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【亰都ザナドゥ】評価が低そうで様子見している人へ。クリアして分かった本当の面白さ

【亰都ザナドゥ】評価が低そうで様子見している人へ。クリアして分かった本当の面白さ

2026年の夏は『リズム天国 ミラクルスターズ』や『スプラトゥーン レイダース』をはじめ、話題作が次々と発売されており、新作ゲームを追いかけている人ほど「どれから遊ぼうか」と悩んでいるのではないでしょうか。

そんな中で発売された『亰都ザナドゥ』ですが、正直なところ、発売前から大きな話題になっていた作品という印象はありませんでした。

日本ファルコムが手掛ける完全新作アクションRPGであり、『東亰ザナドゥ』から約10年ぶりとなるシリーズ最新作です。それにもかかわらず、SNSやゲームコミュニティを見渡しても大きく盛り上がっている雰囲気はなく、私自身も発売前は「気になる作品ではあるものの、急いで遊ばなくてもいいかな」と考えていました。

さらに、公開されていたゲーム画面を見て少し気になったのが、探索や街中の移動が2D横スクロール主体へ変更されていたことです。前作を知っている人ほど「なぜ今になって2Dなのか」と感じたと思いますし、スクリーンショットだけを見る限りでは、少し地味な印象を受けた人も少なくないはずです。

ところが、実際にプレイを始めると、その印象は思っていた以上に早く覆されました。

序盤こそ「普通に面白いアクションRPG」という感想でしたが、ゲームを進めて探索範囲が広がり、新たなアクションや仲間が増え、物語が動き始めるにつれて、本作ならではの魅力が少しずつ見えてきます。気が付けば、「これはもっと評価されてもいい作品ではないか」と感じるほど夢中になっていました。

特に驚かされたのは、発売前には不安材料だと思っていた2D探索です。カメラ操作が不要になったことで敵や仕掛けを把握しやすくなり、探索そのもののテンポが大きく向上しています。さらにゲームが進むと新しいアクションやギミックが次々と解放され、「あの場所には何があるんだろう」と自然に寄り道したくなる場面が増えていきました。

もちろん、不満点がまったくないわけではありません。序盤は本作ならではの面白さを実感するまで少し時間がかかりますし、京都を舞台にしているからこそ、「この街をもっと自由に歩き回りたかった」と感じる場面もありました。

それでも、クリアまで遊び終えた今の評価は、プレイ前とはまったく違います。

派手な宣伝や大きな話題性こそありませんでしたが、最後まで遊んだからこそ分かる完成度の高さがあり、「隠れた良作」という言葉がよく似合う作品でした。

そこで本記事では、『亰都ザナドゥ』をクリアした立場から、本作が面白かった理由だけでなく、実際に遊んで気になった点も含めて率直にレビューしていきます。

「評価が落ち着くまで様子を見ようと思っている」「見た目は気になるけれど、本当に面白いのか判断できない」と感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

そもそも「亰都ザナドゥ」はどんなゲーム?

『亰都ザナドゥ』をひと言で表すなら、学園生活と異世界探索を組み合わせたアクションRPGです。

舞台となるのは、災厄によって大きく姿を変えた「亰都」。主人公は平坂学園に通う高校生として日常生活を送りながら、学園の地下に広がる異世界「平坂大迷宮」を攻略していきます。

この説明だけを聞くと、「ペルソナシリーズに少し似ているのかな」と感じる人もいると思います。実際、昼は学園生活を送り、仲間たちと交流を深めながら、非日常の世界で戦うという基本的な流れには共通する部分があります。

ただ、本作はあくまでもアクションRPGです。

仲間との会話やストーリーを楽しむだけでなく、自分でキャラクターを操作して敵を倒し、ダンジョンを探索しながら攻略していくことがゲーム全体の軸になっています。そのため、RPGとしての物語だけでなく、アクションゲームとしての遊び応えもしっかり意識した作品に仕上がっています。

