一憂するのではなく、マルチプラットフォーム展開やダウンロード販売、過去タイトルの長期販売まで含めて利益を作れるのであれば、スクエニのゲーム事業は少し違った形へ変わり始めているのかもしれません。

では、この流れが今後も続いた場合、FFやドラクエはどうなっていくのか。

今回の決算を単なる「数字が良かった」という話で終わらせず、その先まで考えてみると、個人的にはかなり期待したくなる部分があります。

「スクエニはもうダメ」から本当に復活できるのか、今後のFF・ドラクエに期待したいこと

ここまで今回の決算を追ってきましたが、個人的には「スクエニ完全復活」と言い切るには、まだ少し早いと思っています。

今回の数字がかなり良かったのは間違いありませんし、とくに家庭用ゲームを中心とするHDゲームが大きく伸びたことは明るい材料です。ただ、一度の決算が良かったからといって、ここ数年指摘されてきた問題がすべて解決したわけではありません。

それでも、これまでとは少し違う流れが見えてきたのも確かなんですよね。

とくにFF7リバースについては、発売当初の印象からずいぶん状況が変わりました。国内PS5パッケージ版の初週26万2656本という数字が出たときには、「FF7ですらこの程度なのか」「三部作にしたのが失敗だった」といった厳しい声もありましたが、現在は販売先をSwitch2、Xbox、Windowsまで広げ、スクエニの増収要因として名前が挙がるところまで来ています。

そして、この流れが今後も続くのであれば、個人的に期待したいのはやはりFFシリーズです。

FF7リメイク三部作が最終的に商業面でも成功したとなれば、「過去のFFを現在の技術で本格的に作り直す」という企画にも、次の可能性が生まれてくるかもしれません。

FF6、FF8、FF9、FF10など、今でも高い人気を持つ作品は残っています。もちろんFF7リメイク三部作ほどの規模で一本作るとなれば、とんでもない開発期間と予算が必要になるはずなので、単純に「次はFF6をフルリメイクしてほしい」と言えるほど簡単な話ではありません。

ただ、FF7リメイクシリーズの成功が次の開発意欲につながり、新たなリメイクやスピンオフが生まれる可能性については、期待したくなるところです。

そして、もうひとつ忘れてはいけないのが『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』です。

今回の好決算は、ドラクエ12のような大型新作が発売された結果ではありません。それにもかかわらずゲーム部門が大きく伸びたことを考えると、逆に言えば、ここへ今後ドラクエ12のような大型タイトルが加わったときに、どこまで数字を伸ばせるのかという楽しみも出てきます。

もっとも、ドラクエ12については開発が難航していることをうかがわせる話もあり、今後どう仕上がるのかはまだ分かりません。だからこそ、発売を急ぐというより、時間がかかったとしても「これなら待った意味があった」と思える作品に仕上げてもらいたいところです。

結局、スクエニが本当に復活したかどうかを判断するには、もう少し長い目で見る必要があります。

今回の増収増益が一時的なものなのか、それともマルチプラットフォーム展開やカタログタイトルの長期販売といった戦略が機能し始めた結果なのか。その答えは、これから数年のタイトル展開を見ていかなければ分かりません。

ただ、少なくとも少し前までの「大型タイトルを作っているのに思ったほど売れない」「FFブランドも昔ほど強くない」という空気から考えると、今回の決算はかなり興味深い変化だったと思います。

なにより、FF7リバースのように内容そのものは高く評価されながら、発売直後の販売本数だけを見て失敗作のように扱われていたゲームが、その後も販売先を広げながら売れ続けているのであれば、ゲーム好きとしては素直に嬉しいところです。

あとは、この流れを次の一本につなげられるかどうか。

FF7リメイク三部作の今後はもちろん、ドラクエ12やその先に出てくる新作まで含めて、「最近のスクエニ、ちょっと変わってきたな」と思わせてくれる作品が続くのか。今回の決算を見たことで、少なくとも以前よりはその先を期待してみたくなりました。