本作で最も大きな特徴と言えるのが、探索パートの大半が2D横スクロール形式へ変更されたことです。

前作『東亰ザナドゥ』では3Dフィールドを移動する場面が多かったため、この変更を知ったときは驚いた人も少なくなかったはずです。私自身も「なぜ今になって2Dへ変更したのだろう」と疑問を抱いていましたし、公開されていたスクリーンショットだけを見る限りでは、少し地味な印象を受けたことも事実でした。

実際、SNSなどでもこの2D化に対して不安の声は少なくなく、「前作よりスケールダウンしたのではないか」「今どき横スクロールなのか」と様子見する人が多かった印象があります。

ただ、この時点では私も含め、多くの人が**「見た目」だけで判断していた**のだと思います。

実際にプレイを始めると、この2D化には見た目以上にしっかりとした意味がありました。単なる演出上の変更ではなく、ゲーム全体のテンポや探索の楽しさを大きく変えるための設計になっており、遊び始めて数時間もすると「この方向性は正解だったのかもしれない」と考え方が変わっていきます。

つまり、『亰都ザナドゥ』は第一印象だけでは魅力が伝わりにくい作品です。

ゲーム画面だけを見ると地味に映るかもしれませんが、実際にコントローラーを握ると印象が大きく変わります。その理由を最も実感できたのが、次に紹介する探索パートでした。

最大の変更点「2D探索」はむしろ大正解だった

本作を語るうえで、最初に触れておきたいのが探索パートの2D化です。

発売前は、この変更を不安に感じていました。前作を遊んでいた人ほど「3Dのほうが没入感があるのでは」「今さら横スクロールに戻す必要があるのか」と思ったはずですし、私自身も公開されていた映像を見た段階では、少し思い切った判断だと感じていました。

ところが、実際にプレイしてみると、この印象は想像以上にあっさり覆されます。

理由はとてもシンプルで、探索そのものが圧倒的に遊びやすくなっているからです。

3Dアクションでは、周囲を見渡すためにカメラを細かく動かしながら進む場面が少なくありません。敵の位置や宝箱、分かれ道を確認するだけでも視点を何度も切り替える必要があり、長時間遊んでいると意外と手間に感じることがあります。

一方、『亰都ザナドゥ』では横スクロール形式を採用したことで、画面に映る情報をひと目で把握できるようになりました。

敵の配置も進むべき方向も直感的に分かるため、カメラ操作に意識を取られることがありません。その結果、プレイヤーは「次はどう進もうか」「この先には何が隠されているのか」と、探索そのものに集中できるようになっています。

しかも、本作の面白さはここで終わりません。

序盤こそ戦闘中心のシンプルな構成ですが、ゲームを進めるにつれて新しいアクションや探索ギミックが次々と追加されていきます。遠距離攻撃が可能になったり、新たな足場を出現させられるようになったり、大きく移動できるアクションが解放されたりと、探索の自由度は少しずつ広がっていきます。

この積み重ねが本当に上手くできていて、新しい能力を手に入れるたびに「あそこへ戻れば先へ進めるかもしれない」「以前は行けなかった場所を調べてみよう」と自然に考えるようになります。

いわゆるメトロイドヴァニアに近いゲームデザインですが、単に流行を取り入れただけではなく、本作のテンポに合わせて丁寧に落とし込まれている印象を受けました。

さらに探索には、きちんと目的も用意されています。

各階層には宝箱だけでなく、浄化すべきオブジェクトが配置されており、それらを見つけることで先へ進めるようになる仕組みになっています。そのため、「アイテムを回収したら終わり」という探索ではなく、「隅々まで歩き回ること自体に意味がある」というゲームデザインになっている点も好印象でした。

だからこそ、本作では寄り道が苦になりません。

目的地へ一直線に向かるよりも、「少し気になる場所があるから寄ってみよう」という気持ちが自然と湧いてきますし、その寄り道が新しい発見や攻略につながる場面も多くありました。

発売前は最も不安だった2D化ですが、クリアまで遊び終えた今では、本作の完成度を支える大きな要素だったと感じています。

見た目だけでは伝わりにくい変更だったからこそ、実際に触れて初めて評価が変わる人も多いのではないかと思いました。

探索を単調にさせない「元素」と中毒システムが面白い

探索の面白さをさらに引き上げているのが、「元素」と「中毒システム」の存在です。

一般的なアクションRPGでは、ダンジョンを探索する理由は宝箱を回収したり、素材を集めたりすることが中心になります。もちろん、それだけでも十分楽しいのですが、「できるだけ隅々まで探索したほうが得をする」というゲームが多いため、プレイヤーとしては時間をかけてでもすべて回収したくなるものです。

『亰都ザナドゥ』も基本的な考え方は同じですが、本作ではそこへ絶妙な駆け引きが加えられています。

その鍵になるのが、ダンジョン内で集められる「元素」です。

元素は探索を進めるうえで欠かせない資源であり、多く集めるほどさまざまな恩恵を受けられます。当然、できる限り持ち帰りたいと思うのですが、ここでプレイヤーを悩ませるのが中毒システムです。

元素を必要以上に取り込み続けると、主人公は徐々に中毒状態へ陥ってしまいます。

最初のうちは大きな影響はありませんが、症状が進行すると体力が少しずつ減り始め、さらに悪化すると回復まで制限されるようになります。そのまま探索を続ければ戦闘が一気に厳しくなり、あと少しだからと欲張った結果、ゲームオーバーになってしまう場面も珍しくありません。

つまり、本作では「もっと探索したい」という気持ちと、「そろそろ引き返さないと危険だ」という判断が常に隣り合わせになっています。

このバランスが実によくできていました。

「あと一つ宝箱を開けたら戻ろう」と思っていたのに、その先に気になる分かれ道を見つけてしまう。さらに進めば新しいギミックやアイテムが待っているかもしれないと考え始める一方で、中毒ゲージも着実に溜まっていくため、「ここで帰るべきか、それとももう少し粘るか」と自然に悩まされます。

この判断を毎回プレイヤー自身に委ねていることが、本作の探索を単調な作業にしていない最大の理由だと感じました。

しかも、探索には明確な目的も用意されています。

各階層にはボスへ挑むために浄化しなければならないポイントが配置されており、それらを探し出すこと自体が攻略へ直結しています。そのため、「素材集めをして終わり」「宝箱を回収して終わり」という探索ではなく、ダンジョン全体を歩き回ることにしっかり意味があるんですよね。

だからこそ、探索と学園生活という二つのパートの切り替えにも違和感がありませんでした。

中毒が進めば一度現実世界へ戻る必要があり、その流れで学園生活を送り、再び迷宮へ挑む。このサイクルが自然に繰り返されるため、どちらか一方だけが長く続いて飽きてしまうことも少なく、ゲーム全体のテンポも上手く保たれています。

一見すると少し厳しい制限にも思える中毒システムですが、実際に遊んでみるとストレスを与えるための要素ではなく、「探索をもっと面白くするための仕掛け」だったことがよく分かりました。

もし制限なく探索できる仕様だったなら、おそらくここまで緊張感のあるダンジョン攻略にはならなかったはずです。プレイヤーの欲張りな心理を上手く利用しながら、最後まで適度な駆け引きを生み出していた点は、本作ならではの魅力と言えるでしょう。

2D探索から一変!3Dボス戦のアクションが気持ちいい

探索パートでは2D横スクロールを採用している本作ですが、ボス戦が始まるとゲームの雰囲気は大きく変わります。

これまで横から眺める形で進んでいた探索とは打って変わり、戦闘は3Dアクションへ切り替わります。その切り替えが驚くほど自然で、「別のゲームになった」という違和感はほとんどありません。むしろ、探索でじっくり考えながら進み、ボス戦ではスピード感のあるアクションを楽しむというメリハリが生まれており、この構成が最後まで飽きさせない大きな理由になっていました。