まとめ|スクエニの最新決算から見えたのは「復活」よりも大きな転換点だった

今回はスクエニの最新決算をもとに、好調だったゲーム事業と、発売当初に「爆死」とまで言われたFF7リバースの現在について見てきました。

改めて数字を振り返ってみると、2027年3月期第1四半期の売上高は784億2300万円で前年同期比32.3%増、営業利益は170億800万円で88.6%増。さらにデジタルエンタテインメント事業だけでも売上高499億6000万円、営業利益155億8300万円となっており、ゲーム事業が今回の好決算を大きく支えていたことが分かります。

正直、ここ最近のスクエニに対する世間の空気を考えると、この結果はかなり意外でした。

FFブランドの勢いが落ちたと言われ、大型タイトルは開発費がかかりすぎると指摘され、スマホゲームではサービス終了が続く。そうした話を何度も見ていると、いつの間にか「スクエニはかなり厳しい」というイメージが先行していた人も多かったのではないかと思います。

FF7リバースも、まさにそのイメージを象徴するようなタイトルでした。

2024年にPS5で発売された際、国内パッケージ版の初週販売本数は26万2656本。前作『FF7 リメイク』の約70万本と比較され、「FF7なのに売れていない」「三部作にしたことで失速した」といった声が広がったのも覚えています。

ところが、そこから約2年が経過して見えてきた景色はかなり違います。

FF7リバースはPS5だけに留まらず、Nintendo Switch 2、Xbox、Windowsへと販売先を広げ、そのマルチプラットフォーム展開がHDゲーム部門の増収要因として挙げられるまでになりました。正確な世界累計販売本数こそ明らかになっていないものの、少なくとも発売直後の国内パッケージ26万本だけを見て「失敗だった」と結論づけるには、あまりにも見えていない数字が多かったことになります。

今回の決算を見ていて私が一番印象に残ったのも、実はそこでした。

単純に「スクエニが儲かった」「FF7リバースは実は売れていた」という話だけではなく、ゲームの売れ方そのものが以前とはかなり変わっているんですよね。

パッケージ版よりダウンロード版の比率が圧倒的に大きくなり、ひとつのハードで発売して終わるのではなく、その後PCや別の家庭用ゲーム機へ展開して数年間売り続ける。さらに新作が出れば過去作品にも再び注目が集まり、カタログタイトルとして売上を積み重ねていくこともできます。

そうなれば、発売から一週間のパッケージ販売本数だけでゲームの成功と失敗を決める見方は、そろそろ限界に来ているのかもしれません。

もちろん、今回の決算だけを見て「スクエニ完全復活!」とまで言うつもりはありません。

スマホゲームには依然として長期運営という課題が残っていますし、大型ゲームの開発が長期化する問題もあります。今後発売される作品が継続的に結果を残せなければ、今回の好調も一時的なものだったという話になる可能性はあります。

それでも、少なくとも今回見えてきたのは、以前と同じやり方を続けているスクエニではありません。

FF7リバースを複数のプラットフォームへ展開し、PCを含めた世界市場へ長期的に販売していく。そして新作だけに頼るのではなく、過去のカタログタイトルからも売上を積み上げる。そうした売り方が実際の数字につながり始めているのであれば、「復活したのか」というより、スクエニ自身がゲームの売り方を大きく変える転換点に入った、と見るほうがしっくりきます。

そして何より、FF7リバースのように中身は高く評価されていたゲームが、発売直後の数字だけで終わらず、その後もユーザーを増やしているのであれば、ゲーム好きとしては嬉しい話です。

「FF7リバースは爆死したんじゃなかったの?」

今回の決算を見たあとでは、その問いに対する答えもかなり変わってきます。

少なくとも、国内パッケージ初週26万本という数字だけを見ていた頃に思っていたほど、単純な話ではなかった。

そして、このマルチプラットフォーム戦略が今後のFFやドラクエ、さらにその先のスクエニ作品にもつながっていくのなら、ここから数年のスクエニは改めて追いかけてみる価値がありそうです。

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