実際に触ってみて最初に感じたのは、操作そのものがとても軽快になっていることです。

攻撃や回避のレスポンスが良く、キャラクターも思った通りに動いてくれるため、「操作していて気持ちいい」と素直に感じられます。アクションゲームは少し入力が遅れるだけでもストレスにつながりますが、本作ではそうした引っ掛かりを覚える場面はほとんどありませんでした。

もちろん、ただ軽快なだけではありません。

敵の攻撃をタイミング良く受け流す「パリィ」が用意されており、成功した瞬間は思わず「決まった」と声が出そうになるほど爽快です。

近年はパリィを取り入れるアクションゲームが増えていますが、本作はアクションが得意な人だけに向けた作りにはなっていません。特定の強化状態ではパリィを成功させやすくなるため、反射神経に自信がない人でもチャレンジしやすく、「難しすぎて楽しめない」という印象は受けませんでした。

このあたりのバランス調整も上手いんですよね。

成功すれば気持ちいい。でも失敗しても理不尽には感じにくい。その絶妙なラインを狙って作られているので、「もう一回挑戦したい」という気持ちが自然と湧いてきます。

さらに前作との違いとして印象に残ったのが、仲間との共闘です。

今回はパーティーメンバーも一緒に戦ってくれるため、戦闘がかなり賑やかになりました。ひとりで敵と向き合う場面が中心だった前作と比べると、仲間同士で連携しながら戦う感覚が強く、アニメ作品のバトルシーンを自分で操作しているような楽しさがあります。

使用するキャラクターによって性能やアクションにも違いがあるため、「次はこのキャラクターを使ってみよう」「このボスにはこちらのほうが相性が良さそうだ」と考える楽しみも生まれます。単純に攻撃力が高いキャラクターだけを使い続けるのではなく、自分に合った操作感を探していく面白さも感じられました。

プレイしていて何度も思ったのは、本作のアクションには日本ファルコムが長年培ってきたノウハウがしっかり詰め込まれているということです。

特に『イース』シリーズを遊んだことがある人なら、スピード感のある立ち回りやテンポの良いボス戦から、どこか共通する手触りを感じるかもしれません。

探索パートでは落ち着いてダンジョンを攻略し、ボス戦では一気に緊張感が高まる。この切り替えが見事に機能しているからこそ、ゲーム全体のテンポも最後まで崩れませんでした。

2D探索だけを見ると少し地味な作品に映るかもしれませんが、実際には探索とアクション、それぞれが異なる魅力を持ちながら互いを引き立て合っています。

だからこそ、遊び始める前に抱いていた「2D化でアクションも物足りなくなるのでは」という不安は、ボス戦を何度か経験した時点ですっかり消えていました。

癖の強い主人公が、気づけば好きになっていた

ゲームをクリアしたあとに振り返ると、本作で最も印象が変わったのは主人公だったかもしれません。

最初に出会った頃の印象は、正直あまり良いものではありませんでした。

初対面の相手にも遠慮なく踏み込んでいきますし、相手との距離の詰め方もかなり独特です。状況によっては「そこまで言うのか」と思うような場面もあり、仲間を勧誘するシーンでは少し強引に感じることもありました。

そのため、序盤だけを遊んだ段階では「主人公に感情移入しにくい作品」という印象を持つ人もいると思います。実際、私も最初の数時間は、この主人公を好きになれるかどうか少し不安でした。

ところが、物語が進むにつれて、その評価は少しずつ変わっていきます。

というのも、本作は主人公の言動を「変わった性格だから」という理由だけで片付けていません。

ストーリーの中盤以降になると、彼がなぜそのような考え方をするのか、なぜ人との接し方が少し変わっているのか、その背景が少しずつ明かされていきます。

もちろん、ここは本作の大きな見どころなので詳しくは触れません。

ただ、一つだけ言えるのは、序盤に感じた違和感がきちんと意味を持って回収されるということです。

「あのときの発言はそういうことだったのか」「だからあんな行動を取っていたのか」と納得できる場面が増えていき、物語を進めるほど主人公に対する見方が変わっていきました。

こうした描き方は、とても好印象でした。

最近のゲームでは、最初から誰にでも好かれる主人公を採用する作品も少なくありません。もちろん、そのほうが感情移入しやすいというメリットはありますが、一方で人物像が無難にまとまりすぎてしまうこともあります。

その点、『亰都ザナドゥ』の主人公は好き嫌いが分かれそうな個性をあえて持たせ、その理由まで物語の中で丁寧に描いています。

だからこそ、ゲームを遊び終えた頃には、序盤とはまったく違う印象を抱いていました。

主人公だけではありません。

本作には個性的な仲間たちが数多く登場し、それぞれがしっかりと存在感を放っています。

一匹狼タイプの先輩や面倒見の良い先輩、双子の兄妹など、性格も立場も異なるキャラクターが集まっていますが、単に人数を増やしただけでは終わっていません。放課後を一緒に過ごしたり、交流イベントを進めたりすることで、それぞれの人柄や考え方が少しずつ見えてきます。

この交流パートが本当に面白く、気になるキャラクターを見つけると「もう少し話を聞いてみたい」「次のイベントも見てみよう」と自然に思えてきます。

ゲームシステムとして交流要素を用意している作品は珍しくありませんが、本作はキャラクターを好きになる流れがとても自然でした。

イベントを一つ見るたびに人物像へ少しずつ厚みが増していき、その積み重ねがストーリー終盤の展開にもつながっていくため、「交流イベントはおまけ」という印象はほとんどありません。

さらに、仲間たちにもそれぞれ秘密や過去が用意されており、何気ない会話や違和感が後半の伏線として回収される場面も少なくありませんでした。

こうした構成のおかげで、ストーリーを追う楽しさだけでなく、「このキャラクターはこれからどうなるのだろう」という期待感も最後まで途切れません。

遊び始めた頃は少し癖が強いと感じていた主人公も、気付けば仲間たちと一緒に物語を支える存在として好きになっていました。

アクションゲームとしての完成度だけでなく、キャラクターを好きになれるからこそ、最後まで夢中になって遊べたのだと思います。

前作「東亰ザナドゥ」を遊んでいなくても楽しめる?

『亰都ザナドゥ』に興味を持った人の中には、「前作を遊んでいないけど大丈夫なのか」と気になっている人も多いと思います。

結論からお伝えすると、その心配はほとんど必要ありません。

本作は『東亰ザナドゥ』と世界観を共有している作品ではありますが、物語としては新たな舞台、新たな主人公、新たな仲間たちを中心に描かれています。そのため、前作のストーリーを知らないからといって、序盤から内容についていけなくなるようなことはありませんでした。

実際にプレイしていても、「前作を遊んでいること」が前提になっている場面は思っていたより少なく、世界観や専門用語についてもゲーム内で少しずつ説明が入ります。

さらに、本作には用語集も用意されています。

物語を進める中で新しい単語や組織名が登場しても、その都度確認できるようになっているため、「今の話はどういう意味だったのだろう」と置いていかれる場面はほとんどありません。このあたりはシリーズ未経験者への配慮がしっかり行き届いていると感じました。

だからこそ、私は本作からシリーズへ入る選択も十分おすすめできます。

もちろん、前作を遊んでいる人なら思わず反応してしまう場面も用意されています。

過去作とつながる用語や人物、小ネタがさりげなく盛り込まれており、「あの作品と同じ世界なんだな」と感じられる演出も随所に見られました。こうしたファンサービスは物語の本筋を邪魔するものではなく、知っている人が少し嬉しくなれる程度のバランスに収まっています。

さらに、日本ファルコム作品を遊んできた人なら思わず笑顔になるような遊び心もあります。

『イース』シリーズを知っている人なら、「まさかこんなところで」と感じるようなゲストキャラクターや小ネタが登場するため、シリーズファンほど細かな発見を楽しめる作りになっていました。

とはいえ、それらはあくまでも”知っていればニヤリとできる”要素です。

知らなかったから損をするわけではありませんし、物語の理解に影響することもありません。初めて触れる人は純粋に新しい作品として楽しめますし、シリーズ経験者は懐かしさや驚きを味わえるという、ちょうど良い落としどころになっています。

シリーズ作品というと、「前作を遊んでからのほうがいい」と勧められるケースも少なくありません。

ただ、『亰都ザナドゥ』に関しては、その心配を理由に購入を見送る必要はないと感じました。

むしろ、本作を遊んで世界観やシステムが気に入ったのであれば、そのあとで『東亰ザナドゥ』へ戻ってみるという楽しみ方も十分ありです。

新規プレイヤーとシリーズファン、そのどちらも取り込めるよう丁寧に作られている点も、本作の完成度を高く評価した理由の一つでした。

惜しい点① 京都なのに街を自由に歩き回れない

ここまで本作の魅力を中心にお伝えしてきましたが、もちろん気になった部分もあります。

その中でも一番惜しいと感じたのが、現実世界のマップ構成でした。

本作の舞台はタイトルにもある通り「亰都」です。

ゲーム内では現実の京都をベースにしながら独自のアレンジが加えられており、街並みや雰囲気からも和の空気がしっかり伝わってきます。だからこそ、プレイ前は「京都の街を自由に歩き回れるのではないか」という期待を自然と抱いていました。

ところが実際には、現実世界も探索パートと同じように横スクロール形式が採用されています。

この仕様によって移動のテンポは大きく向上しています。

目的地までのルートが分かりやすく、余計な遠回りをすることもありません。同じ場所を何度も行き来する場面でもストレスは少なく、ゲーム全体のテンポを考えれば、この設計が機能していることは間違いありませんでした。

実際に遊んでいても、「移動が面倒だな」と感じる場面はほとんどありません。

ただ、その一方で少し物足りなさを感じたことも事実です。

というのも、本作はせっかく京都という魅力的な街を舞台にしているからです。

京都と聞けば、歴史ある街並みや神社仏閣、独特の空気感を思い浮かべる人も多いと思います。ゲームだからこそ、そうした街並みを歩き回ったり、寄り道をしたり、気になった場所へふらっと立ち寄ったりする楽しみを期待していました。

実際にプレイしていると、「この場所を3Dで自由に散策できたら、もっと没入感があっただろうな」と思う場面が何度かあります。

最近では『龍が如く』シリーズのように、実在する街を歩くだけでも楽しめるゲームが増えています。本作の舞台も十分魅力的だっただけに、その魅力を味わう時間が少し短く感じられたのは残念でした。

とはいえ、この点は一概に欠点とも言い切れません。

もし現実世界まで3Dマップになっていたら、移動時間は今より長くなっていたはずですし、テンポの良さも失われていた可能性があります。

本作は学園生活とダンジョン探索を何度も行き来するゲームです。

そのため、開発側としては快適な移動を優先した結果、この横スクロール形式を選んだのでしょう。実際、ゲーム全体を通して考えれば、その判断は十分理解できます。

だからこそ、この点は「失敗だった」というよりも、「どちらを重視するか」という設計上のトレードオフだったように感じました。

快適さという意味では現在の仕様が正解です。

一方で、京都という舞台をもっと深く味わいたかった私としては、「あと少しだけ自由に街を歩ける要素があれば、さらに満足度は高くなっていたのに」と思わずにはいられませんでした。

本作は探索パートの2D化によって多くのメリットを得ていますが、その反面、現実世界の散策という楽しみは少し控えめになっています。

だからといって作品全体の評価が大きく下がるわけではありませんが、京都という舞台設定が魅力的だっただけに、そこだけは少し惜しく感じたポイントでした。

惜しい点② 聞き込みシステムはもう一歩快適にしてほしかった

もう一つ気になったのが、街中で情報を集める聞き込みシステムです。

とはいえ、この点はゲーム全体の評価を大きく下げるような欠点ではありません。

実際、新しく採用された仕組みには便利だと感じる部分も多く、「あと一歩だけ改善されていれば、もっと快適だったのに」と思ったのが正直な感想でした。

本作では、街の住人に近づくと、その場で会話内容が自動的に表示されます。

従来のように、一人ひとりへ話しかけて会話ボタンを押す必要がないため、街を歩きながら自然と情報を集められるようになっています。

このアイデア自体は、とても良かったと思います。

学園生活を送るゲームでは、多くのNPCが街中に配置されています。もし全員に話しかける必要がある仕様だったら、それだけでかなり時間が掛かってしまいますし、「次のイベントへ進みたいのに聞き込みが面倒」と感じる人も出てきたはずです。

その点、本作は歩くだけで情報が入ってくるため、街全体のテンポは確実に良くなっています。

ところが、実際に遊んでいると一つだけ気になることがありました。

それは、歩きながらだと会話が少し読みづらいという点です。

住人の近くを通り過ぎると吹き出しが表示されるのですが、そのまま走り続けてしまうと表示時間が短く、内容を最後まで読めない場面が何度かありました。

結局、「何を話していたのだろう」と思って立ち止まり、もう一度近づき直すことも少なくありません。

せっかくテンポを良くするためのシステムなのに、その確認作業が発生してしまうのは少し惜しく感じました。

例えば、吹き出しがプレイヤーに付いてくる仕様だったり、一度表示された会話をログで確認できたりすれば、さらに快適になっていたと思います。

もちろん、この程度のことでストレスを感じ続けるわけではありません。

ゲームを進めるうちに慣れてしまいますし、「少し立ち止まって読めば済む話」と言われれば、その通りです。

それでも、本作は探索や移動のテンポをとても大切にしている作品だからこそ、この部分だけ少し引っ掛かってしまいました。

全体的な完成度が高いゲームほど、小さな不便さが印象に残ることがあります。

『亰都ザナドゥ』もまさにそのタイプで、聞き込みシステムそのものは良いアイデアだっただけに、「あと一歩だけ遊びやすくできたのではないか」と感じたのです。

細かな改善点ではありますが、アップデートや次回作でブラッシュアップされれば、学園生活パートはさらに快適なものになりそうだと感じました。

惜しい点③ 最初の数時間だけでは本作の面白さが伝わりにくい

ここまで紹介してきたように、『亰都ザナドゥ』は探索、アクション、キャラクターのどれを取っても完成度の高い作品でした。

ただ一つだけ、多くの人が損をしてしまいそうだと感じた部分があります。

それは、本作の面白さが本格的に見えてくるまで少し時間が掛かることです。

これはゲームそのものの出来が悪いという話ではありません。

むしろ序盤から丁寧に作られていますし、ストーリーも決して退屈ではありません。ただ、ゲームの魅力が出揃うまでに少し助走が必要なため、遊び始めて数時間の時点では「普通に面白いアクションRPG」という印象で止まってしまう可能性があります。

私自身も、最初はまさにその感想でした。

「しっかり作られているな」という安心感はありましたが、この時点ではまだ「隠れた名作」と呼べるほどのインパクトはありません。

ところが、ゲームを進めるにつれて、その評価は少しずつ変わっていきます。

仲間が増え、探索ギミックが充実し、育成要素が解放され、キャラクター同士の関係も深まってくると、本作の面白さが一気に噛み合い始めます。

「あの能力を使えば、前に行けなかった場所へ戻れるかもしれない。」

「仲間との交流イベントの続きを見てみたい。」

「ストーリーの伏線が気になるから先へ進めたい。」

こうした”続きが気になる理由”が少しずつ積み重なり、気付けばプレイを止めるタイミングを見失っていました。

つまり、本作は最初から100点の面白さを見せるゲームではありません。

遊ぶほど少しずつ評価が上がっていき、最終的に「思っていたよりずっと面白かった」という印象へ変わっていくタイプの作品です。

実際、この変化はストーリー構成にも表れています。

現実世界と異世界を行き来する理由が自然に作られているため、「なぜ主人公たちは戦っているのか」という動機にも違和感がありません。学園生活とダンジョン攻略、それぞれが別々に存在しているのではなく、一つの目的へ向かって結び付いているため、ゲームを進めるほど世界観へ入り込みやすくなっていきます。

だからこそ、もし体験版だけで判断する機会があるなら、一つだけ意識してほしいことがあります。

本作は、導入部分だけでは本当の魅力が伝わり切らない作品です。

もちろん、体験版が面白ければ購入するきっかけになりますし、その役割は十分果たしていると思います。

ただ、本作に関しては「序盤だけ遊んで評価を決める」のは少しもったいなく感じました。

探索の楽しさも、戦闘の奥深さも、キャラクターへの愛着も、どれもゲームが進むほど大きく育っていきます。

だから私は、『亰都ザナドゥ』を「スロースターターなゲーム」と表現したいと思います。

派手なスタートダッシュで驚かせる作品ではありません。

その代わり、一歩ずつ積み重ねながらプレイヤーを夢中にさせ、クリアした頃には発売前とはまったく違う評価を抱かせてくれる作品でした。

もし序盤だけ遊んで様子見しようと考えている人がいるなら、もう少しだけ先まで遊んでみてください。

本作の本当の魅力は、その少し先に待っています。

総評|『亰都ザナドゥ』は「評価が低そうだから様子見」が一番もったいない作品だった

『亰都ザナドゥ』をクリアした今、最初に抱いていた印象と現在の評価を比べると、ここまで印象が変わった作品も珍しかったと感じています。

発売前は話題がそこまで大きくなく、公開されていたゲーム画面も2D横スクロール主体だったことから、「少し地味な作品なのかな」という印象を持っていました。実際、私と同じように様子見を選んだ人も少なくなかったのではないでしょうか。

ところが、実際に遊び始めると、その印象は少しずつ変わっていきます。

2D化された探索は予想以上にテンポが良く、新しいアクションが増えるたびに探索範囲が広がっていくため、「次はあそこへ行ってみよう」という気持ちが自然と湧いてきます。

ボス戦では一転してスピード感のある3Dアクションが楽しめますし、パリィや仲間との共闘も気持ち良く決まるため、探索とは異なる爽快感もしっかり味わえました。

さらに物語が進むにつれて、序盤は少し癖が強く感じていた主人公や仲間たちにも愛着が湧き始めます。

キャラクター同士の関係性や、それぞれが抱えている事情が丁寧に描かれているからこそ、「次のイベントも見たい」「この先の展開が気になる」と思いながらプレイを続けられました。

こうして振り返ると、本作はどれか一つの要素だけが突出して優れているゲームではありません。

探索、アクション、キャラクター、ストーリー、それぞれが少しずつ積み重なり、ゲームを進めるほど全体の完成度が高まっていく作品です。

もちろん、不満がまったくないわけではありません。

京都という魅力的な舞台をもっと自由に歩き回りたかったですし、聞き込みシステムももう少し快適になる余地がありました。また、本作ならではの面白さを実感するまで少し時間が掛かるため、序盤だけでは魅力が伝わり切らない点も惜しく感じます。

ただ、それらを踏まえても評価は変わりません。

プレイ時間を重ねるほど「このゲームはもっと注目されてもいい」と思う場面が増え、クリアした頃には、発売前とはまったく違う印象を抱いていました。

もし今、「評判が落ち着いてから考えよう」「思ったより話題になっていないから後回しでもいいかな」と考えているなら、一度プレイ候補に入れてみることをおすすめします。

少なくとも私は、遊ぶ前に抱いていた以上の満足感を得られました。

派手な宣伝や爆発的な話題性だけでは測れない魅力があり、最後まで遊んだからこそ見えてくる良さがあります。

だからこそ、『亰都ザナドゥ』は「評価が低そうだから様子見」という判断が、一番もったいない作品でした。

日本ファルコムらしい丁寧なゲーム作りを楽しみたい人はもちろん、探索する楽しさや仲間との物語をじっくり味わいたい人にも、自信を持っておすすめできる一本です。

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